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新刊情報

【近刊・予約受付中】ジャン=ミッシェル・モルポワ/有働薫訳『花通り』

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侘しい郊外から


晩には戸口で音楽を聴く
そして八時から先は窓という窓が青い
聴いたり眺めたりするが、互いに話し合うことは何もない
だがつねに黄色い小さな壁が探し求められる
(「黄色い小さな壁」)


「詩的理想に力強くつながる詩句は、表現意欲と精密に結びついた形式の探求であり、太陽にかざしたエキュ金貨のような《黄色い小さな壁》につながっている」――マルク・コベール
2022年ゴンクール賞詩部門賞を受賞したフランス現代詩の旗手による最新詩集。長く翻訳で並走してきた訳者が贈る、リリスム・クリティークのエッセンス!解説=マルク・コベール。装幀=中島浩

〇同じ著者によって
『イギリス風の朝』(2018年)
〇同じ訳者によって
現代詩文庫『有働薫詩集』(2024年)
『露草ハウス』(2020年)
『モーツァルトになっちゃった』(2014年)
『幻影の足』(2010年・第28回現代詩花椿賞)

2750円(税込)
四六判上製・144頁
ISBN978-4-7837-2633-3
近刊・予約受付中

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【近刊・予約受付中】『高橋睦郎詩作集成Ⅰ』

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見果てぬ夢、その出発


落ちてゆく ただよう花のような深淵
鎗のように みずからの重さに
かがやきながら 落ちる
(「眠りと犯しと落下と」)


永遠に捉え得ぬ詩を、それでも求めつづけねばやまぬ行為が詩作だ。信念の詩人七十余年の見果てぬ夢の集成全五巻の第一巻。十四歳から二十歳代終わりまで。幻の第一詩集全篇、第二、第三、第四詩集の谷川俊太郎、三島由紀夫、澁澤龍彦の跋文すべて収録。月報として井上隆史との対話を付す。
【収録詩集】
ミノ あたしの雄牛/薔薇の木 にせの恋人たち/眠りと犯しと落下と/汚れたる者はさらに汚れたることをなせ/頌/巨人伝説/舊詩篇 さすらひといふ名の地にて
装幀=半澤潤
発行=大和プレス 編集・発売=思潮社

〇同じ著者によって
『深きより 二十七の聲』(2020年・第63回毎日芸術賞)
『つい昨日のこと 私のギリシア』(2018年)
現代詩文庫『続続・高橋睦郎詩集』(2015年)

8800円(税込)
A5判上製布クロス装貼函入・308頁
ISBN978-4-7837-2388-2
近刊・予約受付中

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黒岩隆『南天鳩』

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片足に瘤ある鳩と


鳩は 俯いたまま
私の欠片を啄み続ける
夕月が照らす
ここは
わたしたち
瑕疵の領分だから
(「南天鳩」)


月の夜 芦騒ぐ湖畔に生まれ、不穏な銀波にあやされ、生きてきた。寂寥ホテルの裏道を猿酒求め 歩いている歳月――。短い詩行に滲む滋味。奥行と陰影、そして優しさ。第13回三好達治賞、第55回歴程賞受賞の『青蚊帳』から7年ぶりの新詩集。装幀=間村俊一+山根佐保 装画=佐中由紀枝

2750円(税込)
A5判上製・88頁
ISBN978-4-7837-4625-6
2025年9月刊

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神田さよ『鳥になる』

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亡き人たちに


痛む眼の奥
死者たちは
何処へ向かっていくのだろう
(「波間で」)


「固い嘴はカチカチと小刻みに震え/いつのまにか言葉を持たない鳥になったわたし/首を傾げ暗い空を見つめている」(「鳥になる」)。震災、コロナ、戦争――。人間の尊厳回復の希望はどこにあるのか。無慈悲な死の現場を凝視し、物語へと飛翔させる30篇。

〇同じ著者によって
『海のほつれ』(2020年)
『傾いた家』(2015年)

2750円(税込)
A5判上製・108頁
ISBN978-4-7837-4630-0
2025年9月刊

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笹本淙太郎『時と貫流』

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劫初の海へ


ふたたびの泊を巡る
ありふれた今日の居住まいを正し
時を貫いていく。
(「時と貫流」)


生涯はその蓑笠(さりゅう)を倹(つま)しく背負った痩躯の、小川である。うつろう万象の深邃を照らし、佇立する精神の時明かり。11年の集成となる第2詩集。

〇同じ著者によって
『有の光芒』(2014年)

2640円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-4628-7
2025年9月刊

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恵矢『ピープルライクユー』

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声のところまで


光ってる、光ってる。
昼間の光に光ってる。
夢の中のどこかまでは現実なのです。
(「光ってよアルミ」)


「この詩集のなかには、ピープル ライク ミー……? と思える何人もが生きて、息づいていた。本当には触れることのできない魂の毛羽立つような感触を求めて指先を動かすように言葉を走り出させたのは、私なんじゃないか」(川口晴美)。あなたと私、生と死、言葉と現実のずれを生きていく16の声。第2詩集。装画=大本幸大、装幀=中島浩

2640円(税込)
A5判変型並製・112頁
ISBN978-4-7837-4629-4
2025年9月刊

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大橋政人『初歩的な質問』

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宇宙暦、今日は何年、何月、何日?


