詩の本の思潮社

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新刊情報

水出みどり『夜更けわたしはわたしのなかを降りていく』


疼くものがある


このつかのまの自由
名付けえぬものたちが
さざめきあい
やさしいトレモロとなる
この夜明け
(「結子」)


「ひとの話しかたと歩く道は似ている。理路整然と立て板に水のように話す雄弁さよりも口ごもりながら懸命に話す朴訥さにこころ惹かれる」(「道」)。「誰も行く人のない」道を辿るように、夜の底に幾重にも縫い込められた波の襞をほどいてゆく。巡り続ける思念の、静けさに宿る烈しさを記す、第5詩集。

本体2200円+税
四六判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3588-5
2017年10月刊

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菅沼美代子『手』


しなやかにつなぐ


触れにいった手に触れてくる手が
やさしく重なって
あたたかい温もりがひろがってゆく
水面に広がる輪が
最後には岸まで伝わるように
(「手」)


「生きるということは、苦痛におもりをおろしていくことです。そこから生活の深みを知ります。そこにこの詩人の〈強さ〉も感じます」(三木卓)。いのちの熱を手でつなぎ、やさしい対話の時間をつむぐ。まっさらな言葉で「在るということ」をうたいあげた、15年ぶり、待望の第5詩集。カバー作品=内藤淳

本体2500円+税
A5判上製・106頁
ISBN978-4-7837-3591-5
2017年10月刊

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広瀬大志『魔笛』


最後の音


もしも
受け取ろうとする手が
宙をかき回すと
形がつくられ
何者か戦慄する
(「魔笛」)


ときに言葉はささめく白い歌謡、そして激しく蠕動し互いを追いつめる異形の音。「この終わりは/むしろ/神話と呼ぶにふさわしい/これからの生首」(「哲学ゾンビ」)。全ては魔法の笛で歌うために。羽か挽歌か、未聞の音楽(メタファー)の立ち上がりを、――ただ聴け。装幀=中島浩

本体2400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3589-2
2017年10月刊

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谷合吉重『姉(シーコ)の海』


瞠目の第二詩集!


半月に照らされる新河岸川のほとり、
クダマキたちの鳴き声はアジテーターの前の群衆に似て
ぼくを死地へと導く。

「谷合氏は、その地縁血縁のほとんど消えつつある都市郊外の風景の中心に、もっとも身近な薄幸な「姉(シーコ)」の姿を召喚した。(…)はじめて自らの詩の彷徨の核心に辿り着いた」(吉田文憲)。時代の猥雑なノイズによって構造化された抒情の陰影。薄幸な姉の姿を追って、言葉が彷徨い出る先に何が起こるのか。詩とは悼みと出来事の連続である。装幀=稲川方人

本体2400円+税
四六判上製・110頁
ISBN978-4-7837-3585-4
2017年9月刊

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海外詩文庫『レクスロス詩集』


ジョン・ソルト、田口哲也、青木映子訳編


あなたの舌がつま弾きし わたし
のなかにはいってくる すると
わたしはからっぽになり
めくるめく光で燃えあがる ちょうど
大きな拡大しつつある真珠の中にはいったみたい
(「摩利支子の愛の歌」)

20世紀における最も重要かつ優れたアメリカ詩人・思想家のひとりとして、近年評価が高まるケネス・レクスロスの文学的業績は多岐に渡る。率直で論述に長け、熟考を重ねた末に展開される豊かな教養と知識——レクスロスは詩や散文で独自のスタイルを確立した。またジャズ演奏に合わせて詩を朗読した先達者で、さらに西欧の芸術様式で実験的手法を試みた最初の米国人画家のひとりであった。「ビートの父」として知られているが、神秘主義的な思想に関心を寄せ、東洋の歴史、文学、芸術に造詣が深く、中国や日本の古典詩を翻訳・紹介した。本書では、大自然の普遍的な美を取り上げた短篇詩「キングス・リバー・キャニオン」や、日本の古典詩歌をふまえた情緒溢れる長篇詩「摩利支子の愛の歌」など代表作を収録。また文化、社会および環境問題を先見性に富んだ鋭い洞察力で論じた新聞コラム記事を紹介。博学多才で知られるレクスロスを多角的に検証し、その稀有にして波瀾に満ちた生涯の軌跡を辿る。(文:ジョン・ソルト)
翻訳主幹=片桐ユズル。詩人論・作品論=モーガン・ギブソン、児玉実英、ロバート・カーシュ、白石かずこ、ジョン・ソルト。解説=田口哲也。年譜=青木映子

