詩の本の思潮社

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石田瑞穂『まどろみの島』

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第63回H氏賞受賞!


夏の防波堤で音もなく
ふたりは人の心が紡ぐ
単純な散文のなかにいます
切迫とやさしさの満ちひき
一瞬一瞬の意味の波形のうえを
手話の蝶が舞い踊ります
(フィナフォート波止場)

「私は旅のノートを頼りに〝詩〟とも〝手紙〟とも呼べない六行の言葉を、百通を超す葉書に綴りはじめていました――死者には、もう夢のなかでしか会えないのだとしても」(あとがき)。場所の名に繋ぎとめられるように刻まれた静かな呼吸。越境するレクイエム。魂の郵便として――。装幀=奥定泰之

本体2,200円+税
B6判変型上製・98頁
ISBN978-4-7837-3317-1
2012年10月刊

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ブリングル『、そうして迷子になりました』

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第49回現代詩手帖賞


背骨を上りきれず
擬人化された空をしたり顔
起震車に揺られて剥離した
せかい地図が軋る
その
どこかにあるはずの腫瘍を探し当て
明日と決めた
滅び
(「自転しながらめざめるからだの」)

「ブリングルさんの詩にはその豊かな物事が童話とか小説とか語りとかいろいろな言葉の様式で生き生きと語られているんですね。現実も夢も幻想もへったくれもない」(鈴木志郎康)。コトバを目覚めさせよ、カラダを目覚めさせよ、セカイを目覚めさせよ。言葉と踊るためのかなり苛酷な教則本。第49回現代詩手帖賞詩人、待望の最新詩集。装幀=吉原洋一

本体2,600円+税
B5変型判並製・126頁
ISBN978-4-7837-3322-5
2012年10月刊

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鈴木君江『愛 ときどき なみだ』

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ふりそそぐ言の葉たち


今日の日まで、生かされてきたお礼に、わたくしは、自分の人生の中で積み上げてきたひとつひとつの片鱗を”ことば”に託し、表現していくことにしました。
(あとがき)

福島で生まれ岩手に暮らす著者が、ふといままで生きてきた道を振り返り、あふれでる感謝の気持ちを、無垢なことばでつむぎあげた、鮮烈な第一詩集。カバー絵=高橋敏勝、題字=心屋仁之助、本文カット=安斎菊江

本体2,000円+税
この本に限り、1冊のご注文でも送料無料です。 A5判上製・120頁
ISBN978-4-7837-3323-2
2012年10月刊

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齋藤恵美子『集光点』

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渾身の第5詩集


鏡の中の集光点に、
ノートの残骸を立たせた時、たちどころに、
真っ白に、私は消滅するだろう。
(「机上の軍人」)

臨港地帯を巡りながら、移民たちの声を聴き、死者を想う。記憶へも、現在へも、光をあてる新詩集。装画=清宮質文

本体2,400円+税
A5判上製・130頁
ISBN978-4-7837-3329-4
2012年10月刊

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浜田優『生きる秘密』

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稜線の彼方に


私がおまえに託すはずだった新生への希望は
この夏の日ざかりのようにじゅうぶん白かったか
(「約束」)

主体のゆらぎを、風景に託し、ゆるやかに視線を移動させてゆく。死の反照としての生の煌めきを甘く、ときに激しいリズムにのせて――。装幀=伊勢功治

本体2,600円+税
A5判上製・130頁
ISBN978-4-7837-3328-7
2012年10月刊

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長谷川安衛『濡れた馬』

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いのちと時間を問う


波の音を確かめながら霧の中を歩いていたとき
不意に現われた幻影のような馬が
今でもおれの中に立っている
(「濡れた馬」)

霧の中で交差した馬とのわずかな時間。あるいはそれが永遠と呼ばれているものか。ひとの底に沈む経験、自然との関わりで培われた生理。世界を揺るがす情報が駆け巡る現代。ひとが負ったものを問いながら、いのちと時間を見つめつづける。表紙=長谷川聡

