詩の本の思潮社

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新刊情報

【近刊・予約受付中】三井喬子『銀平』

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いただきます


ひらひらひらと舞いかかる
七色の虹せつなくも
銀平!
(「銀平」)


「銀平」という魚の夢で目覚めた。「わたしは、生涯、この夢を忘れることはないだろう」。演ずるように詩を書いてきた。三つ子の魂百まで。わたしは詩のなかで、少女にも老婆にもなれる。軽やかな諧謔。現代詩文庫『三井喬子詩集』をへて、前詩集『山野さやさや』から6年ぶりの新詩集。

2640円(税込)
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4610-2
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】尾世川正明『シュレーディンガーの白いねこ』

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噓からでた真実?


ねこは猫らしく見えて恐らくは猫ではないのだ
でもそのねこはただの譬え話でもない
ねこは少し前に金属の箱から取り出されたばかりで
箱のなかでは生と死のいずれをも重ね合わせた存在であった
(「シュレーディンガーの白いねこ」)


「わたしの詩の材料はわたしの身の回りや、たまたま興味を持った物事から湧いてくるものを拾う。しかし書いたものを見直すとずいぶん噓っぱちを並べたものだと自分でも可笑しくなる。だがその噓っぱちをさらに子細にみると、わたしだけの真実がこびりついている」(あとがき)。虚と実が不思議な均衡をたもって詩の世界で吊り合う。『糸切り歯の名前』から4年ぶりの新詩集。装画=筆者

2640円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4611-9
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】森山恵『むらさき野ゆき』

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新しい光へ


泥ふかく潜れば 太古はやがて咲くだろう
だから沈め 破船の扉を開けよ (はらいそ はらいそ ぐるりよざ
(「見えない波」)


「レディ・ムラサキと巡る言葉の旅と、あまたの巡礼者が目指した聖地への旅。森山氏の悠久の巡礼は二重らせんの形をとり、遠い歴史の呼び声に応えつつ、新たな言葉のゆかりの地へ導いてくれる」(石沢麻依)。はじまりのことばとともに、祈りとともに――。11年ぶり、待望の第5詩集。装幀=柳川貴代

2750円(税込)
A5判上製・120頁
ISBN978-4-7837-4614-0
近刊・予約受付中

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星隆雄『像年』

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オレマがれ


人さらいのような人
ばかりなら

わたしが書いた人は
人にはならない
(「葡萄紀」)


「見ている(が見ている/わたしは/あまりに顔に/なろうとして/ふたつの幻が/見つめ合う/それは噓でも/本当でもない/奇妙な感じに/髪がのびている」(「カンブリア」)。切断し、逆再生せよ、空のひび割れになるまで――。わたしたちを優しく祟る、17篇の詩。装幀=中島浩

〇同じ著者によって
『オブジェクト』

2530円(税込)
A5判並製・104頁
ISBN978-4-7837-4613-3
2025年5月刊

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北原千代『アンヌたちの庭』

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祈りとともに


陽の鳴るうちに
陽の鳴るうちに
息をわすれ交歓する指と指
(「庭の夢とめざめ」)


人はみな自身のなかに庭を持つ。 アンヌたちに導かれて……3年ぶりの新詩集。写真=Andrea Bielefeld

2640円(税込)
四六判変型上製・88頁
ISBN978-4-7837-4609-6
2025年4月刊

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小林坩堝『落下の夢――vergissmeinnicht』

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――わすれない


たったひと言云って欲しい
「朝焼けがきれいだよ」
           と
(「風船」)


小林坩堝の詩は、時代から追われるもの、抹殺されるもの、瘡蓋として忌避されるものに執着する。それが言語器官としての詩の言葉の揺るがない使命だとでもいうかのように。新しい詩集では、落下――すなわち羽と言語(重力)とのせめぎ合いに、あの《歴史の天使》を召喚する。鮮烈な第一詩集『でらしね』の紅い言語が「魔子」を呼び出したように。――時里二郎

