詩の本の思潮社

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新刊情報

【近刊・予約受付中】丸田麻保子『カフカを読みながら』

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7年ぶりの新詩集


窓もない汽車が
黒い煙を吐きながら到着する
わたしは尻の下の
座面をつかんだ
(「駅」)


読むことに導かれて、言葉はそのまま詩となり、立ちあがる。そう、勤めの間に小説を書きつづけたカフカのように。第2詩集。装幀=山元伸子、装画=鈴木いづみ 

2530円(税込)
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4579-2
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】洞口英夫『一滴の水滴が小鳥になる』

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真の自分を探して


人は魂のヤドリ体
傷ついた魂が人にはいって
人間になるのです
(「人は魂のヤドリ体」)


自分という人間はいったいどのように現れ、どのように消えてゆくのか。いまここにいる自分はほんとうの自分なのか。不死鳥のごとく甦った詩人が、人間の永遠の命題を問う。

2420円(税込)
四六判上製・120頁
ISBN978-4-7837-4570-9
近刊・予約受付中

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平山弥生『群青の天宙』

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ひと筋の光


仰ぎみん 久方の天の河原
群青の天宙 うち靡く天の河
星の杜白浪清かに 爾 船を漕ぎ出む
聖なる蒼き夜明け
(「群青の天宙」)


「平山弥生の詩は、律儀な日常語のルールが強く排除され、一方に古語が多用される。しかしそれは、古語の踏襲を意味しない。単語も文法も構文も、すべては氏の彫刻のノミによって物体が変容され、縹渺とした魂だけが残る。平山弥生は、魂の彫刻家である」(中西進)。万葉を現代に呼び寄せる、稀なる書物。カバー作品=三田村有純「蒼く輝く宙」(漆芸)

2420円(税込)
四六判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4578-5
2024年6月刊

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網谷厚子『ひめ日和』

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「語り」の世界


わたしたちの未来を すでに わたしたちは見ている 水 水 水を ください 沸騰し 拡張していく 夏 逃れようのない 地球 (「水夏」)


古代から近未来まで、強靱なイマジネーションで繰り広げていく「語り」の世界。独自の詩法にさらなる磨きをかけた待望の第11詩集。カバー絵=福地靖

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4573-0
2024年7月刊

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清岳こう『脳神経外科病棟505』

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命の大海 命の記憶


病室の天井には蓑虫が無数にぶら下がっている
牛のよだれは垂れつづけている
(「牛のよだれ」)


脳動脈瘤で入院した詩人が病棟で出逢った、様々な人生をくぐり抜けた人びと。一人ひとりの迸るような生は詩の肉声となり、歴史の大海をわたっていく。生命を諦めない58篇。

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4581-5
2024年7月刊

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和田まさ子『途中の話』

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純愛を忘れている


眠る前にきょうのよろこびを三つ書く
二つまでは書けたが
あと一つが見つけられない
(「背中の蝶」)


「橋を見てこころに咲くものがある/川の金箔の波に照らされて/うるおうからだがある/先へ、先へ/ニンゲンの上流へと急ぐ」(「一石橋」)。街を歩いて、躓いて、世間のなかで生きている。『軸足をずらす』で詩歌文学館賞を受賞した詩人による充実の最新詩集! 装幀・装画=井上陽子

2530円(税込)
A5判変型上製・104頁
ISBN978-4-7837-4574-7
2024年6月刊

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松川紀代『頰、杖』

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飛んで 帰ろう


白湯をすする年齢になった
白湯の味 あるような ないような

いつの時代のものか わからない時代が
からだの中を とおってゆく
(「白湯」)


たゆたう日々に浮かぶ、記憶のあれこれ。少ないことば、さりげない筆づかいの妙。ゆるやかな滋味が滲む、詩34篇。6年ぶりの新詩集。著者自装。

2640円(税込)
A5判変型上製・94頁
ISBN978-4-7837-4572-3
2024年6月刊

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ルース・ポソ・ガルサ/桑原真夫編訳『秋のコンチェルト』

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幻惑の詩人の代表作


泉の水が泣いている
もし一鉢の椀があったなら
涙でそれを満たすだろう
(「一つの鉢」)


スペイン・ガリシアの大詩人、ルース・ポソ・ガルサ。中世の吟遊詩人マルティン・コダックスの世界が拡がる、現代スペインを逞しく生きた幻惑の女流詩人。詩人でありピアニストであり画家であった多産な芸術家……。その代表作との声も高い、邦訳第二冊目の詩集。

2750円(税込)
四六判上製・168頁
ISBN978-4-7837-2796-5
2024年6月刊

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齋藤貢『遠い春』

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じっとこらえている


汚れたあしうらを
どれほど洗い落としても
土地の痛みは消えないだろう
(「遠い春」)


地震と津波と放射能と。突然襲ってきたあの日から十数年。この苦い水を、いつまでひとは飲み続けるのか――。現代詩人賞受賞作『夕焼け売り』から6年、待望の新詩集。装画=宮崎進