本体2,400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3315-7
2012年9月刊

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大西久代『海をひらく』

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青を纏って


海に向かい叫びあるいは感涙の時を持つことがある 波のカノンにかたくなさを預けて 空をよび合う水平線に諦念の色はほどける 祈りの底で震える希望 鮮烈な事象に立ち向かう海はいくつもの物語りを内包する
(「海をひらく」)

「モティフが、彼岸と此岸の交換可能な幻想領域の仮構に向けて賭けられている。そこでは父親をはじめ骨肉との辛い別れも反映している。私たちはたえず生活することを通じて言葉の自立に向かわねばなるまい。そんなことをつよく感じさせる一冊として、大西久代さんの詩集はここにある」(倉橋健一)。記憶の岸辺にたたずみ、時のあわいに手をひたしてゆく、30篇の物語詩。装幀=倉本修

本体2,200円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3310-2
2012年10月刊

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日笠芙美子『秋の腕』

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遠くから届けられる


まっすぐな線を
肘から手のひらに向けて
引いたのはだれだったのだろう
ふかい溝のような切り口
こうして秋はやってくる
(…)
暑かった夏の残渣の
夢のなかに
一本の切り株のように
わたしの右腕を置いてきたが
(「秋の腕」)

季節の巡りの中で、祖母も父も、戦争で逝った死者たちも、みなみな還ってくる。死をあたたかく抱え込みながら生きる者たちの息遣い、記憶、夢、現を行き来しながら、宇宙へと繋がる交感を描く。

本体2,200円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3327-0
2012年10月刊

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高野民雄『空の井戸』

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目覚めるとき


おお どんなろくろっ首の一個が夜を遥かに飛び去って
不安の限界にうち震える他者の体と合体したことか?
明け切らぬ夜明けの寒さに
共にぶるぶるがたがたと 震え続けたことか?
この世のすべてでもありうる不安を共にして
(「ろくろっ首」)

生きてあることから闇の底まで、詩人は書き継ぐ。ときにソネット、ときに俳句形式で刻む、さりげなくも確かな視線。抒情詩の名手、13年ぶりの新詩集。

本体2,600円+税
A5判上製・146頁
ISBN978-4-7837-3320-1
2012年9月刊

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小川三郎『象とY字路』

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無人称の絶対幸福


私が人になったとき
空は曇っていたものだったが
今日はくっきり晴れていて
人でなくなる気分なのだ。
(「人間ころ」)

誰もいない未来が、私たちを見ている。透明な現在が、私たちを溶かしている。雲ひとつない真っ白な空に刻まれていく、遥かなる人間の痕跡、21篇。

本体2,000円+税
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3321-8
2012年10月刊

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柴田千晶『生家へ』

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詩型の情交


我が卵子凍結の夢冬青空

受精卵は左卵管に着床していた。摘出した受精卵を見ることはできなかったが、麻酔の夢の中で私は、小さな喇叭を握る嬰児の手を見たような気がした。
(「喇叭」)

「ここ十年ほど、自作の俳句が内包するイメージと格闘するように詩を書き続けてきた。詩と俳句が遥かなところで強く響き合う、そんな世界を目指して」(あとがき)。俳句の深淵に、散文詩の官能で挑む――二つの詩型の響き合いが提示する、さらなるエロスの世界。俳句作家としても活躍する詩人の、挑戦の第5詩集。装画・挿絵=高橋千尋

本体2,400円+税
四六判並製・128頁
ISBN978-4-7837-3324-9
2012年10月刊

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池井昌樹『明星』

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第31回現代詩人賞受賞!


こんなしずかなよるのそら
だれがみあげているんだろう
むかしながらのほしぼしばかり
おそれしらないひとみのように
(「明星」)

父母との日々、上京、若き日の挫折、結婚、引越、老い……。人生の節目節目に立ち合いながら、今あり、そして瞬く間に過ぎゆくめくるめくまばゆいばかりの一刻一刻を言葉に永遠に刻む。今あるものなきものに捧ぐ41篇。装幀=高貝弘也

本体2,600円+税
A5判変型上製・128頁
ISBN978-4-7837-3326-3
2012年10月刊

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