犯罪でない生はない。愚行でない美はない。地上的なものどもは、その足にまとわりつく錘ゆえに、重力を信じてやまず、墜落のために飛ぶ。「もっと醜く」「いちばん美しく」——いま、この詩集を倫理と呼ぶことに躊躇いはない。――五所純子

第1詩集『でらしね』から作品集『小松川叙景』を経て、12年間書き継がれた詩篇からなる最新詩集。組版・装幀=佐野裕哉 装画=高澤伸雄

2420円(税込)
A5判変型並製・96頁
ISBN978-4-7837-4608-9
2025年4月刊

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沓掛良彦『恍惚惨人詩話 カスタリアの泉に汲んで――古典詩の記憶から』

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古典詩回顧


どういうものか自分の生まれた時代との折り合いが悪く、生まれてきたことを呪い、『荘子』に言う「幽憂之病」に悩み、常に自分は世に容れられぬ人間だとの疎外感を抱き続けてきたわたしのような人間にとって、古代・中世の世界こそが唯一やすらぎを得られる場であった。
(「古典詩回顧に寄せるぷろろごす」)


「沓掛氏は自ら己自身を「現代に生きる古代人」と公言してゐるが、やはり世の主流を横様に切り裂いて走る鋭い光の刃である。沓掛氏はギリシア・ローマの古代世界のみならず、中世文学からルネサンスに続くヨーロッパ文学、王朝文学における女流歌人の和泉式部や式子内親王、西行、一休、良寛、漢詩など東西の古典を幅広く論じてゐる。その批評精神の目の付け所がどこにあるか知ることは、日本文学の現況を匡し、日本の文化伝統を発展させる機縁となりうる」(伊藤勳)。
「Ⅰ 心惹かれた女性詩人たち」「Ⅱ ヨーロッパ古典詩の記憶から」「Ⅲ 東洋の古典詩逍遥回顧・落穂拾い」の3章からなる、古典詩世界への類をみない誘いの書。デザイン=原耕一・せい。発行=大和プレス

4400円(税込)
A5判変型上製函入・320頁
ISBN978-4-7837-3835-0
2025年4月刊

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遠野魔ほろ『がらんどうの夢』

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透明な手で


部屋の奥に形をなくしたいくつもの影
薄く濃くかさなりあったり はなれたり
輪郭を忘れたことの安堵 がらんどうの静けさ
(「家のスケッチ」)


「心ひとり/さりげなさ の 手のひら で/ふいに 目覚めては つくろっている/夢の きざはし/冷めない 美味しさを 聴いている」(川上明日夫)。まどろむ家、遠い日、揺らぐ影……。視線の先に自己を問う、枠外の詩景22篇。第2詩集。

〇同じ著者によって
『夜更けの椅子』

2200円(税込)
A5判変型並製・80頁
ISBN978-4-7837-4607-2
2025年4月刊

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時里二郎『伎須美野』

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息の器に


おとも
かたちも
なも
わすれられた
宙の

(「伎須美野 Ⅳ」)


「母はここでふたりのおまえを産んだ。ふたりだと、祖父ははっきり言った。《累代の祖父》の作る人形はそのように作られている」(「月森」)。私という波打ち際にたどり着いた漂流物。言葉を運ぶ容器としての詩へ。『名井島』からの新展開を明かす、7年ぶり待望の新詩集。装幀=水戸部功

〇同じ著者によって
現代詩文庫『時里二郎詩集』
『名井島』
〇関連書籍
「現代詩手帖」2019年7月号「特集Ⅰ・時里二郎――『名井島』を訪ねて」

2640円(税込)
A5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-4595-2
2025年3月刊

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紫圭子『未来のタチアオイへ』

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遥か、飛翔する翼


今朝
窓をあけると
世界の渦のなかでタチアオイの花がゆれている
(「未来のタチアオイへ」)


渥美半島から奄美大島、百済の古都、そしてネアンデルタール人の遺伝子の旅へ。天地を流れ巡るいのちの渦と響きあい、迸る聲の詩(ウタ)17篇。装幀=中島浩

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4606-5
2025年3月刊

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陳育虹/佐藤普美子訳『薄明光線その他』

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チカダ賞受賞詩人、待望の完訳


ごらん
庭をまるごと
野生に放つ
(「幾何学」)


