詩の本の思潮社

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新刊情報

【近刊・予約受付中】柿沼徹『某日の境』

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いつから?


すでにだれかが黙っているので
とても大きな群れになって
鳥が移動していく
見えなくなるまで
(「鳥獣の境」)

昨日は人のためにあるのではない。海が船舶のためにあるのではないように。昨日が「昨日」でなくなり、人の記憶の外に立つとき、はじめて昨日はそれ自体として存在する。水平線の先に必ずあるのに、見えないもの。昨日への眼差しは、不可視的なものへの視線にほかならない。『もんしろちょうの道順』以降、8年ぶりの新詩集。装画=森雅代

本体2300円+税
A5判変型並製・96頁
ISBN978-4-7837-3728-5
近刊・予約受付中

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水田宗子詩論集『詩の魅力/詩の領域』

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詩と批評のスリリングな関係


詩の領域も詩の魅力も、詩でなければ表現できないもの、という一言に尽きるだろうが、詩表現は、詩人という個人の、生の実在の領域でもあり、究極的に不可視ではあっても、他者の実在が、他者の存在意識が確かに立ち上がる一瞬を与えてくれる。(「はじめに」)


清岡卓行、石垣りん、茨木のり子、白石かずこ、谷川俊太郎、高橋睦郎、井坂洋子、正津勉……。「食べる」「剝ぐ」「戻る」といった行為、あるいは、「記憶」「場所」「痛み」といったキータームから、現代詩を従来にない切り口で読み解く。カバー写真=エヴァ・ヴァリエ、装幀=伊勢功治

本体2400円+税
四六判上製・160頁
ISBN978-4-7837-3823-7
2020年10月刊

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水田宗子詩集『音波』

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詩を道連れに


この漆黒の目の中に
二〇〇〇年先の光が差しているから
後戻りはできやしない
帰路は暗闇の中に消えている
(「道連れ」)

世界に散らばる家族たち、友人たち、女性詩人たち。彼女たちとのシスターフッドを信じて、遠い未来へ。日本のジェンダー研究を牽引してきた著者の最新詩集。詩論集『詩の魅力/詩の領域』との同時刊行。
カバー写真=エヴァ・ヴァリエ、装幀=伊勢功治

本体3400円+税
A5判変型上製・160頁
ISBN978-4-7837-3728-5
2020年10月刊

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浜江順子『あやうい果実』

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死を彷徨う者たちへ


早く魚座の領域へと
死との境界
駆け抜けたいと
ひたすら公転する
(「火星裏心、ひゅ〜ら」)

平温で語られるべき「死」が、恐ろしいまでに揺らめいているのはなぜか。 地球が悲しい水の惑星になっているいま、眼差しは熱い氷のように。新詩集。

本体2600円+税
A5判変型上製・128頁
ISBN978-4-7837-3716-2
2020年9月刊

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松尾真由美『多重露光』

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いつからか、いつまでも


そして
漕ぎだす舟の
いとわしい逡巡を
解きはなってみたくなる
(「暗く明るい船出としての」)

運動を秩序づけるために選び取られた三つのフォルム。
造形もまた途上の動線であり発語の自由と絡み合い、
危うく膨らむ交差の痕跡、それだけが残される。
写真=森三千代

本体2500円+税
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3715-5
2020年9月刊

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北爪満喜『Bridge』

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この、今に


夢の中に手を差し込んで
置き去りにした私を
だらりとした腕の
消えられない少女を
抱き上げて
抱えて来たい
何度も思う
(「消えられないあれを」)

私は沈んでいた何かを引き上げることができただろうか。 誰かが、胸に抱えたものを、少しでも軽くしてくれたらいい。 幼い私と、他の誰かを引き上げる言葉。
装幀=コイズミアヤ

本体2200円+税
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3717-9
2020年10月刊

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坪井秀人『二十世紀日本語詩を思い出す』

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未完の過去を解き放つ


〈終焉〉言説が拡散し続けていく中で、いまいちど二十世紀の歴史の中で詩の言葉、その思想と批評の言葉、あらわれとしてのテクストのすがたについて再考することを通して、どのような対抗的ヴィジョンが構想されうるのか。
(「序章 二十世紀日本語詩を思い出す」)


日本語の構築と一体に進行した近代詩史を、蒲原有明、北原白秋らへの稠密な検証により再定位し、植民地主義の傷痕を伝える日本語文学の問題系から、朝鮮日本語詩、合州国移民詩の新しい風景をひらく。「現代詩手帖」好評連載を集成。百年に及ぶ〈詩の時間〉を凝視することによって、抵抗の論理を指し示す、渾身の力作評論。装幀=菊地信義  

本体4000円+税
四六判上製・464頁
ISBN978-4-7837-3822-0
2020年9月刊

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中尾太一『詩篇 パパパ・ロビンソン』

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ぼうけんの足跡


この「森」で僕は今、それが必ずしも血路ではない「寄り道」に、架空のヒトヒトふたり(「師弟」)をあらためて投影しようとしてる。
(「残滓から」)


