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日笠芙美子『秋の腕』

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遠くから届けられる


まっすぐな線を
肘から手のひらに向けて
引いたのはだれだったのだろう
ふかい溝のような切り口
こうして秋はやってくる
(…)
暑かった夏の残渣の
夢のなかに
一本の切り株のように
わたしの右腕を置いてきたが
(「秋の腕」)

季節の巡りの中で、祖母も父も、戦争で逝った死者たちも、みなみな還ってくる。死をあたたかく抱え込みながら生きる者たちの息遣い、記憶、夢、現を行き来しながら、宇宙へと繋がる交感を描く。

本体2,200円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3327-0
2012年10月刊

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