本体1165円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-2516-9
2017年9月刊

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田中清光『太平洋――未来へ』


耳を研ぎ澄まして


すべての生物のなかで生き永らえてきた微小ないのちに
宇宙原理が姿を表わしていることに
見えない未来の
本然が見えているのかもしれない
(「未来へ」))

「近年の人類が生み出す文明の諸相のカオスのなかに生きて、言語表現を試みる日日、微力の私のなしうるところではないのだが、いささかなりと批評精神を生きつづけさせることを念じつつ、綴ったもの」(あとがき)。太平洋戦争の東京大空襲に遭遇した過酷な体験を基点に、深い海の声のなかに数多の歴史や生死の声を聴く。なおも言語表現として未来を模索しつづける、詩19篇。装幀=髙林昭太

本体2600円+税
菊判変型上製・110頁
ISBN978-4-7837-3580-9
2017年10月刊

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新井豊吉『摑みそこねた魂』


ぼくをみて


額から前髪に入り
わたしに触れて帰った
わたしだけのもの
あれは魂? を
待っているだけだ
(「なかよし学級」)

「自分の名前も書けないお前だったけど/「ありがとう」はいつも見事だった/寂しさで狂うようなお前だったから使えた言葉だ/くぐもったその声が/額の傷が広がるのを防いでいる」(「約束」)。マイノリティたちの生の息吹を五感でひたすら抱きしめる。ちくちく痛む寂しさのかけらを握って。終わりなき対話、11年ぶりの第4詩集。

本体2600円+税
A5判変型上製・126頁
ISBN978-4-7837-3587-8
2017年9月刊

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中堂けいこ『ニューシーズンズ new seasons』


言葉との明るい格闘


うさぎを飛ばすのはピーターのくせでいつか月面はおびただしい子うさぎであふれ、あふれでたひとりふたりをことの葉にみたて鍋底にしずめるのは誰か

「すでに失われたひとがわたしを呼ぶ/呼び捨てにするその声はするどく内耳をうち/谷を谺していた鳴き声が沈黙の滓に隠される/カナリアカナリア お前の名はしらないままだ/光のすじに向かって/空になった鳥かごをさしだす」(「とりのうた」)。喪失を経て、季節はめぐる――。はずむリズムを、いまここに打ち鳴らす。装幀=夫馬孝

本体2400円+税
A5判上製・88頁
ISBN978-4-7837-3586-1
2017年9月刊

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田中さとみ『ひとりごとの翁』


目をそらすな


そのときだ
丸太であたまをいきおいよく殴りつけろ
卍にくずおれたっていい
更地を奏でる おと 聞いて
ひきあてる
(「ひとりごとの翁」)

「奔放な荒ぶるカミの悲しみ、そして生きる強い意志の力が漲っている。そこには同時に詩的救済を求める懸命なとても澄んだ声が流れている」(吉田文憲)。「詩集に登場する多様な生き物の姿がいつしか自分の幼少期に生きた貧しい人たちの影法師と重なっていくような不思議な感覚に捉えられる」(中尾太一)。人ならざる異形を喚び、苛烈に書きすすむ第1詩集。装画=福室みずほ

本体2500円+税
A5判上製・156頁
ISBN978-4-7837-3583-0
2017年9月刊

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現代詩文庫『三井喬子詩集』


水底で搔き抱く言葉


視線をひたと据えた あなたの
瞳孔を開けたままの眠りの
その痛みが
魚卵のなかのわたしを老いさせる
(「眠り」)


「この詩人の描き出す情念の世界には一箇の魅惑的な魔物が棲んでいるとつねづね私は思ってきた」(倉橋健一)。血のようにめぐる生/性の哀しみと滲み出るユーモアが、流れ続ける河水の風景を軸に、幻境の世界に仮託し紡がれる。初期詩集を含め、代表作『牛ノ川湿地帯』『青天の向こうがわ』など、9詩集から収録。
解説=長谷川龍生、中塚鞠子、野村喜和夫、城戸朱理

本体2400円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1016-5
2017年9月刊

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