詩の本の思潮社

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新刊情報

【近刊・予約受付中】呉晟/明田川聡士訳『彼はまだ若い――呉晟二十一世紀詩集』

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台湾の国民的詩人の軌跡


我らの玉山、彼は今若い
激しい振動に何度も耐え
烈火が燃え盛り、斧や鋸で残された傷跡
苦難をともに歩んだ台湾と同じく、深い痛みが
彼を育てあげ、さらに育てあげる
(「彼はまだ若い」)


「詩は、まるで樹木のようだ。生活に根ざし、感動から芽吹き、思索から成長し、知恵から発展して、共鳴のなかで伝播する。(…)それならば、もう一度自分の新しい題材や作風、ひいては新しいスタイルでの創作の道筋が開けるのを期待したい」――呉晟

台湾を代表する詩人、呉晟。60余年にもわたる詩作と、芸術と社会を繫ぐ思考の鍛錬により、21世紀の台湾の人々や社会、自然環境の問題を包括的に表す。台湾文学奨受賞作、待望の完訳。

3080円(税込)
四六判並製・304頁
ISBN978-4-7837-2799-6
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】野村喜和夫『萩原VS西脇――二十世紀日本語詩の可能性』

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21世紀日本語詩の先へ
詩集・評論集同時刊行


世界=言語のこわばりを解くアナーキーな言葉の技法、それが西脇的諧謔であり、萩原から西脇へと渡された「二十世紀日本語詩」の可能性そのものである。
(「44 西脇的諧謔の射程」)


萩原朔太郎から西脇順三郎へと渡された「二十世紀日本語詩」の可能性とは何か。両詩人を徹底的に比較検討し、21世紀へと文学的連続性を展開する、実験的・多孔的評論集。装幀=中島浩

〇同じ著者によって
『地面の底のわれわれの顔――わが近未来近代』(2025年)
『パッサル、パッサル』(2024年)
『妖精DIZZY』(2021年)
『危機を生きる言葉――2010年代現代詩クロニクル』(2019年)
『デジャヴュ街道』(2017年)
『渦巻カフェ』(2013年・北川健次と共著)
『ヌードな日』(2011年・第50回藤村記念歴程賞)

3740円(税込)
A5判上製・312頁
ISBN978-4-7837-3836-7
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】野村喜和夫『地面の底のわれわれの顔――わが近未来近代』

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20世紀日本語詩を解き放つ
詩集・評論集同時刊行


プロジェクトは完了だ、私はもう詩は書かないが、
その沈黙をこのタワーに巻きつけて、黒い繭、
朔太郎の黒い繭としてそびえる、
断乎、そびえるのだ、
(「コクーン市逍遥――朔太郎をサンプリングしながら」)


蒲原有明から吉増剛造まで――20世紀日本語詩の豊饒な可能性を、多彩な書き換え行為によって解き放つ、時間錯誤的・近未来近代的新詩集。装幀=中島浩

〇同じ著者によって
『萩原VS西脇――二十世紀日本語詩の可能性』(2025年)
『パッサル、パッサル』(2024年)
『妖精DIZZY』(2021年)
『危機を生きる言葉――2010年代現代詩クロニクル』(2019年)
『デジャヴュ街道』(2017年)
『渦巻カフェ』(2013年・北川健次と共著)
『ヌードな日』(2011年・第50回藤村記念歴程賞)

3740円(税込)
A5判上製・192頁
ISBN978-4-7837-4637-9
近刊・予約受付中

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湖中千絵『流体に溶けただれかの音楽』

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精神の汽水域


通り過ぎていく人たち、靴の音、コンクリートのにおい、からだの内側にあった宝石たちが存在する外側のこの世界、に存在する、自分自身もその一部であることを。
(「宝石すくい」)


「純白への望み、銀の粉となって、散らばる願い。少女とは、この世の新たな天地創造を奏でる知恵者のことだろうか。湖中千絵は、生まれる前にいたところの暖気や冷気を感じながら、贖罪のようにことばを編み、遠い世界の悦びの響きをいまに重ねようとしている」――井坂洋子

永遠と瞬間、からだと幻想の境界は揺らぎ、文字にならないことばは、さざなみのような歌になる――2025年の「ユリイカの新人」が奏でる第1詩集。装幀=花山周子

2530円(税込)
四六判上製・104頁
ISBN978-4-7837-4636-2
2025年11月刊

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川上雨季『光をつたって』

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第2詩集


ハロー海

そちらの世界はどうですか
そちらの世界は

(「いくつもの海」)


詩集『光をつたって』にある言葉は、 今を生きるその生の断片をあざやかに切りとる。だけでなく、そこにひそむ不安や痛みを生の言葉で浮き彫りにする。川上雨季の詩はこの不安や痛みを光のようにまとってステップを踏みだしてゆく。──朝吹亮二

