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広瀬弓『みずめの水玉』

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第11回日本詩歌句随筆評論大賞 詩部門奨励賞受賞!



水は光の容れものだから
かがやく
天上の顕わのすべて
うごめきあそぶ
(「水は光の容れものだから」)


「現代の「水の女」はまた“ヒロシマ”の娘でもあった。これはその“ヒロシマ”の娘の時代への静かな警告と鎮魂の書である」(吉田文憲)。ヒロシマ、ダムに沈む町、看取り……地上と天上を行き来しながら水を求めて移動しつづける詩人の、新たな交感の物語。装画=辻憲

本体2,400円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3439-0
2014年9月刊

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藤原菜穂子『行きなさい 行って水を汲みなさい』

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耳をすませて



行きなさい と誰かの声がうながします
行って水を汲みなさい
霧の奥に流れている水を汲んで来なさい
魚の遡る谷川の水を
(「山の上の病院は」)


ふいに身のうちに浮かび上がるひと筋の流れ、声なき声。しぶくいのちに寄り添って心身をひらく。夫の死、震災――心に走ったひびも顕わに、10年にわたる詩を編んだ、25年ぶりの新詩集。

本体2,400円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3440-6
2014年9月刊

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金基澤/韓成禮編訳『針穴の中の嵐』

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韓国現代詩人シリーズ第3弾


牛の大きな目は何かを言っているようだが
私の耳では聞き取れない。
牛の言葉は牛の目の中に皆入っているようだ。
(「牛」)


「詩人は日常の静けさと倦怠の中からも、はち切れそうにぴんと張られた内面的な力の磁場を捉える」(李光鎬)。鋭利微細な目で凝視し、言語の力で描写する。韓国詩に新境地を拓いた詩人の、アンソロジー詩集。

本体2,400円+税
四六判並製・194頁
ISBN978-4-7837-2766-8
2014年9月刊

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近藤久也『オープン・ザ・ドア』

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あの夜のこと


セクシャルで打切棒な存在として
あの古い泳法を思い出しながら
死ぬまでを
偶然に生きるのだ
(「無名」)


「稀に自らの内側で日常の感覚とは離れて、ほんの微かに言葉に似た産まれたてのものが忘れかけた遠い体感としてもぞもぞし始めるときがある」(あとがき)。ふと思い出される、ひとや情景の佇まい。扉の先へと転がっていく、35篇の詩。装幀=近藤祈美栄

本体2,500円+税
A5判並製・134頁
ISBN978-4-7837-3434-5
2014年9月刊

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宮内憲夫『地球にカットバン』

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第26回富田砕花賞受賞!
第17回小野十三郎賞特別賞受賞!


地球の巨きな傷口にカットバンなんて
だれが作った、処方箋?
泣いているのは、煤けた地球だ
(「人類の終曜日」)


「満身創痍で、カットバンでは……/効果のない、重傷の地球に詫びつつ!(…)今は、大自然のふところに在る事に感謝して!」(あとがき)。〈人間は、なぜにかくも横暴なのか――〉ただひたすらにこの問いを貫きながら、現代と未来への警鐘を響かせる。湧き上がる怒りをなだめ、激しく、ユーモラスに、ときに優しく。

本体2,600円+税
A5判上製・110頁
ISBN978-4-7837-3428-4
2014年9月刊

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近岡礼『階段と継母』

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第5詩集


階段は幻想し
鴇色に爆発する
わたしはわたしであってわたしでなく
あなたはあなたであってあなただ
(「鴇色に爆発する」)


己とは、他者とは、生とは、死とは――。シュールレアリスム、モダニズムの手法を彷彿させながら、その奥に秘めた、透徹した己への問い。謎は謎のままに、問いは問いのままに、虚無と情熱を抱え込みながら、新たな境地を切り拓く。装幀=伊勢功治

本体2,400円+税
A5判上製・102頁
ISBN978-4-7837-3437-6
2014年9月刊

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平岡敏夫『月の海』

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夕暮れる旅


子供らの魂を乗せた桃の舟、柏の舟は次々と、
黒く煌きながら、遥かな月の海を流れて行きました。
(「月の海」)


塩飽生まれの少年飛行兵が迎えた敗戦の夏から約七十年――蒼空に散った魂も、移り変わる人世も、敗者の哀しみを秘めた文学史と融け合い、私と史と交錯しつつ歩む、永き、帰らざる旅。

本体2,200円+税
A5判上製・80頁
ISBN978-4-7837-3435-2
2014年8月刊

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高塚謙太郎『ハポン絹莢』


さらに、さらに、先へ!


