詩の本の思潮社

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新刊情報

【近刊・予約受付中】田中さとみ『ひとりごとの翁』


目をそらすな


そのときだ
丸太であたまをいきおいよく殴りつけろ
卍にくずおれたっていい
更地を奏でる おと 聞いて
ひきあてる
(「ひとりごとの翁」)

「奔放な荒ぶるカミの悲しみ、そして生きる強い意志の力が漲っている。そこには同時に詩的救済を求める懸命なとても澄んだ声が流れている」(吉田文憲)。「詩集に登場する多様な生き物の姿がいつしか自分の幼少期に生きた貧しい人たちの影法師と重なっていくような不思議な感覚に捉えられる」(中尾太一)。人ならざる異形を喚び、苛烈に書きすすむ第1詩集。装画=福室みずほ

本体2500円+税
A5判上製・156頁
ISBN978-4-7837-3583-0
2017年9月刊

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【近刊・予約受付中】現代詩文庫『三井喬子詩集』


水底で搔き抱く言葉


視線をひたと据えた あなたの
瞳孔を開けたままの眠りの
その痛みが
魚卵のなかのわたしを老いさせる
(「眠り」)


「この詩人の描き出す情念の世界には一箇の魅惑的な魔物が棲んでいるとつねづね私は思ってきた」(倉橋健一)。血のようにめぐる生/性の哀しみと滲み出るユーモアが、流れ続ける河水の風景を軸に、幻境の世界に仮託し紡がれる。初期詩集を含め、代表作『牛ノ川湿地帯』『青天の向こうがわ』など、9詩集から収録。
解説=長谷川龍生、中塚鞠子、野村喜和夫、城戸朱理

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1016-5
2017年9月刊

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【近刊・予約受付中】現代詩文庫『中田敬二詩集』


生涯をかける放浪の路程


ゆくことのうちがわは
かえることのそとがわだ。
うちとそとの境界を担って、
わたしは移動をはじめた。
(「ゆくことがかえることだということ」)


「サハリン生れの快男児と、異境生れの運のめぐり合せが特別ですから、詩人として恵まれていますね」(長谷川龍生)。旅するごとに近づく世界と、かぎりなく遠ざかってゆく故郷。サハリンからイタリアへ――。原初よりすでに喪失された帰着の場所から必然的な出発を告げた、遥かなる詩業の道程を辿る。
解説=アダ・ドナーティ、ジェームス・ケティング、麻生直子、牧野伊三夫、水島英己

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1015-8
2017年9月刊

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【近刊・予約受付中】北川朱実『夜明けをぜんぶ知っているよ』


漂流する刻


記憶は
来なかった夜明けを口につめて
体の外側を
旅しているのではないか
(「記憶は、」)

誤差をこぼして転送される時間、髪に子どもを住まわせる幻を見る女、虹売り、一日だけ交換した人生――夜の地図で湾岸線を歩き、透明な刻の漂流物を掬いあげる。海峡をわたることば、物語のかけらたち。新境地を拓く25篇。装画=辻憲

本体2500円+税
A5判上製・110頁
ISBN978-4-7837-3582-3
2017年9月刊

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レベッカ・ブラウン文/ナンシー・キーファー絵/柴田元幸訳『かつらの合っていない女』


暗さとユーモアと烈しさと


誰も聞いてくれなかった 何度言っても。彼女が叫んで叫んで叫んだのは「狼」じゃなかった 叫んだのは彼女には言えないことだった。
(「誰も」)

「この本は、小著ながら、そうした彼女のさまざまな文体のショーケースとなっている観がある。加えて、文章が絵と対話していることによって、文章自体にも新たな奥行きが加わっている。絵を見て、文を読んで、また絵を見て……と往復していると、いつまでも抜け出せなくなるような呪縛力のある一冊である」(柴田元幸・訳者あとがき)。絵と文の鮮烈な共作、15の小さな肖像画。カラー15点収録。装幀=中島浩

