詩の本の思潮社

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新刊情報

野木ともみ『その日も曇天で』

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会心の第3詩集


あやふやな終わりのとなりにすわっていよう
立ち上がったらもう何も感じないのだから
(「あやふやな終わり」)


「既成概念を相対化する透徹した視線は、自由を生み出す。言語と世界に深い洞察力を持つ詩人の確かな歩みが伝わってくる会心の詩集である」――佐川亜紀
「あやふや」のとなりで感じ続けること。光の渦の中ではなく、曇りの日にこそ見える自分と世界へ。詩25篇。

2530円(税込)
A5判変型並製・112頁
ISBN978-4-7837-4597-6
2025年1月刊

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山中六『一滴』

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二行詩の光り


一滴、落ちて波紋をよび
一行、天から舞い降りる
(「一滴」)


「山中六の詩は、そのユニークな感性と豊富なイメージ力に良質の特徴があると言えよう。それらの作品の中には、ユーモアもあり、時にはアフォリズムを連想させたりする」――高良勉
奄美群島体験からの始原の感性が波打つ。山之口貘賞受賞詩人による、待望の第8詩集。題字=著者

2200円(税込)
四六判変型上製・64頁
ISBN978-4-7837-4599-0
2024年10月刊

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花氷『オ・ラパン・アジルの夜』

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第1詩集

昨日という日から続いてやってきた、手紙のようなもの、なにもかも、全てが風により繋がっていることを想えば、なにも、想うほどではない、校庭の隅、言葉が土に染み込んでいくように、花が花の色を取り戻す。(「今日の風」)

詩の中に、大石貴也の、あいつの心の中に、ずっとずっと、いつかこうして爆発してやるんだ、という思いを込めた一行を見つけて、これは「本当のことば」だと思ったーー野田秀樹

本書は第一詩集にふさわしく、個々の詩はそれぞれに固有の形式的企みを携えている。だがそれらの総体から浮かび上がるのは、たくさんの喜びと痛みの記憶に満ちたひとりの人間の丸ごとの姿だ。ーー山田亮太

第62回現代詩手帖賞受賞詩人によるデビュー作。写真=花代、装幀=戸塚泰雄

2420円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4604-1
2024年11月刊

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雪柳あうこ『骨を撒く海にて、草々』

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魂の不在通知


波打ち際に落ちていたボールペンを
拾って、絡みつく海藻を払い
書き出す
遠くの海の傍らに住む
あなたへの ことば
(「海際へ」)

読めばどの詩からも、目を凝らすまでもなく、鮮やかな言葉の背後に、それぞれの深みへ届く物語を感じることができる。――松下育男

雪柳さんの詩には、様々な音や声が響く。ときには死者と生者の垣根を越えて強く語りかける。きつく抱擁を交わすように。そのダイナミックな表現で、読者を未知の場所へと導く。ーー文月悠光

第1詩集『追伸、この先の地平より』以後、3年ぶりの新詩集。写真=紫衣

2640円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4503-4
2024年11月刊

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鈴江栄治『意識ー死』

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詩と美術のはざま


漆黒の 影の 背後に 巡る 予感に 焼かれたのか ―不死の
(「―不死の」)

詩の言葉以外の言葉を必要としない、抑制された言葉のすがた。『陽の額』以後、5年ぶりの新詩集。著者自装

2750円(税込)
菊判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4589-1
2024年11月刊

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吉田義昭『海と重力』

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時代の波間で


長崎県 西彼杵郡 野母崎町高浜
幾つもの時代の夏空の下を通り過ぎ
東シナ海に寄り添う私が慈しみ愛した村
(「引き潮の時」)


私は自分の故郷を持てなかった気がする。私が生まれた廃家も幼い頃の記憶が微かに残っているだけだ。しかし、何度も故郷を訪ねているうちに、原風景が生まれてしまったらしい。(あとがき)

戦後80年、祖父母、父母の世代の引揚げの記憶を継承する。装画=柿本忠男、装幀=伊勢功治

2750円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4577-8
2024年11月刊

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谷口ちかえ『地図をはずれて』

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私のありか


地図をひろげて
次に行くべきところを探している
今日にわずかに爪を立て
「心」は 翼のないまま飛ぼうとする
(「地図をはずれて」)


国策に翻弄された一族の中で、〈わたしは誰?〉と所在なく暮らした年月が、日常を超えた山巓へ、水平線の向こうへと自らを駆り立てた気がする。無窮の天地と交叉する、点ほど小さな生を自覚しつつ、永劫の中の一瞬である「今」を超越するために。(あとがき)

戦後80年、歴史に翻弄されたディアスポラ2世の旅路のその先。装幀=伊勢功治

谷口ちかえ
旧満州奉天生まれ、東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。学生時代に「早稲田詩人会」で詩作を始める。詩集に『地図のかなたへ』『木の遍歴』(ともに土曜美術社販売)など、訳書にD.ウォルコット『オデッセイ』(国書刊行会)がある。