「これらに共通するのは失われしもの、消え逝くもの、不可視のもの、すなわち不在のものを言葉によって喚び起こそうとする詩人の姿勢である」(訳者解説)
いま、名もなきものとなり、ひらかれた野生の庭へ――。歴史や災禍を捉えた機会詩、母の戦争の記憶が交差する長篇詩など、3つの章が織りなす深淵な世界。台湾を代表する、チカダ賞受賞詩人の到達点。

〇陳育虹氏、来日イベント開催決定!〈終了しました〉
3月22日(土)日台現代詩ミニセミナー「"Crossing"――言語、他者、未知へ」
3月23日(日)トーク&リーディング「わたしたちの詩の庭」

2750円(税込)
四六判並製・272頁
ISBN978-4-7837-2798-9
2025年3月刊

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中地中『四国遍路 あわのみち』

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魂の道程を批准する


大いなる魂から発する言語は
すべてのものが意思を通じ合う言語であり
人間の感性を遙かにこえた次元で流通する
珠玉の言葉は大いなる作業を克服したものへの恵与と
聖なる智慧はいう
(「大いなる魂」)


永劫の時間のなかで、偶然生を受けそして死を迎える人間。しかしその偶然には、実はなんらかの必然という真理が存在するのではないか――。生と死をモチーフに詩を紡いできた詩人が、四国遍路をめぐり、人間の生息、宗教をはじめとしたさまざまな歴史、事象、そして人々の思いなどを複合させ、詩に昇華させる。著者渾身の最新詩集。

2750円(税込)
A5判上製・198頁
ISBN978-4-7837-4605-8
2024年11月刊

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野木ともみ『その日も曇天で』

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会心の第3詩集


あやふやな終わりのとなりにすわっていよう
立ち上がったらもう何も感じないのだから
(「あやふやな終わり」)


「既成概念を相対化する透徹した視線は、自由を生み出す。言語と世界に深い洞察力を持つ詩人の確かな歩みが伝わってくる会心の詩集である」――佐川亜紀
「あやふや」のとなりで感じ続けること。光の渦の中ではなく、曇りの日にこそ見える自分と世界へ。詩25篇。

2530円(税込)
A5判変型並製・112頁
ISBN978-4-7837-4597-6
2025年1月刊

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山中六『一滴』

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二行詩の光り


一滴、落ちて波紋をよび
一行、天から舞い降りる
(「一滴」)


「山中六の詩は、そのユニークな感性と豊富なイメージ力に良質の特徴があると言えよう。それらの作品の中には、ユーモアもあり、時にはアフォリズムを連想させたりする」――高良勉
奄美群島体験からの始原の感性が波打つ。山之口貘賞受賞詩人による、待望の第8詩集。題字=著者

2200円(税込)
四六判変型上製・64頁
ISBN978-4-7837-4599-0
2024年10月刊

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花氷『オ・ラパン・アジルの夜』

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第1詩集

昨日という日から続いてやってきた、手紙のようなもの、なにもかも、全てが風により繋がっていることを想えば、なにも、想うほどではない、校庭の隅、言葉が土に染み込んでいくように、花が花の色を取り戻す。(「今日の風」)

詩の中に、大石貴也の、あいつの心の中に、ずっとずっと、いつかこうして爆発してやるんだ、という思いを込めた一行を見つけて、これは「本当のことば」だと思ったーー野田秀樹

本書は第一詩集にふさわしく、個々の詩はそれぞれに固有の形式的企みを携えている。だがそれらの総体から浮かび上がるのは、たくさんの喜びと痛みの記憶に満ちたひとりの人間の丸ごとの姿だ。ーー山田亮太

第62回現代詩手帖賞受賞詩人によるデビュー作。写真=花代、装幀=戸塚泰雄

2420円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4604-1
2024年11月刊

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