子供らの魂を乗せた桃の舟、柏の舟は次々と、黒く煌きながら、遥かな月の海を流れて行きました。(「月の海」) 塩飽生まれの少年飛行兵が迎えた敗戦の夏から約七十年――蒼空に散った魂も、移り変わる人世も、敗者の哀しみを秘めた文学史と融け合い、私と史と交錯しつつ歩む、永き、帰らざる旅。
本体2,200円+税A5判上製・80頁ISBN978-4-7837-3435-22014年8月刊