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新刊情報

【近刊・予約受付中】田窪与思子『サーカス』

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ここ、どこ?


何もかもが行き詰まった世界の片隅で、研いだ玄米を炊飯器にいれたあたしは、新型コロナウイルスのニュースを消し、虹色の光降り注ぐ庭園を空想する。(「空想庭園」)

「田窪与思子の詩のキーワードは移動だ。それゆえサーカスだ。悲喜こもごもの事象を包み込んで、言葉の天幕が時空を翔ける。そのとき、「あたし」とはもちろん「あしたの朝焼け」にほかならない」(野村喜和夫)。目くるめく第4詩集。装幀=佐野裕哉

2750円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3745-2
近刊・予約受付中

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伊勢功治『北方の詩人 高島高』

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モダニズムからネオ・リアリズムへ


作家の生前の評価が時間の中で変化し、名を残すものもいれば、消えていくものもいるのは歴史の必然である。しかしそれは、残されたものが、いかに理解し、評価し、語り伝えるかに大きくよっていることも事実である。この詩人の足跡をできるだけ調べ、詩業の全貌を明らかにし、その詩精神を理解すること。滑川という「北方」の地がどのように詩人を育てたのかを知ること。それは(…)私自身を見つめ直す旅であった。(「あとがき」)

戦前、北川冬彦、萩原朔太郎に見出され、詩人として華やかにスタートを切った高島高。戦争、医師の仕事、自身の境遇を引き受け葛藤しながら、ネオ・リアリズムを掲げた北川と運命をともにする形で歴史の波に埋もれた詩人の知られざる生涯を、膨大な一次資料からひもとく。本文組版・装幀=著者

〈目次〉
高島高アルバム1910-1955
第1章 高島高の生い立ちと詩
第2章 昭和医学専門学校時代
第3章 詩人たちとの交流
――山之口貘、佐藤惣之助、花田清輝、高見順
第4章 北方の詩人 高島高
第5章 翁久允と「高志人」
第6章 『山脈地帯』
第7章 戦後の詩と活動
第8章 高島高と近代詩の終焉
巻末資料/資料「高島高 交流作家一覧+交流図」32頁

3520円(税込)
四六判上製・320頁
ISBN978-4-7837-3824-4
2021年3月刊

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【近刊・予約受付中】颯木あやこ『名づけ得ぬ馬』

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ひかりに追いつく


祈りがつづいている世界、美しいと思うかい? それとも、祈りというものはいつか終わるべき歌だ、そう考えるかい?
(「天の魚」)

「痛みは身体的痛覚ではなく、詩にあるときはむしろ、五感を超えた次元で生起する、抗いがたい生からの呼びかけとして描かれる。(…)詩人の役割は、痛みを表現することではない。それを変容させること、痛みを祈りに、そしてついには愛へと変貌させることである」(若松英輔)。五感を超えた次元で生起する痛みを引き受け、いのちの際から豊穣へ――言葉が飛翔する第4詩集。

2640円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3744-5
近刊・予約受付中

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尾世川正明『糸切り歯の名前』

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現代のいろは歌


わたしはその時
光の円のなかで歌手となった
今まで呼ばれていた名前さえ忘れられて
(「歌手」)

「近年、地震やら津波やら疫病やらを経験するうちに、今回の詩集を私流の今様、「歌」だと考えたくなってきた」(あとがき)。多難な日常を生きる、こころの在処。

2640円(税込)
A5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-3742-1
2021年3月刊

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髙橋冨美子『夢泥棒』

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夜の地図


今夜も月の光が磨きあげる海面を
幾千もの影 滑る 走る 飛ぶ
満月が近い
(「兎目」)

「ねばり強く獲得した現実認識をふくめた方法意識によって、あらたな到達点に達した。この結実をさらなる明日へ。尽きることはあるまい」(倉橋健一)。懐かしくも不穏な、ふたしかな場所に足をふみ入れる詩の夢幻劇、32篇。

2640円(税込)
A5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-3743-8
2021年3月刊

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現代詩文庫『福井桂子詩集』

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童子のうた


時知らずの花に囲まれた
果てしもなく遠い小屋…
二本の草刈り鎌を手に持った
野菜づくりの農婦に聞きたい
まだ、わたしは許されてはいけないのですか
(「風攫いと月」)

