詩の本の思潮社

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新刊情報

【近刊・予約受付中】恵矢『ピープルライクユー』

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声のところまで


光ってる、光ってる。
昼間の光に光ってる。
夢の中のどこかまでは現実なのです。
(「光ってよアルミ」)


「この詩集のなかには、ピープル ライク ミー……? と思える何人もが生きて、息づいていた。本当には触れることのできない魂の毛羽立つような感触を求めて指先を動かすように言葉を走り出させたのは、私なんじゃないか」(川口晴美)。あなたと私、生と死、言葉と現実のずれを生きていく16の声。第2詩集。装画=大本幸大、装幀=中島浩

2640円(税込)
A5判変型並製・112頁
ISBN978-4-7837-4629-4
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】大橋政人『初歩的な質問』

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宇宙暦、今日は何年、何月、何日?


宇宙は
近づいて来ていて
私の足元まで及んでいる
(「宇宙と私」)


自然の動きは人間の目には信じがたい。カタチがないのに広がり続け、横の方に滑り落ちながらうずくまって笑っている。「初歩的な質問」も、妙技を楽しみながら口を尖らせ、もぐもぐといつも何か言おうとしている――。世界をいっしんに見つめ、ありのままの不思議と向き合ってきた詩人による、渾身の一冊。

〇同じ著者によって
『反マトリョーシカ宣言』(2022年)
『朝の言葉』(2018年)
『まどさんへの質問』(2016年・第12回三好達治賞)

2750円(税込)
A5判上製・120頁
ISBN978-4-7837-4627-0
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】高橋修宏『Echo Island』

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抒情と叙事の見事な構築


(日が没すると) ホモ・サピエンスの頭蓋ほどの一箇の椰子の実とすれ違い 名前が消された島へ 流れていった(「渡海」)


高橋修宏作品の構造が、修辞が変わろうとしている。変わるのはいつだって祝福すべきこと。ことに今の今、私たち生者も、死者も、地球も、宇宙も、そして無も、計量を超えた音を立てて、根こそぎ変わる途上にある。ーー高橋睦郎

引き裂かれた海の奥から幻の島が浮かび上がる。奪われた懐かしい島を探して、朽ちた独木舟が波に漂う。降りそそぐ白いものは雪か花か、それとも灰なのだろうか。ーー中本道代

かつて世界各国で行われた水爆実験に題材を求め、今なお解決しない社会課題に向き合いながら、これまでの経験に裏打ちされた抒情と叙事の稠密なる世界を幻想性豊かに描く。11年ぶりの新詩集。装幀=伊藤久恵

高橋修宏(たかはし・のぶひろ)
1955年東京都生まれ。考古学・人類学専攻。詩人・俳人・クリエイティブディレクター。俳誌「五七五」、詩誌「NS」編集発行人。富山県詩人協会会長、現代俳句協会評議員、日本現代詩人会会員。著作に詩集『水の中の羊』(北陸現代詩人奨励賞)『作庭記』『MOTHER HOTEL』など5冊。句集『夷狄』『蜜楼』『虚器』。評論集『真昼の花火』『鈴木六林男の百句』など。現代俳句評論賞選考委員、口語詩句賞選考委員、とやま映像祭コーディネーター。富山市在住。

3080 円(税込)
A5判コデックス製・112頁
ISBN978-4-7837-4626-3
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】藤井雅人『響きの涯』

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万象は音符のように


星々と虫たちの連禱を
夜がつなぎあわせる
黒い夢を判じつづける天頂の小さな目
(「夜」)


「音楽は、ある時間の中に旋律を展開し、記憶に定着させることによって時間に不変の形態を与える。それは音によって触発された一つの体験が開始から終止に至る道程とも思える。その意味で音楽は人間がこの世を生きたことの証であり、消散する時間に抗って築かれた生の殿堂であろう」(あとがき)。
うつろいゆく時のなかで、あらゆる事象は音楽を奏でている。大きなはじまりを予感させるかすかなさざなみから、静かに帳をおろしてなおも光るものまで、そのさまざまな響きあいを精妙にうつしだす、詩19篇。装幀=中島浩

2640円(税込)
A5判上製・84頁
ISBN978-4-7837-4622-5
近刊・予約受付中

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高柳誠『光の階梯/闇の折り目』

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刻印


М嬢のアリアは、黒々とした闇の集合体そのものがおのずからうたと化すことによって、非在の、決して見ることのできぬ不吉な閃光を要請する。
(「М嬢のアリア」)


「飛礫こそは、日常をおおいつくす緩慢とした地続きの変動ではなく、断裂を飛びこえることによって一挙に別世界を出現させる、非連続的な思考の華なのである」(「飛礫考」)。
硝子頭……嗜眠の町……夢切り場……。異域との境界を超えた果てに、存在の闇の幾重もの折り目に宇宙の摂理を見る、非線形の詩学。「現代詩手帖」好評連載詩、待望の書籍化!装幀=中島浩

