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高塚謙太郎『ハポン絹莢』


さらに、さらに、先へ!


帆かげもうすずみを妊んでひるがえればいい
すすめばうすれゆきわが島は巻きあげられる

あたまからみどりを靡かせながらむかってくるもの
Fのしじまをしたがえて呼吸をくりかえすそれら

戦線を引きはじめたころ編まれた髪をつかんだ
名の思い出がFののぞむままのかたちでながれる

Fという名の少女を崇め奉れ崇め奉る少女の名で
ふるい相聞の耳にのこる美しい呼ばれ方だった

乳房の真夏にあるいている母になるだろういのち
ぼんやりと敗れていく花ざかりのしめったうた声はされ
(「慰霊」)

この詩集のあとに、現代詩は可能なのだろうか――詩集ごとに形式とテーマを進化させてきた詩人が、その果てで見つけてきた言葉の官能。 充溢する博覧と、迸る狂気、100年後の詩のかたちを見よ!

*この詩集はオンデマンド出版で、アマゾンのサイト(Amazon.co.jp)のみでの販売になります。書店および思潮社営業部での取り扱いはありません。ご注文ごとに印刷製本し、24時間以内に発送、2~3日でお手元にお届けします。送料、印刷手数料等はかかりません。お問合せ=03-3267-8141(思潮社編集部)

本体1,500円+税
120頁
ISBN978-4-7837-3429-1
2014年7月刊

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