帆かげもうすずみを妊んでひるがえればいい
すすめばうすれゆきわが島は巻きあげられる

あたまからみどりを靡かせながらむかってくるもの
Fのしじまをしたがえて呼吸をくりかえすそれら

戦線を引きはじめたころ編まれた髪をつかんだ
名の思い出がFののぞむままのかたちでながれる

Fという名の少女を崇め奉れ崇め奉る少女の名で
ふるい相聞の耳にのこる美しい呼ばれ方だった

乳房の真夏にあるいている母になるだろういのち
ぼんやりと敗れていく花ざかりのしめったうた声はされ
(「慰霊」)

この詩集のあとに、現代詩は可能なのだろうか――詩集ごとに形式とテーマを進化させてきた詩人が、その果てで見つけてきた言葉の官能。 充溢する博覧と、迸る狂気、100年後の詩のかたちを見よ!

*この詩集はオンデマンド出版で、アマゾンのサイト(Amazon.co.jp)のみでの販売になります。書店および思潮社営業部での取り扱いはありません。ご注文ごとに印刷製本し、24時間以内に発送、2~3日でお手元にお届けします。送料、印刷手数料等はかかりません。お問合せ=03-3267-8141(思潮社編集部)

本体1,500円+税
120頁
ISBN978-4-7837-3429-1
2014年7月刊

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現代詩文庫『尾花仙朔詩集』

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夢魔と祈りの大曼荼羅


われらの閉ざされた知には
狂気の世界を解きほぐす糸口がみえない
小心な それゆえに横暴な兇器をふるう
権力の腸を裂く手だてがみえない
(「みぎわ、窈窕のかなたに」)


「かくしてわれわれは日本語の詩では困難な、根源的なものと日常的なものとの不思議な合体に接することが出来る」(粟津則雄)。戦後から貫き通した個から普遍の詩学、その日本語の美と宇宙論的文明批評が融合する到達点『有明まで』『春靈』を全篇収録。人類の救済と鎮魂、夢魔と祈りの大曼陀羅。 解説=溝口章、鈴木漠、原田勇男、こたきこなみ、島内景二

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0985-5
2014年8月刊

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現代詩文庫『三角みづ紀詩集』

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苛烈なる詩群を集成


私を底辺として。
幾人ものおんなが通過していく
たまに立ち止まることもある
輪郭が歪んでいく、
私は腐敗していく。
(「私を底辺として。」)


「三角みづ紀の朗読に立ち会った。引きこまれた。声を出して、のびのびと声を存在の底からひきずり出して、そして動いて。いつか殺したわたしの娘みたいだった」(伊藤比呂美)。中原中也賞受賞詩集『オウバアキル』の登場は、新たな感性の出現を印象づける鮮烈な言葉の事件だった。ゼロ年代以降の世界に、苛烈に刻みつけられてきた詩群を集成する。解説=福間健二、池井昌樹、管啓次郎、野口あや子

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0983-1
2014年8月刊

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『北川透 現代詩論集成1 鮎川信夫と「荒地」の世界』

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現代詩は何を問うてきたのか


「むしろ、自らの詩の方法や言語感覚と異質な他者の作品ほど、彼は無心にその世界を読み取ろうとする。わからなさを指し示し、それを批判するにしても、わからなさを大事にして、そのまま理解しようとする。……詩を批評する自らの目が、自らの批評言語や概念でがんじがらめに縛られることが何よりも嫌いなのだ。北川透詩論のフェアさがここにある」
――佐々木幹郎(月報より)
「「荒地」周辺をめぐり、ほぼ半世紀にわたって書かれた論の数々。読めば読むほど、引きこまれていく。半世紀。時代も風潮も、変わっていく。著者の論は、その着眼点や論じ方を変化させていく。……詩を書く人、書こうとする人は多い。けれど、他のだれが、詩作品とともにこれだけの詩論を執筆することで同時代の詩とともに歩もうとしただろうか」
――蜂飼耳(月報より)