2860円(税込)
A5判上製・136頁
ISBN978-4-7837-4571-6
2024年6月刊

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北園克衛『単調な空間1949-1978』新装版

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幾何学の叙景・実験詩集



その黒い憂愁
の骨
の薔薇
(「死と蝙蝠傘の詩」)

世界を駆け巡った「単調な空間」から、大胆な方法論がたどりつく文字を使用しない詩=プラスティック・ポエムという極北まで。ことばや文字を形象として扱いながら停滞することなく進められた戦後の言語実験、意味を追わずにイメージで構成された驚くべき成果を厳選して収録した実験詩集・戦後篇。構成=金澤一志。待望の新装版。

2640円(税込)
A5判変型並製・130頁
ISBN978-4-7837-4551-8
2024年6月刊

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北園克衛『記号説1924-1941』新装版

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抒情のアヴァンギャルド・前衛詩集


友よ またアポロが沖の方から走つてくる
雨のハアプを光らせて
貝殻のなかに夕焼けが溜まる
(「驟雨」)

きらびやかに展開するモダニズム文化のなかで北園克衛が萌芽する。関東大震災後に紡がれた最初期の作品を含め、発表時の組版を忠実に再構成した「図形説」全11篇ほかを収録。『白のアルバム』『円錐詩集』『夏の手紙』など戦前期の代表詩集からそのエッセンスを一冊に収める前衛詩集・戦前篇。構成=金澤一志。待望の新装版。

2640円(税込)
A5判変型並製・130頁
ISBN978-4-7837-4550-1
2024年6月刊

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橘しのぶ『水栽培の猫』

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いつもそばに


三日も経つと
水を吸った猫は
ふっくらとうめいになった
(「水栽培の猫」)


「『水栽培の猫』は、読者を迷宮に誘い込む。ページをめくるたび、曲がり角の向うから、この世のどこにもいないはずの異形のものが晴れやかに姿を現わす」(野木京子)。2年ぶりの新詩集。

2420円(税込)
四六判並製・104頁
ISBN978-4-7837-4566-2
2024年5月刊

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西原真奈美『迎え火』

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第1詩集


いつか あそこに自分もいるのだ
砕かれるために
いつか砕かれるものとして
(「いつか砕けるものとして」)


「受け入れること。つまり受け身であることは、西原さんの詩においては、無力なことではない。(…)本書の言葉にもまた、愛する対象を真に受け入れることを支えつづける情熱がその奥に秘められている」(峯澤典子)。見送ること、生きること。第1詩集。装画=鴨居玲

2530円(税込)
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4567-9
2024年5月刊

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現代詩文庫『時里二郎詩集』

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〈半島〉の言の葉、詩の息づき


植物図鑑の雨の中を 男は朝狩から帰還する
猟の身繕いのまま弓と胡簶を床に投げ出して
仕留めた獲物を閲覧室の机に置く

それは耳の形状をした集積回路の基板の破片
だった 彼の矢が過たずにつらぬいた空が一
点の闇を点している 矢の径よりも小さな基
板を射抜いて 錐眼のごとき仮想の穴を穿つ
技はこの世紀のものではない

傭兵だった男は彼の世紀を逃れてこの図書館
に漂着した ここを住処に自らの集積回路か
ら剝ぎ取られた幼年の記憶の基板を探すため
に 紙片と眼差しに封じられた累々たる文字
の列を追い立てながら 朝狩に発つのだった

男はピンセットで今朝の獲物を丁寧に摘みあ
げ 小さな闇に眼差しの糸を通して眼を閉じ
る 穀雨の湿りをにじませて 息づくような
森の緑に濡れた基板が微かに震えている
(「朝狩」)


時里二郎を導く標は都市になく鉄路にもない。影をひそめて古刹に座す仏像であり、物語を封じて納戸に眠る絵巻であり、波を分けて内海に横たわる半島である。
収録された7冊の詩集は翅を持つ昆虫が変態する一齢から七齢までの過程をなぞらえる。読者は本書でその幼生から羽脱への各ステージを詩人とともに微睡みながら、失われた「時の里」を経めぐるだろう。――柄澤齊

語り=騙りのスタイルで原郷を彫り進める稠密な散文詩。過去/未来へと縦横に伸びる言語探究の地誌『名井島』に至るまで、その詩的彷徨を辿る。
解説=高橋睦郎 池内紀 高柳誠 山尾悠子

1650円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1030-1
2024年5月刊

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岩木誠一郎『声の影』

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夜明けの方へ


あとどれくらいでしょうか
たずねているのは
夜明けまでの道のりだろうか
それは
たえまなく降りつもるものに
ほとんど埋めつくされているのだが
(「夜明けまで」)


「どこまでもゆけるのではなく/どこまでもゆく/うしろすがたがちいさくなって/星がひとつ燃え墜ちる」(「銀河まで」)。歴程賞を受賞した『余白の夜』から6年、詩のたしかな歩みを示す新詩集。装画=矢野静明

2420円(税込)
四六判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4569-3
2024年5月刊

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