2860円(税込)
A5判並製・128頁
ISBN978-4-7837-4576-1
2024年11月刊

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朱濤/竹内新訳『半輪の太陽』

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ますます出鱈目 いよいよ駆け回る


私は飛んで火に入る夏の虫のように再び溶鉱炉に入り
中国から携えてきた涙を用いて
北半球の緑青をきれいに洗い落とす
(「闇夜にきらめくバラ」)


詩は風に飛ぶ柳の綿、一片の雪、一面の白い葦。世界を驚かすものではない。―――現代中国のただなかで、自分自身のために詩を書き継ぐ。魂を飛翔させる思惟の流れ。2010年代の作品を収める、進行形の翻訳詩集。

2640円(税込)
四六判並製・224頁
ISBN978-4-7837-2797-2
2024年10月刊

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植木信子『日々の流れに』

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過去から未来へ


君はまた永遠のような時間の内にいて花を投げているね
(「花を投げる」)


「死にもやすらかな生を願った/空からの緑を吹く 髪を吹いていく風に/少しだけ思い出してほしいのです。」(「いつも」)。生と死の繰り返しのなか、ささやかな日々は続いていく。命の川をそうしてわたしは行くはず――。過去から未来へ、かなたに希望を手わたす36篇。

2750円(税込)
A5判並製・128頁
ISBN978-4-7837-4601-0
2024年10月刊

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高村而葉『生きているものはいつも赤い』

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薄暗い庭の先へ


いま、最新の傷をもって
   もっとも柔らかいものに触れる
           それがもたらすものよ
(「彫り込まれた、本を開いている」)


「高村而葉の詩が他の詩人たちと違っているのは、たとえば馬車が、土や泥の道をやってくるとして、その轍のあとが、とてもくっきりと残ることだ。それは言葉のなかに、ではなく、地面に、深い溝を掘って進む」(瀬尾育生)。現代詩手帖賞詩人、待望の第1詩集。22篇の、時の重なり。装画=宇野紘城

2420円(税込)
四六判並製・128頁
ISBN978-4-7837-4602-7
2024年10月刊

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中尾太一『フロム・ティンバーランド』

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一秒の野へ


家のなかには風が吹いていた
外は無風だった
いや、荒れ狂っていた
(序詩)


「詩の家」に、それらはやってきた――。語り尽くせぬ物語の暗闇を駆け抜けて、未明の荒れ野へと出奔するわたしたちの、心の光が広がっていく。構想10余年、今この時代にこそ投じる長篇連作詩。話題作『ルート29、解放』に次ぐ、最新詩集。装幀=菊井崇史

2860円(税込)
菊判変型上製・128頁
ISBN978-4-7837-4600-3
2024年10月刊

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水田宗子『八月の光へ』

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2冊、同時刊行!


この身体
鎖を断ち切り
物語を逸脱して
メタフォアは不在
(「八月の光」)

蝶や蝉の羽化の過程の感動に想を得て、日本では、死を彷彿させる八月を、産む、生命の月へと反転させる。乾いた、軽やかな言葉のなかに深い思想が滲む、日本の抒情詩の系譜に属さない、新しい詩のあり方を提出する。

2640円(税込)
B6判並製・88頁
ISBN978-4-7837-4586-0
2024年10月刊

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水田宗子『ネブラスカ、ネブラスカ』

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2冊、同時刊行!


誰も探せなかった
本物の
無垢を
探し当てたい
(「非地」)


詩集『音波』、エッセイ集『詩の魅力/詩の領域』の同時刊行、昨年刊行の評論集『吉原幸子 秘密の文学』が話題を呼び、詩と批評の両輪でアクチュアルな発信を続ける著者による、4年ぶりの新詩集。

2640円(税込)
B6判並製・88頁
ISBN978-4-7837-4586-0
2024年10月刊

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日和聡子『其処』

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かえり、めぐりて


あなたを見つめる目の奥に虚構がはじまり
翳った茶畑に降り出した雨に涙がまじる
地に沁みて天に昇りやがて盆にかえる水
切った髪はもとの髪に継ぐことはできない
(「噴水広場」)


いつわりのない無二の詩情を深めてきた書き手が、葛藤のなかで見据える世のめぐり。空気と水と土と火と――。萩原朔太郎賞受賞『砂文』から9年にわたる試行を束ねる、待望の新詩集。装幀=清岡秀哉

2640円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4596-9
2024年9月刊

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水城鉄茶『ジャキジャキ』

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第61回現代詩手帖賞


聴けばいいのだ音の波 アホみたいに反復する
音楽 その楽譜をガキが
無意味なガキがはためかせているから
おまえはそこまで走っていけ
(「ジャキジャキ」)


「全篇を束ねるのは「暴れる舌のおれの腕はホチキス」のチキチキの稚気、真情の荒ぶる水の上を歩く軽薄さだ」(森本孝徳)、「詩と音楽というかつては同一であったものが、もういちど差異を失い、ひとつになったまま、読者のなかに注ぎこまれてくる」(小林レント)。ジャキジャキと世界を改行し、うたいつづける――決意の第1詩集!装画=野沢二郎

2420円(税込)
A5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-4592-1
2024年9月刊

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