閉ざされた冬の、コトバの森。方位なき地形をめぐり、生きものたちは「詩」と邂逅する――。今世紀の詩の杣道を、群をぬく光速言語で切り拓いてきた詩才が、未知の詩行のピークへ、真正の自由を賭けて実践してゆく。新境地をあらわす、著者はじめての神話=ファンタジー詩篇!装幀=菊地信義 

本体3200円+税
四六判上製・210頁
ISBN978-4-7837-3714-8
2020年9月刊

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柏木麻里『蝶』

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ひらいてゆく


蝶であること

そとに
そっとひらく


Butterfly
silently
opens
outside
of
being a butterfly
(「いない」)


蝶はいつ私の前にあらわれてくれたのだろうか。翅の両翼のように日本語に、連東孝子の英語が寄り添う。装幀=山元伸子 詳細はこちら→

本体4800円+税
A5判函入2分冊(分売不可)・288頁
ISBN978-4-7837-3722-3
2020年9月刊

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高貝弘也『紙背の子』

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8年ぶりの新詩集


言葉の魂(み)か
 息ふきかけると ふくらんで


卵子のような
その雀斑(そばかす)をおさえながら

――あなたはかわらず 生(き)のままで

喜びも、悲しみさえも
――死んでも 熟(う)れてゆきますように
(「紙背の子」)


詩の外側、世界の縁…際…から、まぼろしの子が、こちらを見ている、覗いている、わたしを呼んでいる… 。組版・装幀=川本要 詳細はこちら→

本体3000円+税
A5判たとう入・112頁
ISBN978-4-7837-3724-7
2020年9月刊

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金井雄二『むかしぼくはきみに長い手紙を書いた』

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ほんとうに書きたかったものは


一本の樹に繁った
一枚の葉っぱ
ただそれだけでよかった
(「深呼吸ひとつ」)

「自分としては、この詩篇を書き続けていたときは、恋愛詩集を作るつもりだった。そうなったかどうかはわからない。そして、詩集のなかの「きみ」は何なのか、どんな想像をされてもかまわない」(あとがき)。書いても書いても、書き終えることのない、透明な気持ち。きみにとどける、30通の詩。装画=辻憲

本体2200円+税
四六判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3709-4
2020年9月刊

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北川朱実『遠く、水門がひらいて』

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果てのない青い旅


遠く
水門がひらく気配がして
水をたたえた朝を引いて
人々が集まってくる
(「バザール」)

「ひとことでも/言葉を発したら//あふれ出す川がある」(「雨」)。今日もどこかかなたで、こぼれおちた青い時が届けられるのを待っている。イスタンブールのバザール、奄美、あの夏の広島――空がほどけて、懐かしい景色が揺れうつる。いま、あかるい不穏をつれて漂流しはじめる25篇。

本体2500円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3720-9
2020年9月刊

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山中従子『やわらかい帽子』

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眠りの中から


生きのびて過剰に繁殖した白い花
其処から反射するひかりが
未来から飛んでくる夏のひかりのように冷たく
わたしの顔に突きささる
(「白い花」)

「山中従子さんの詩のもつ魅力のひとつにはさり気ない日常の自然との交感のうちにあって、さまざまな物象との戯れ方にひじょうにたくみな点があげられます。夢魔や強迫神経まがいの領域をもしぶとく内的世界へと巻き込んで変容譚へと演出する。豊かな幻想詩集へと結実しえたのもすべてはこの天賦のしわざといってよいでしょう」(倉橋健一)。眠りから溢れる44篇。

本体2400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3719-3
2020年9月刊

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大野南淀『アラバマ太平記』

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悲歌を軽快な口笛で


男がグラスを片手に眺めている
人生の不毛を
移動に変えて、彼らは進むべきだが
農園で汗を流すのも悪くない。
彼らは大きな概念と出会っている。
血液のような色の

トマトはいらんかね。
熟れていて美味しいよ。
大安売りだよ。
トマトはいらんかね。
(「Ⅱ、辿り着いたミズーリの農園で」)

「リヴァイアサンのごとき、怪物的な書物が現れた。(…)これまでに例のない日本人の日本語によるアメリカ詩を書き上げた」(城戸朱理)、「この旅は自らを追う者を追う旅であり、追いながら逃げつつ焚書を煽る敵を、おれのほうが追跡するのだと宣言している」(村松仁淀)。白いフリーダムトレインがさらなる南を目指す。型破りの傑作長篇詩集!装幀=中島浩、写真=笹久保伸

本体2400円+税
A5判並製・146頁
ISBN978-4-7837-3723-0
2020年9月刊

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尾久守侑『悪意Q47』

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かがよう文字


罪業感があれやこれやの顔をしてバッくれる。時限付きの間諜がしんだ。無味のそのひと抗体を求め、わたしはQそのものになった
(「悪意Q47」)

「この詩人の感覚のレンズは不可思議な屈折率をもつ。そこを通過する言葉の光線は蠱惑的な分岐を余儀なくされるのだ」(建畠晢)。捉えどころのない存在に晒される私たち。その悪意の輪郭は摑めない――。2年ぶり第3詩集。装画=浦上和久、装幀=奥定泰之

本体2400円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3713-1
2020年9月刊

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