波の音を確かめながら霧の中を歩いていたとき不意に現われた幻影のような馬が今でもおれの中に立っている(「濡れた馬」) 霧の中で交差した馬とのわずかな時間。あるいはそれが永遠と呼ばれているものか。ひとの底に沈む経験、自然との関わりで培われた生理。世界を揺るがす情報が駆け巡る現代。ひとが負ったものを問いながら、いのちと時間を見つめつづける。表紙=長谷川聡
本体2,400円+税 A5判上製・112頁 ISBN978-4-7837-3315-7 2012年9月刊