「せかい」にひらかれたことばは、「光」を伝って、たゆたい、つらなり、はがれ、うつろう。語り手はときに言い澱み、文体は自ずと変化を希いながら、「わたし」と「あなた」との硲を、時明かりのように照らし出す。──井上法子

北陸での生活、能登の大地震、たくさんの傷みを引き受けながら、それでも世界はうつくしい。インカレポエトリ叢書の第2弾として刊行された『節節』から5年ぶり、第2詩集。装画=齋藤春佳 撮影=上野則宏 組版・装幀=佐野裕哉

川上雨季(かわかみ・うき)
1999年神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。第1詩集に『節節』(インカレポエトリ叢書2、2020年、七月堂)、責任編集として『とある日 詩と歩むためのアンソロジー』(2023年、とある日編集部)、同作にて第12回エルスール財団新人賞現代詩部門を受賞。

2530円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4635-5
2025年11年刊

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宮内喜美子『追悼の光を抱く女』

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たましいの発光


覆っても
覆っても
微細な孔をさぐりあて
奥深いところから
洩れこぼれてしまう

(「追悼の光を抱く女」)


「追悼の光を抱く女」は、ドリート・ヤーコビ展で心揺さぶられた作品の中の一作で、そこには稚いころ憧れた絵画世界が、より現代的な深い屈折を秘めて表現されていた」(あとがき)。ドリート・ヤーコビの絵画に触発された表題作をはじめ、先に逝った友人たち、女性たちへの挽歌を奏でる。装画=著者

2530円(税込)
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4624-9
2025年11月刊

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いのうえあき『象のいる川』

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空隙の境界線


境目が、ふらっと行方不明になるとき
ざらざらざらざら
砂の移動するおとが
耳の中でずっときこえる
(「内と外」)


「移動、回帰、生命体。いのうえあきの言語的想像力の中で、この三者が絶えず戯れている。抽象も具体もない。生命体が移動すればそれは必ず回帰なのだし、回帰と移動が先を争うように現象すれば、それは必ず生命体なのだ。もちろん、ひたひたと死に涵養されて。こうしていのうえあきは、おそらく果てまできたのだ。詩を生きることの果てまで」――野村喜和夫
記憶が水路にしたたり、うちから外へ、未知の詩の運動が始まる。第2詩集。装幀=長澤昌彦

2640円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-4633-1
2025年10月刊

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たかきびわ『かみのけの川』

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第63回現代詩手帖賞


丘をくだったら
もうかえらない、というしるしだ
だれも二度とかえってこなかった
わたしは海のみえるところまで
はしってきた
(「誕生日」)


「記憶のからだの奥底で疼く受難の痕を、たかきびわの詩は覆い隠さない。出発点としてやわらかく踏みしめ、走り出す。強靭かつ無垢な力を宿して行は流れ、言葉のからだは再生へ、さらにその先へ、行く。この眩い痛みとひかりに、打たれろ。」――川口晴美
「空のバスタブに坐りこんでいた少女。存在を否定された少女は、自分が存在することの意味を手探りでつかみとろうとした。たかきびわの詩は、はかないようにみえて根強い。それは私たちの詩に新たな勇気を与えるだろう。」――近藤洋太
むすびめをほどき、全身でことばを生きる。鮮烈な第一詩集。装幀=佐々木陽介

2200円(税込)
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4634-8
2025年10月刊

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池下和彦『大切』

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暮らしのなかの尋常


遠くに届いて
近くに届かない
近くに届いて
あなたに届かない
(「ふしぎ」)


長い歳月を生きていまも、日々の暮らしのなかで、すこし違うきょうに気づく。ひと、もの、とき、こと――生の機微と深い思いを飄然とした筆遣いで表した、43の詩篇。

もくじ―――Ⅰ ひと●ふしぎ〇お宝〇了解です〇特等席〇おすそわけ〇おもいのほか〇もったいなくも〇そっくり〇オノマトペ〇羽目〇微妙に〇百面相
Ⅱ もの●じかに〇口〇かぎ裂き〇客〇意地〇逆転〇用途〇和菓子〇おさがり〇軍手〇タニシ
Ⅲ とき●身におぼえ〇ひっそり〇きょうのまま〇目じるし〇命拾い〇日常茶飯〇のぼり坂〇先輩〇あしたの新聞〇日の入り
Ⅳ こと●オムレツ〇見守り〇内実〇訪問者〇とりあえず〇日課〇うわのそら〇ガセネタ〇ネタ切れ〇平凡

2420円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4631-7
2025年10月刊

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ジャン=ミッシェル・モルポワ/有働薫訳『花通り』

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侘しい郊外から


晩には戸口で音楽を聴く
そして八時から先は窓という窓が青い
聴いたり眺めたりするが、互いに話し合うことは何もない
だがつねに黄色い小さな壁が探し求められる
(「黄色い小さな壁」)