詩があるがままの姿で批評を孕む――。敗戦後の昏迷から、時代の危機を鋭く表して、同時代の思想と文化を先導した「荒地」の詩人たち。「無名にして共同なる社会」をつくるための「精神の架橋工作」を果敢に実践しつづけた鮎川信夫をはじめ、田村隆一、北村太郎らの詩的言語の画期的意義を論じ、その変容をふまえて未来の再生を予告する。絶えざる現在性の批評として、半世紀にわたって詩論の最も高い稜線を形づくってきた北川透の営為を精選する、待望の集成、刊行開始! 月報=佐々木幹郎、蜂飼耳、黒田喜夫、瀬尾育生。装幀=間村俊一

*『北川透 現代詩論集成』刊行記念 連続公開シンポジウム「詩と批評に未来はあるか 第1回」を開催します!
10月25日(土)15:30より、日本出版クラブ会館にて。
第1部は佐々木幹郎、瀬尾育生、守中高明、蜂飼耳氏による討議、第2部は北川透、松浦寿輝氏による対論です。ご期待ください!


本体5,000円+税
四六判上製・574頁
ISBN978-4-7837-2371-4
2014年9月刊

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やまうちかずじ『わ音の風景』

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第55回中日詩賞新人賞受賞!


「家の北側は竹やぶで、ミンミンゼミが鳴いていた」
「西側の庭には、たしか大きな池があって、赤や黄色の鯉が泳いでいた」

――光りまぶしい精霊の河 澄んだ水がころころと魂石を洗う
(「かやぶき家の記憶」)



「人のいい不機嫌をつれて/ガランとした ふる里の理を たずねてゆく。/こころの留守番をしてますか/手垢のつかないこの世の懐かしさこそが時代の声の批評になる」(川上明日夫)。不可視の彼方を凝視し、呼吸し、手を添えては想いを募らせてやる手法。生死を血縁のようにかるく浮かべてはたいらかな、ふるさと家族を航海する待望の第一詩集。

本体2,400円+税
四六判上製・114頁
ISBN978-4-7837-3431-4
2014年8月刊

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笹本淙太郎『有の光芒』

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悠遠を湛えて


そしてこの輝きが掻き消える前に
暫くは然有らぬままに佇んで
久遠へと寄り添ってゆく光芒までは
(「久遠へ」)


現今の言葉と古語を融合し、独自の美しい日本語の黎明へと漕ぎ出す。錯綜する生への透徹した認識と詩想のもとに紡ぐ、清廉なる第一詩集。

本体2,400円+税
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3432-1
2014年8月刊

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野村龍『Stock Book』

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差しだされる灯


木曜日の右側から
希薄な猿が手を伸ばしている

罅の入った火炎を
或いは金色の翼を
掴み取ろうとするかのように
(「黄泉」)


「もう躊躇はいらない、不安はいらない。繰り返すが、この野村龍詩集『Stock Book』の全体、あるいは任意のページを指さして、これが詩です、といえばいいのである」(野村喜和夫)。滴り落ちた花の指紋、頁に永遠に留められた55の美しい言葉の羽根。

本体2,400円+税
A5判並製・130頁
ISBN978-4-7837-3430-7
2014年8月刊

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守中章子『一花衣』

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しずかな熱情で、歌う


爪を切る音の鳴る間に呼びかけるそこにゐますかふたりゐますか
口中に酸と甘露のひろがりて陽は弓手よりしづかに射しぬ


「作者は、激情によって歌の技法をなげうってなどしていない。どの歌も、韻律も文体も、きりりとひきしまっていて、読者をさまざまな思いに、特に言葉の美の世界へもいざなうものだ」(岡井隆)。2013年度未来年間賞歌人による、言葉への讃歌339首。第1歌集。装幀=伊勢功治

本体2,700円+税
四六判上製・182頁
ISBN978-4-7837-3433-8
2014年8月刊

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