本体2000円+税
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-2775-0
2017年9月刊

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黒岩隆『青蚊帳』


海鳴りが止んだ


とくとくと
夢の中を流れる渓流に
指を差し入れ
星霜かけて
あなたを一体 削り出そう
(「臼杵磨崖仏」)

空室のアパートの横木に、灯りのように点る深紅の柿の実、出航を告げる波止場へ寄せては返す金色の波、石仏の静かな微笑のように岸辺に揺れる桔梗、あの人が着ていたミモザ色のセーター、蚊帳の中から見た青い空――。闇の中で瞬間に明滅する無数の時間を、巡りあう季節を彩る光と色に重ねて描く19篇。6年ぶりの新詩集。装画=佐中由紀枝

本体2400円+税
A5判変型上製・88頁
ISBN978-4-7837-3584-7
2017年8月刊

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倉橋健一『失せる故郷』


荒野は止まず


いつのまにかわたしのなかではあのいっぽんの角だけが引き受ける
乱反射の意味がわかる気がしていた サイはたちつくしているだけだった
まさに素朴な直喩が使われ切ろうとしていた
(「素朴な直喩」)

「不思議な孤独の達成点をもった一角獣よ/半盲に近い目で今日も見晴るかすのは/真っ赤に灼けて消えゆくばかりの森の彼方だ」(「サイ転がし」)。しなやかにしたたかに、闊達な語りのうちに底光りする視線。深まる季節をつらぬいて、一つの生と現在への意志が鋭く交錯する。装幀=髙林昭太

本体2400円+税
A5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-3579-3
2017年8月刊

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現代詩文庫『続・財部鳥子詩集』


「無」へと豊かに広がる言葉


七月の空気は透明な裸
恥ずかしいから蓮池に隠れている
大きな葉のしたから蕾を高々と掲げて
みんなに見せている
(「七月」)


「「詩は滅びない。なぜならすでに空無だから」/生き残り、生き抜いた者だからこそ/かくも激しく詩を幻視する。/今ここを突き抜けて「無」へと豊かに広がる言葉。/財部鳥子の詩は、/傷を負った全ての生きものが、帰還をめざす領土だと思う」(小池昌代)。満洲体験にはじまる長い歳月を生き、人の生死を見据えて、年輪を経るごとにみずみずしくも馥郁たる世界をあらわした詩人の後期作品集成。
解説=那珂太郎、入沢康夫、佐々木幹郎、阿部日奈子、渡辺めぐみ

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1014-1
2017年9月刊

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現代詩文庫『齋藤恵美子詩集』


知りえなかった何かに


跡が消された跡、のような、道筋をたどり終え
箱より軽い部屋の闇へ
みずからを消し、風を通した
部屋と世界が、触れあえぬまま重なるときの、余剰部分
そこで、外皮から朽ちるとして、最後に
わたくしに、何がひかるか
(「孤影」)


「わたしの原初の光景が、もはや跡地としてしか存在していないとすれば、わたしの言葉は、わたしの魂を奪ったあの光は、何によって根拠づけられるのか。鉱床に混ざり込んだ〈脈石〉という言葉が意味をもってくる。『空閑風景』は、海と土の間で残響しか聴こえてこない、堂々たるボレロである」(四方田犬彦)。亡き者たちとの邂逅を願いつつ、言葉でおのれを擲つこと。極点を照らし出す詩的エクリチュールの達成、『空閑風景』までの軌跡を一望する。
解説=清岡卓行、横木徳久、野村喜和夫、杉本真維子

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1013-4
2017年9月刊

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徳弘康代『音をあたためる』


したしいもののために


りんごが壊れるときの
ふしぎな空気を
みみなりといってもいいですが
ひとがとても好むのを
おぼえておいていただけますか
(「りんごの崩壊collapse」)

日々にふと感じる異和にゆっくりと耳を寄せたとき、あらゆる音と色彩にあふれかえる世界がきこえる――。小さなざわめきをかろやかな言葉でつつむ、第4詩集。装画=相沢律子

本体2400円+税
A5判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3581-6
2017年8月刊

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