「詩的理想に力強くつながる詩句は、表現意欲と精密に結びついた形式の探求であり、太陽にかざしたエキュ金貨のような《黄色い小さな壁》につながっている」――マルク・コベール
2022年ゴンクール賞詩部門賞を受賞したフランス現代詩の旗手による最新詩集。長く翻訳で並走してきた訳者が贈る、リリスム・クリティークのエッセンス!解説=マルク・コベール。装幀=中島浩

〇同じ著者によって
『イギリス風の朝』(2018年)
〇同じ訳者によって
現代詩文庫『有働薫詩集』(2024年)
『露草ハウス』(2020年)
『モーツァルトになっちゃった』(2014年)
『幻影の足』(2010年・第28回現代詩花椿賞)

2750円(税込)
四六判上製・144頁
ISBN978-4-7837-2633-3
2025年10月刊

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『高橋睦郎詩作集成Ⅰ』

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見果てぬ夢、その出発


落ちてゆく ただよう花のような深淵
鎗のように みずからの重さに
かがやきながら 落ちる
(「眠りと犯しと落下と」)


永遠に捉え得ぬ詩を、それでも求めつづけねばやまぬ行為が詩作だ。信念の詩人七十余年の見果てぬ夢の集成全五巻の第一巻。十四歳から二十歳代終わりまで。幻の第一詩集全篇、第二、第三、第四詩集の谷川俊太郎、三島由紀夫、澁澤龍彦の跋文すべて収録。月報として井上隆史との対話を付す。
【収録詩集】
ミノ あたしの雄牛/薔薇の木 にせの恋人たち/眠りと犯しと落下と/汚れたる者はさらに汚れたることをなせ/頌/巨人伝説/舊詩篇 さすらひといふ名の地にて
装幀=半澤潤
発行=大和プレス 編集・発売=思潮社

〇同じ著者によって
『深きより 二十七の聲』(2020年・第63回毎日芸術賞)
『つい昨日のこと 私のギリシア』(2018年)
現代詩文庫『続続・高橋睦郎詩集』(2015年)

8800円(税込)
A5判上製布クロス装貼函入・308頁
ISBN978-4-7837-2388-2
2025年10月刊

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黒岩隆『南天鳩』

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片足に瘤ある鳩と


鳩は 俯いたまま
私の欠片を啄み続ける
夕月が照らす
ここは
わたしたち
瑕疵の領分だから
(「南天鳩」)


月の夜 芦騒ぐ湖畔に生まれ、不穏な銀波にあやされ、生きてきた。寂寥ホテルの裏道を猿酒求め 歩いている歳月――。短い詩行に滲む滋味。奥行と陰影、そして優しさ。第13回三好達治賞、第55回歴程賞受賞の『青蚊帳』から7年ぶりの新詩集。装幀=間村俊一+山根佐保 装画=佐中由紀枝

2750円(税込)
A5判上製・88頁
ISBN978-4-7837-4625-6
2025年9月刊

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神田さよ『鳥になる』

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亡き人たちに


痛む眼の奥
死者たちは
何処へ向かっていくのだろう
(「波間で」)


「固い嘴はカチカチと小刻みに震え/いつのまにか言葉を持たない鳥になったわたし/首を傾げ暗い空を見つめている」(「鳥になる」)。震災、コロナ、戦争――。人間の尊厳回復の希望はどこにあるのか。無慈悲な死の現場を凝視し、物語へと飛翔させる30篇。

〇同じ著者によって
『海のほつれ』(2020年)
『傾いた家』(2015年)

2750円(税込)
A5判上製・108頁
ISBN978-4-7837-4630-0
2025年9月刊

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笹本淙太郎『時と貫流』

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劫初の海へ


ふたたびの泊を巡る
ありふれた今日の居住まいを正し
時を貫いていく。
(「時と貫流」)


生涯はその蓑笠(さりゅう)を倹(つま)しく背負った痩躯の、小川である。うつろう万象の深邃を照らし、佇立する精神の時明かり。11年の集成となる第2詩集。

〇同じ著者によって
『有の光芒』(2014年)

2640円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-4628-7
2025年9月刊

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恵矢『ピープルライクユー』

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声のところまで


光ってる、光ってる。
昼間の光に光ってる。
夢の中のどこかまでは現実なのです。
(「光ってよアルミ」)


「この詩集のなかには、ピープル ライク ミー……? と思える何人もが生きて、息づいていた。本当には触れることのできない魂の毛羽立つような感触を求めて指先を動かすように言葉を走り出させたのは、私なんじゃないか」(川口晴美)。あなたと私、生と死、言葉と現実のずれを生きていく16の声。第2詩集。装画=大本幸大、装幀=中島浩

2640円(税込)
A5判変型並製・112頁
ISBN978-4-7837-4629-4
2025年9月刊

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