「この女童子は、無言で泣いていたのではないか?(…)福井桂子の7冊の詩集に記されてあるのは、そんな秘められた沈黙の、人間に向かっては語れない、まさにinfans(口をきけないもの)としての精霊たちのことばではなかろうか」(吉田文憲)。生家と乳母のいる時知らずの花咲く家をむすぶ道。そこを、ひとりの、無数の私たちの分身である童子が手をひかれて歩いていく。そくそくと、寒さと孤独を身にひそめて。7冊の詩集のほか、インタビュー、童話「もどりみち」を収録。解説=三木卓、新井豊美、野木京子、佐藤恵

1650円(税込)
四六判並製・160ページ
ISBN978-4-7837-1026-4
2021年3月

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現代詩文庫『斎藤恵子詩集』

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目に見えぬものたちに


イヌになったわたしは
 う おん
ちいさくほえ
根もとを前脚でほりさげる
わたしの眼に
やにのような泪がうかんでいる
(「感傷」)

「彼女の作品のどの一篇にも、むずかしい詩語、こみ入った比喩、思わせぶりな言いまわし、持ってまわった構文は、まったく無い。それなのに一読、読者は目くるめく謎のまっただ中に抛りこまれる」(高橋睦郎)。第1詩集『樹間』の鮮烈な登場から『無月となのはな』(晩翠賞、日本詩人クラブ新人賞)をへて、これまで6冊の詩集によって、その存在を際立たせてきた詩人による初めての選詩集。解説=粟津則雄、岡井隆、粕谷栄市、三浦雅士、池井昌樹、杉本真維子

1650円(税込)
四六判並製・160ページ
ISBN978-4-7837-1025-7
2021年3月刊

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現代詩文庫『松岡政則詩集』

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まつろわぬ者たちの聲


生来、まつろわぬ身
艸をはなれて艸をする身
家郷はすでに異郷だったなんかほっとした、が正しい
(「くさわた」)

「澱を沈め、水は澄み、水は流れる。/そのように、わたしたちも歩いていこう。/立ち止まり、横を見れば、松岡政則の書いた詩がある。/ああ、いい詩だ、わたしの友だ、傷口深くにしみこんでくる」(小池昌代)。『金田君の宝物』(H氏賞)全篇をはじめ、祖々の土地、艸を分け入る歩行が、台湾への出会いに通じる『ちかしい喉』『口福台彎食堂紀行』『艸の、息』など全8冊から代表作を収録。解説=長谷川龍生、阿部嘉昭、中原秀雪

1650円(税込)
四六判並製・160ページ
ISBN978-4-7837-1024-0
2021年3月刊

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江田浩司『律――その径に』

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旅ゆく人のかたはらで


やすらかに信ずることがあれば
ことばの息をみぢかに感ずる
ある男がひとりで笑ひ
さびしさにやがて消えゆくあゆみ
(「「ない」について」)

 「……ゆふぐれ/うつくしい沈黙が/わたしの服を織つてゆく/生きてゐることを確かめるために/ゆびの匂ひをかひでみる」(「ほんの少しの」)。師岡井隆の御霊に捧ぐ、ハイブリッド形式の詩歌(うた)。装幀=中島浩

*この歌集はオンデマンド出版で、アマゾンのサイト(Amazon.co.jp)のみでの販売になります。書店および思潮社営業部での取り扱いはありません。ご注文ごとに印刷製本し、24時間以内に発送、2~3日でお手元にお届けします。送料、印刷手数料等はかかりません。お問合せ=03-3267-8141(思潮社編集部)

本体1500円+税
オンデマンド版(ペーパーバック)・142頁
ISBN978-4-7837-3747-6
2021年4月刊

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『北川透 現代詩論集成4――三島由紀夫と太宰治の戦場』

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抗いの方法、無数の〈仮面〉


表現の一挙手一投足が、監視と検閲の目にさらされる。そうしたらこの強力な抑圧の力を逆用するしかないだろう。ことばが文学の固有の可能性を生きるために、敵を欺き、自らをも欺く戦略的な方法が必要だった。戦中下の詩人たちは、それを知らなかった。彼らが、いかに笑いもウソ泣きも忘れた、無為無策の正直一辺倒で、真面目で立派な人格者(おバカさん)だったかということは、愛国詩や戦争詩が証明している。/その無惨を繰り返さないために、天皇制から逃げないことが、同時に、その一木一草も被い尽す網の目に、絡め捕らわれないでいる方法を発明するほかない。《告白という〈偽りの世界〉》や、複数の〈仮面〉の犯罪や、盗作やパロディーや、虚の語り手や道化の演戯や、思想としてのレトリックを自在にし、あらゆる手練手管を使って、巨大な見えないシステムと戦わなければならない。そのことに詩と小説に違いがあるわけではない。―――北川透