宇宙は
近づいて来ていて
私の足元まで及んでいる
(「宇宙と私」)


自然の動きは人間の目には信じがたい。カタチがないのに広がり続け、横の方に滑り落ちながらうずくまって笑っている。「初歩的な質問」も、妙技を楽しみながら口を尖らせ、もぐもぐといつも何か言おうとしている――。世界をいっしんに見つめ、ありのままの不思議と向き合ってきた詩人による、渾身の一冊。

〇同じ著者によって
『反マトリョーシカ宣言』(2022年)
『朝の言葉』(2018年)
『まどさんへの質問』(2016年・第12回三好達治賞)

2750円(税込)
A5判上製・120頁
ISBN978-4-7837-4627-0
2025年9月刊

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高橋修宏『Echo Island』

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抒情と叙事の見事な構築


(日が没すると) ホモ・サピエンスの頭蓋ほどの一箇の椰子の実とすれ違い 名前が消された島へ 流れていった(「渡海」)


高橋修宏作品の構造が、修辞が変わろうとしている。変わるのはいつだって祝福すべきこと。ことに今の今、私たち生者も、死者も、地球も、宇宙も、そして無も、計量を超えた音を立てて、根こそぎ変わる途上にある。ーー高橋睦郎

引き裂かれた海の奥から幻の島が浮かび上がる。奪われた懐かしい島を探して、朽ちた独木舟が波に漂う。降りそそぐ白いものは雪か花か、それとも灰なのだろうか。ーー中本道代

かつて世界各国で行われた水爆実験に題材を求め、今なお解決しない社会課題に向き合いながら、これまでの経験に裏打ちされた抒情と叙事の稠密なる世界を幻想性豊かに描く。11年ぶりの新詩集。装幀=伊藤久恵

高橋修宏(たかはし・のぶひろ)
1955年東京都生まれ。考古学・人類学専攻。詩人・俳人・クリエイティブディレクター。俳誌「五七五」、詩誌「NS」編集発行人。富山県詩人協会会長、現代俳句協会評議員、日本現代詩人会会員。著作に詩集『水の中の羊』(北陸現代詩人奨励賞)『作庭記』『MOTHER HOTEL』など5冊。句集『夷狄』『蜜楼』『虚器』。評論集『真昼の花火』『鈴木六林男の百句』など。現代俳句評論賞選考委員、口語詩句賞選考委員、とやま映像祭コーディネーター。富山市在住。

3080 円(税込)
A5判コデックス製・112頁
ISBN978-4-7837-4626-3
2025年8月刊

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藤井雅人『響きの涯』

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万象は音符のように


星々と虫たちの連禱を
夜がつなぎあわせる
黒い夢を判じつづける天頂の小さな目
(「夜」)


「音楽は、ある時間の中に旋律を展開し、記憶に定着させることによって時間に不変の形態を与える。それは音によって触発された一つの体験が開始から終止に至る道程とも思える。その意味で音楽は人間がこの世を生きたことの証であり、消散する時間に抗って築かれた生の殿堂であろう」(あとがき)。
うつろいゆく時のなかで、あらゆる事象は音楽を奏でている。大きなはじまりを予感させるかすかなさざなみから、静かに帳をおろしてなおも光るものまで、そのさまざまな響きあいを精妙にうつしだす、詩19篇。装幀=中島浩

2640円(税込)
A5判上製・84頁
ISBN978-4-7837-4622-5
2025年8月刊

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高柳誠『光の階梯/闇の折り目』

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刻印


М嬢のアリアは、黒々とした闇の集合体そのものがおのずからうたと化すことによって、非在の、決して見ることのできぬ不吉な閃光を要請する。
(「М嬢のアリア」)


「飛礫こそは、日常をおおいつくす緩慢とした地続きの変動ではなく、断裂を飛びこえることによって一挙に別世界を出現させる、非連続的な思考の華なのである」(「飛礫考」)。
硝子頭……嗜眠の町……夢切り場……。異域との境界を超えた果てに、存在の闇の幾重もの折り目に宇宙の摂理を見る、非線形の詩学。「現代詩手帖」好評連載詩、待望の書籍化!装幀=中島浩

2860円(税込)
B5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-4623-2
2025年7月刊

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城戸朱理『海洋性』

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蒼ざめた鯨に


世界の果ては自分の背中にしかなく
終わりと始まりが衝突しては
時間が死ぬときが近づいている
(「血の日曜日」)


