詩の本の思潮社

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新シリーズlux poetica、11月末刊行開始!

2023年10月26日

新シリーズlux poetica(ルクス・ポエティカ)を創刊します。
「lux poetica」はラテン語で「詩の光」を意味し、光を追いもとめ詩を見つめる、若い世代の第1詩集、第2詩集を中心とした叢書です。
まずは以下の4冊から、刊行がはじまります。

芦川和樹『犬、犬状のヨーグルトか机』
「かたまった言葉や乱雑な言葉が多い現実にくたびれたら、新しい楽しさがたくさん舞う芦川詩集を読みましょう」(小笠原鳥類)。(非)生物として生きる文字たちがちらばり、つらなって、かたまりになる。今年の現代詩手帖賞詩人の、かわいいユートピア19篇。

小川芙由『色えらび』
「乱反射することばのファンタジアの中に、ひとりの開け放たれたひと、すっくと佇むひとがいて、こちらをまっすぐ見つめている」(大崎清夏)。わたしの、だれかの生きる、色とりどりの遠景。2023年度〈ユリイカの新人〉による、あざやかな出発。

張文經『そらまでのすべての名前』
「ことば以前のことば、わたし以前のわたし。そのまどろみへの憧れと、背いて書くしかない孤独が、頷きかけてくるような詩集です」(暁方ミセイ)。うまれたことの痛みとともに、言葉をしって、せかいに呼びかける。ふりそそぐ名前のなか、あふれる24の抒情。

大島静流『蔦の城』
「この薄曇りの世界に紡ぎだされる言葉たちは、竦みながら、(……)孤独のうちに燦然とした世界を創りあげる」(朝吹亮二)。思念と現実の亀裂を幻視し、堅固に構築される詩語の城。いっそうの深みへと降りてゆく第2詩集。

装幀は昨年まで「現代詩手帖」のデザインをご担当いただいた、戸塚泰雄氏です。
それぞれの詩集にあわせた、アーティストの方々の作品を生かした装幀をお楽しみに。
定価は税込み1650円。刊行は11月末を予定しています。
これから随時情報を公開していきますので、ぜひご注目ください!

現代詩文庫『続・粕谷栄市詩集』新装重版出来!

2023年08月31日

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妄想の街角、反世界の詩学

 一枚の紙幣の遠い記憶のなかで、老人たちが眠っている。どこまでも続く街は静かで、点在する彼らを映す、建物の窓もある。永遠に、それは変わらないだろう。
 一枚の紙幣の遠い記憶のなかで、無数の老人たちが眠っている。遥かに、それを見守るのは、偽りの啓示、そうだ、世紀末の小さな幻の三日月である。
(「幻月」)


「粕谷栄市の詩は、酸っぱい狂気の味と血の甘い馥りが濃密に立ちこめた美しい反世界だ」(松浦寿輝)。詩が、人間が、よく生きるための何かであるという、私の錯覚は、強固になった。――長い沈黙を破って書かれた『悪霊』(藤村記念歴程賞)全篇ほか、『鏡と街』『化体』から収録。
解説=横木徳久、墨岡孝、野村喜和夫、福間健二、池井昌樹

1650円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0948-0
2003年7月第1刷 2023年8月第2刷

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