著者が関心を持ち続けてきた、非詩的領域にある作家のなかの詩の行方を問う異色の一巻。三島由紀夫における天皇制と共同体、太宰治における戦争下の文学の在り方など、喫緊の問題に接近する。三島の厖大な少年詩を読み解き宿命的な詩的資質を探る巻頭論考をはじめ、死と共同体の関係を全面的に論じた『豊饒の海』四部作をめぐる三島論、〈大東亜戦争〉下の文学的な戦いの限界を極めた可能性を、『散華』『右大臣実朝』などの分析を通じて追究する太宰論を収録。月報=北川透×佐藤幹夫、装幀=間村俊一

本体5000円+税
四六判上製・558頁
ISBN978-4-7837-2374-5
2021年3月刊

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池井昌樹『古い家』

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いきいきとよみがえる


ふるいいえをみると
かえれそうにおもう
(「古い家」)

「私が八歳までを過ごしたその家には、曽祖母祖父母父母叔父二人叔母一人姉の十人家族がともに暮らした。「古い家」とは「黒い家」のことでもあった。その「黒い家」での記憶凡ての蘇りが私の胚芽だった。」(あとがき)。誰の心の内にもある「古い家」。言葉で建てる家、詩のふるさと。20冊目となる新詩集。装画=池井和昌

本体2800円+税
A5判変型上製・144頁
ISBN978-4-7837-3741-4
2021年3月刊

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田中庸介『ぴんくの砂袋』

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肉体と身体


異形の者
についてまだ私は書いていない
蜜のような快楽
についても私は書いてこなかった
天変地異
について私は書いていないし
塩漬けにされた鯖
について私はまだ何も書いていない
(「塩漬けにされた鯖と彼女」)

「ぼくすなわちお父さんすなわちパパすなわち彼。/彼すなわちパパすなわちお父さんすなわちぼく」(「ぴんくの砂袋」)。都市のなかの自然、人体のなかの自然―ー。いかにして迫りくるこの危機と向きあうか。30余年の詩を生きるように編む、入魂の新詩集! 装幀=祖父江慎+根本匠+志間かれん、装画=中上あゆみ

本体3800円+税
四六判変型上製・344頁
ISBN978-4-7837-3740-7
2021年1月刊

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江文瑜/池上貞子・佐藤普美子訳『仏陀は猫の瞳にバラを植える』

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生命、愛、心と対話するグレート・ジャーニー


仏陀は猫の左の瞳にバラを植える
猫は愛しい人が見えた時
瞳孔は喜びでひろがり
つれてバラも
世界をひろげる
(「序詩 仏陀は猫の瞳にバラを植える」)

詩人が日本の猫と仏典の関わりから得た霊感は、仏陀に出会う長い旅をへてついに「ニャオ」と産声をあげた。猫の一生を描く4つの組詩により、人生や魂との対話、生命の物語があざやかに花ひらく。台湾を代表する詩人の新境地。

本体2600円+税
四六判並製・256頁
ISBN978-4-7837-2787-3
2021年1月刊

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岸田裕史『水のなかの蛍光体』

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青いゆらめき


冷たい風がこの村の
緻密に組み上げられた極性配列を崩してくれる
もうこの村に思い残すことはなにもない
(「夜にゆすられ」)

「戦後詩とはひと味もふた味もちがう回路での意味の回復を担っているともいえる。まぎれもなく今日の現代詩に新風を送り込む一冊といっていいだろう」(倉橋健一)。「テクニカルタームと抒情的な文体が相まって、えもいわれぬフェティッシュな詩語の興奮を高めていく。(…)ぜひ作者のたくらみを存分に楽しんでいただきたい」(田中庸介)。有機と無機の物質がゆらぎ、混じり合うなか、崩壊を予感する。未知の世界へと向かう詩32篇。

本体2400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3739-1
2020年11月刊

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岡本啓『ざわめきのなかわらいころげよ』

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ふたごのブランコ


わたしは拒否する
わたしのための朝焼けを
息をのむほど高いこの失望こそ
わたしのもの
(「透明の靴を編む」)

「そうだ、石室は、胎内というよりもむき出しの聴覚だ。大地がきき耳をたてている。墳丘の耳――。するとどうだろう、太古からはるかな物音が一気に聞こえてくる」(「風景に呼びかける」。)二冊のはざまからふく風に――。2010年代を画した『グラフィティ』『絶景ノート』につぐ、待望の第3詩集。著者自装

本体3600円+税
A5判変型上製たとう入・80頁/88頁
ISBN978-4-7837-3730-8
2020年11月刊

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