詩の本の思潮社

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新刊情報

【近刊・予約受付中】倉橋健一『失せる故郷』


荒野は止まず


いつのまにかわたしのなかではあのいっぽんの角だけが引き受ける
乱反射の意味がわかる気がしていた サイはたちつくしているだけだった
まさに素朴な直喩が使われ切ろうとしていた
(「素朴な直喩」)

「不思議な孤独の達成点をもった一角獣よ/半盲に近い目で今日も見晴るかすのは/真っ赤に灼けて消えゆくばかりの森の彼方だ」(「サイ転がし」)。しなやかにしたたかに、闊達な語りのうちに底光りする視線。深まる季節をつらぬいて、一つの生と現在への意志が鋭く交錯する。装幀=髙林昭太

本体2400円+税
A5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-3579-3
2017年8月刊

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【近刊・予約受付中】現代詩文庫『続・財部鳥子詩集』


「無」へと豊かに広がる言葉


七月の空気は透明な裸
恥ずかしいから蓮池に隠れている
大きな葉のしたから蕾を高々と掲げて
みんなに見せている
(「七月」)


「「詩は滅びない。なぜならすでに空無だから」/生き残り、生き抜いた者だからこそ/かくも激しく詩を幻視する。/今ここを突き抜けて「無」へと豊かに広がる言葉。/財部鳥子の詩は、/傷を負った全ての生きものが、帰還をめざす領土だと思う」(小池昌代)。満洲体験にはじまる長い歳月を生き、人の生死を見据えて、年輪を経るごとにみずみずしくも馥郁たる世界をあらわした詩人の後期作品集成。
解説=那珂太郎、入沢康夫、佐々木幹郎、阿部日奈子、渡辺めぐみ

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1014-1
2017年9月刊

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【近刊・予約受付中】現代詩文庫『齋藤恵美子詩集』


知りえなかった何かに


跡が消された跡、のような、道筋をたどり終え
箱より軽い部屋の闇へ
みずからを消し、風を通した
部屋と世界が、触れあえぬまま重なるときの、余剰部分
そこで、外皮から朽ちるとして、最後に
わたくしに、何がひかるか
(「孤影」)


「わたしの原初の光景が、もはや跡地としてしか存在していないとすれば、わたしの言葉は、わたしの魂を奪ったあの光は、何によって根拠づけられるのか。鉱床に混ざり込んだ〈脈石〉という言葉が意味をもってくる。『空閑風景』は、海と土の間で残響しか聴こえてこない、堂々たるボレロである」(四方田犬彦)。亡き者たちとの邂逅を願いつつ、言葉でおのれを擲つこと。極点を照らし出す詩的エクリチュールの達成、『空閑風景』までの軌跡を一望する。
解説=清岡卓行、横木徳久、野村喜和夫、杉本真維子

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1013-4
2017年9月刊

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【近刊・予約受付中】徳弘康代『音をあたためる』


したしいもののために


りんごが壊れるときの
ふしぎな空気を
みみなりといってもいいですが
ひとがとても好むのを
おぼえておいていただけますか
(「りんごの崩壊collapse」)

日々にふと感じる異和にゆっくりと耳を寄せたとき、あらゆる音と色彩にあふれかえる世界がきこえる――。小さなざわめきをかろやかな言葉でつつむ、第4詩集。装画=相沢律子

本体2400円+税
A5判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3581-6
2017年8月刊

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藤井貞和『美しい小弓を持って』


1ミリグラムのうた


震源は
震源は
のたうつ白馬
(…)
爆発 うたの
反原子
半減し
(「のたうつ白馬――回文詩3」)

葉裏のキーボードで、うたは自分を叩いている。声を辞めない、抗いの詩30篇。失語からの快復期の作品を収む、6年ぶり待望の新詩集。装幀=中島浩

本体2400円+税
A5判変型上製・130頁
ISBN978-4-7837-3578-6
2017年7月刊

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榎本櫻湖『Röntgen、それは沈める植木鉢』


どこまで歩いても樹海


けれどもなにかしら、ことばならざることば、換言するならば、ものならざるものへの憧れが、有り体にいってしまえばいたって簡素な嫉妬こそがわたしを捕らえつづけていたのだった、
(「あわれ球体関節ケンタウルス」)

この知らないことば、この読めない文字、この詩はプラズマ――。廃都につづく古道の名前をおしえてくれるのは誰なのか。享楽のリズムに身をまかせ、放蕩をかさねる叛語の地勢図。超自然的エネルギーを放出してやまない、サクラコ新作品集。装幀=金澤一志

本体2600円+税
四六判並製・168頁
ISBN978-4-7837-3576-2
2017年7月刊

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岡本啓『絶景ノート』


詩のトリップ


一つの模様の一つのホツレにさえ
気が遠くなるほどの手仕事が重なり合っている
ふとはるかな巡礼の予感がある
ながい荒れ狂う季節の刺繍
(「巡礼季節」)

「絶景ノ音、離陸間際のふいの静けさ――。(…)この一冊が、だれかの忘れ物のノートのように、ふとそこに轟音と静けさをもたらしてくれたら」(あとがき)。緑の丘の線、花粉でスれた糸綴じノート。中原中也賞とH氏賞を史上初めてW受賞した詩人、疾駆する第2詩集! 著者自装。

本体2200円+税
A5判変型上製・116頁
ISBN978-4-7837-3575-5
2017年7月刊

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近藤洋太『SSS』


存在することの不安


私は自分が息苦しかった
息苦しくて私なんかこの世からいなくなればいい
そのほうがどんなに楽になるか
でもこんなこと両親には絶対に言ってはいけない話
自分で解決しなければならないこと
(「Ⅵ 卒業」)

SOCIETY FOR THE STUDY OF SUICIDE――表向きには推理小説同好会SSS。存在することの不安をかかえ、生と希死念慮のはざまで揺れる若者たちの、涙のようにひりひりと澄んだ書き下ろし連作長篇詩。装幀=佐々木陽介

本体2400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3577-9
2017年7月刊

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浜田優『哀歌とバラッド』


終わりなき歌


この夜が明けるために
失われていった光はいくつ
この夜が明けるために
起こらなかった奇蹟はいくつ


失われたものと、来たらざるもの。時のはざまで律動する最新詩集。装幀=伊勢功治

本体2400円+税
A5判上製・104頁
ISBN978-4-7837-3574-8
2017年7月刊

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古田嘉彦『華茎水盤』


花が…


花が突然行う世界の転換に対する準備ができている者はいない
我々は当惑するだけだ
しかし本当に生きるということについては
「準備」は錯覚でしかない
愛にも死にも準備はできない
(「花」)

あじさい、桜、立葵、ヒマワリ、カンナ……。美しく咲く花々や樹木に生と死の真理を探して語る最新作品集。

本体2000円+税
A5判変型並製・64頁
ISBN978-4-7837-3564-9
2017年6月刊

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