2860円(税込)
B5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-4623-2
2025年7月刊

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城戸朱理『海洋性』

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蒼ざめた鯨に


世界の果ては自分の背中にしかなく
終わりと始まりが衝突しては
時間が死ぬときが近づいている
(「血の日曜日」)


「その歌声から「52」と呼ばれる彼は、世界でもっとも孤独なクジラであり、三十年の間、誰も応えてくれない歌を歌い続けている。その歌は人間にしか聞こえない」(「誰にも聞こえない歌」)。この世界は人間のためにあるのではない。人新世に近代的な人文主義の超克をはかる叙事詩への試み。新詩集2冊同時刊行!装幀=井原靖章

〇同じ著者によって
『火山系』(2025年)
『漂流物』(2012年・第30回現代詩花椿賞)在庫僅少・美本なし
『世界-海』(2010年)
『幻の母』(2010年・第61回芸術選奨文部科学大臣新人賞)

2750円(税込)
A5判変型上製・128頁
ISBN978-4-7837-4620-1
2025年8月刊

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城戸朱理『火山系』

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列島の底に揺らぐ


かなしみばかりが積もってゆく
誰かが泣いていた
夜の底を震わすように。
(「ユーラシア書簡」)


「荒ぶる神、素戔嗚尊もまた、火山神としての相貌を持っている。私は大地に立って、地の底からの震度を感得する。そして、そこから、詩を書き始める。「そして、始まりは火に包まれていた」と」(「Elements」)。人新世、終わりの始まりに、私たちはどこに立っているのか。詩の新生に向けて、抒情から叙事に架橋する連作。新詩集2冊同時刊行!装幀=井原靖章

〇同じ著者によって
『海洋性』(2025年)
『漂流物』(2012年・第30回現代詩花椿賞)在庫僅少・美本なし
『世界-海』(2010年)
『幻の母』(2010年・第61回芸術選奨文部科学大臣新人賞)

2860円(税込)
A5判変型上製・144頁
ISBN978-4-7837-4619-5
2025年8月刊

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金井雄二『蒼い森の奥へ』

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いつもそこに


父といっしょに
車に乗った
言葉を交わさない
夏の光の午後だった
(「運転手の心得」)


「だが、決して大きな声は出さない。サワサワと身をくねらせ葉と葉、枝と枝をこすり合わせて、未完の言語で会話するのである。家族は血だけでつながりあっているのではない。何年経っても朽ちないように根を張り、太い幹に支えられ、毎年葉を繁らせ、枝を伸ばし続け、つながろうと努力しているのだ」(「沈黙の家族」)。
どこにでもいる小さな家族、でも私だけの家族。父母を見送っていま、書かねばならなかったものへ――。やわらかな声でこころの底にわけいっていく、詩30篇。装画=辻憲

〇同じ著者によって
現代詩文庫『金井雄二詩集』(2024年)
『むかしぼくはきみに長い手紙を書いた』(2020年)
『朝起きてぼくは』(2015年・第23回丸山薫賞)
『ゆっくりとわたし』(2010年)

2420円(税込)
A5判変型並製・96頁
ISBN978-4-7837-4621-8
2025年7月刊

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伊藤芳博『星を拾う』

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〈いのち〉瞬く


その娘は星を拾ってくる
わずかでも零してしまったら家にはもどれないいのち
の水の入った木桶を抱えるように
腕のなかをひかりでいっぱいにして
(「星を拾う」)

世界の不条理や絶望をみつめ、祈りを紡ぐ21篇。
前詩集『いのち/こばと』から5年ぶりの新詩集。

伊藤芳博(いとう・よしひろ)
岐阜県生まれ。大学時代、後輩の榊原淳子と同人誌活動を始める。91年『どこまで行ったら嘘は嘘?』(帯文・藤富保男)で福田正夫賞。2003年『洞窟探検隊』は帯文・谷川俊太郎。2020年『いのち/こばと』で中日詩賞。ヨルダン川西岸地区に入域するなどして、パレスチナについても発信している。

