私が人になったとき空は曇っていたものだったが今日はくっきり晴れていて人でなくなる気分なのだ。(「人間ころ」) 誰もいない未来が、私たちを見ている。透明な現在が、私たちを溶かしている。雲ひとつない真っ白な空に刻まれていく、遥かなる人間の痕跡、21篇。
本体2,000円+税 四六判並製・112頁 ISBN978-4-7837-3321-8 2012年10月刊