「その歌声から「52」と呼ばれる彼は、世界でもっとも孤独なクジラであり、三十年の間、誰も応えてくれない歌を歌い続けている。その歌は人間にしか聞こえない」(「誰にも聞こえない歌」)。この世界は人間のためにあるのではない。人新世に近代的な人文主義の超克をはかる叙事詩への試み。新詩集2冊同時刊行!装幀=井原靖章

〇同じ著者によって
『火山系』(2025年)
『漂流物』(2012年・第30回現代詩花椿賞)在庫僅少・美本なし
『世界-海』(2010年)
『幻の母』(2010年・第61回芸術選奨文部科学大臣新人賞)

2750円(税込)
A5判変型上製・128頁
ISBN978-4-7837-4620-1
2025年8月刊

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城戸朱理『火山系』

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列島の底に揺らぐ


かなしみばかりが積もってゆく
誰かが泣いていた
夜の底を震わすように。
(「ユーラシア書簡」)


「荒ぶる神、素戔嗚尊もまた、火山神としての相貌を持っている。私は大地に立って、地の底からの震度を感得する。そして、そこから、詩を書き始める。「そして、始まりは火に包まれていた」と」(「Elements」)。人新世、終わりの始まりに、私たちはどこに立っているのか。詩の新生に向けて、抒情から叙事に架橋する連作。新詩集2冊同時刊行!装幀=井原靖章

〇同じ著者によって
『海洋性』(2025年)
『漂流物』(2012年・第30回現代詩花椿賞)在庫僅少・美本なし
『世界-海』(2010年)
『幻の母』(2010年・第61回芸術選奨文部科学大臣新人賞)

2860円(税込)
A5判変型上製・144頁
ISBN978-4-7837-4619-5
2025年8月刊

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金井雄二『蒼い森の奥へ』

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いつもそこに


父といっしょに
車に乗った
言葉を交わさない
夏の光の午後だった
(「運転手の心得」)


「だが、決して大きな声は出さない。サワサワと身をくねらせ葉と葉、枝と枝をこすり合わせて、未完の言語で会話するのである。家族は血だけでつながりあっているのではない。何年経っても朽ちないように根を張り、太い幹に支えられ、毎年葉を繁らせ、枝を伸ばし続け、つながろうと努力しているのだ」(「沈黙の家族」)。
どこにでもいる小さな家族、でも私だけの家族。父母を見送っていま、書かねばならなかったものへ――。やわらかな声でこころの底にわけいっていく、詩30篇。装画=辻憲

〇同じ著者によって
現代詩文庫『金井雄二詩集』(2024年)
『むかしぼくはきみに長い手紙を書いた』(2020年)
『朝起きてぼくは』(2015年・第23回丸山薫賞)
『ゆっくりとわたし』(2010年)

2420円(税込)
A5判変型並製・96頁
ISBN978-4-7837-4621-8
2025年7月刊

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伊藤芳博『星を拾う』

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〈いのち〉瞬く


その娘は星を拾ってくる
わずかでも零してしまったら家にはもどれないいのち
の水の入った木桶を抱えるように
腕のなかをひかりでいっぱいにして
(「星を拾う」)

世界の不条理や絶望をみつめ、祈りを紡ぐ21篇。
前詩集『いのち/こばと』から5年ぶりの新詩集。

伊藤芳博(いとう・よしひろ)
岐阜県生まれ。大学時代、後輩の榊原淳子と同人誌活動を始める。91年『どこまで行ったら嘘は嘘?』(帯文・藤富保男)で福田正夫賞。2003年『洞窟探検隊』は帯文・谷川俊太郎。2020年『いのち/こばと』で中日詩賞。ヨルダン川西岸地区に入域するなどして、パレスチナについても発信している。

2420円(税込)
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4617-1
2025年7月刊

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柴田千晶『イエダマ』

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孤独死とか、
あたしの死を勝手に決めつけないで――


家の中に死体がある
大半は敷布団に仰臥したまま白骨化
あるいはミイラ化しており
凄絶な腐臭を放ち
無残な姿をこの世に晒し続けている

人工島の物流倉庫で働くあたし、
アパートの老姉妹、介護ヘルパー、
ニュータウンの主婦たち、水を売る女.....
漂流物のような彼女たちが流れついた現在。

柴田千晶(しばた・ちあき)
詩人、俳人、シナリオライター。第5回ラ・メール新人賞受賞。詩集に、東電OL殺人事件を題材にした『空室』、藤原龍一郎氏の短歌とコラボした『セラフィタ氏』(第40回横浜詩人会賞)、『生家へ』など。句集『赤き毛皮』(金雀枝舎)、共著『超・新撰21』『再読・波多野爽波』、映画「ひとりね」(馬場當と共同執筆)など。詩誌「DownBeat」「hotel第2章」、俳句誌「街」同人。余白句会メンバー。

2640円(税込)
四六判並製・120頁
ISBN978-4-7837-4618-8
2025年7月刊

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