2420円(税込)
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4617-1
2025年7月刊

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柴田千晶『イエダマ』

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孤独死とか、
あたしの死を勝手に決めつけないで――


家の中に死体がある
大半は敷布団に仰臥したまま白骨化
あるいはミイラ化しており
凄絶な腐臭を放ち
無残な姿をこの世に晒し続けている

人工島の物流倉庫で働くあたし、
アパートの老姉妹、介護ヘルパー、
ニュータウンの主婦たち、水を売る女.....
漂流物のような彼女たちが流れついた現在。

柴田千晶(しばた・ちあき)
詩人、俳人、シナリオライター。第5回ラ・メール新人賞受賞。詩集に、東電OL殺人事件を題材にした『空室』、藤原龍一郎氏の短歌とコラボした『セラフィタ氏』(第40回横浜詩人会賞)、『生家へ』など。句集『赤き毛皮』(金雀枝舎)、共著『超・新撰21』『再読・波多野爽波』、映画「ひとりね」(馬場當と共同執筆)など。詩誌「DownBeat」「hotel第2章」、俳句誌「街」同人。余白句会メンバー。

2640円(税込)
四六判並製・120頁
ISBN978-4-7837-4618-8
2025年7月刊

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久原みな子『生成』

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第1詩集


ひとのたましいは詩を待っている
詩によってしか
目覚めることのできないなにかを

祈りに導かれて、観るもの、聴くものへの応答として。

長い時間をかけて、はるか詩の原郷のようなところからやってきた言葉たち。 その本領は、時には祈りの潜勢にも似た簡潔な文字列の配置のうちに、 私たちの生という生成する運動体を、その「未生の航跡」までも掬いとろうとする。 忍耐の果てにもたらされる恩寵の秘儀に、さあ私たちも立ち会おう。――野村喜和夫

あなたは、詩のことばに呼ばれている。 彼方から、遠い向こう岸から、暗い闇の中から。 それは恩寵であり、祝福でもあるだろう。 あなたも、わたしたちも、生きるために。――高貝弘也

2640円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4615-7
2025年6月刊

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進藤ひろこ『からだの森のわかれみち』

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もどれない


いけない いけない
そっちはいけない
そのみちいったら もどれない
(「からだの森のわかれみち」)

言葉は、身体は、もっと自由になれる。
『森がたり』から5年ぶりの新詩集。写真=著者

前詩集で森の詩人として存在証明を果たした著者は、さらに歩をすすめる。 「耳の小舟」を曳き、そこに「ことばの子供たち」を乗せ、揺らぎは揺らぎのままに、記憶と現在の交錯のなかを、もはや森さえも抜けて生そのものの奥処へと。――野村喜和夫

身体の隘路でひっそりたたずむ、未生の記憶たち。 時が満ちると言葉の小舟に揺られ、光る音にさそわれて、柔らかな息を溶かしていく。点は果てになり、宇宙は片隅になる。――ヤリタミサコ

2530円(税込)
四六判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4612-6
2025年6月刊

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北川朱実『乾杯』

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仮縫いの天体で


もうすぐ草木に埋もれる
その前にと

見えない手が
グラスを高く揚げる
(「乾杯!」)


「千年のコーヒーの木の下/背中だけになった妹に/さがし続けた時間が降り続けている//この天体は/何の仮縫いなのだろう」(「遊星」)。懐かしい人びと、渦巻く時間が溶け合ってグラスが揺れる。体の奥に、誰も知らない海が一つある。忘れえぬ光景を連れて、夜明けへと彷徨う新詩集。装画=辻憲

〇同じ著者によって
『遠く、水門がひらいて』(2020年)
『夜明けをぜんぶ知っているよ』(2017年・第29回富田砕花賞)
『三度のめしより』(2015年)

2750円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4616-4
2025年6月刊

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三井喬子『銀平』

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いただきます


ひらひらひらと舞いかかる
七色の虹せつなくも
銀平!
(「銀平」)


「銀平」という魚の夢で目覚めた。「わたしは、生涯、この夢を忘れることはないだろう」。演ずるように詩を書いてきた。三つ子の魂百まで。わたしは詩のなかで、少女にも老婆にもなれる。軽やかな諧謔。現代詩文庫『三井喬子詩集』をへて、前詩集『山野さやさや』から6年ぶりの新詩集。

2640円(税込)
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4610-2
2025年5月刊

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尾世川正明『シュレーディンガーの白いねこ』

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噓からでた真実?


ねこは猫らしく見えて恐らくは猫ではないのだ
でもそのねこはただの譬え話でもない
ねこは少し前に金属の箱から取り出されたばかりで
箱のなかでは生と死のいずれをも重ね合わせた存在であった
(「シュレーディンガーの白いねこ」)


「わたしの詩の材料はわたしの身の回りや、たまたま興味を持った物事から湧いてくるものを拾う。しかし書いたものを見直すとずいぶん噓っぱちを並べたものだと自分でも可笑しくなる。だがその噓っぱちをさらに子細にみると、わたしだけの真実がこびりついている」(あとがき)。虚と実が不思議な均衡をたもって詩の世界で吊り合う。『糸切り歯の名前』から4年ぶりの新詩集。装画=筆者

2640円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4611-9
2025年5月刊

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