野村喜和夫『ヌードな日』

第50回藤村記念歴程賞受賞!
第50回藤村記念歴程賞受賞!
ヌードな日、
知らない肉のゆくえを追え、
でなければ追われるハメになるだろうから、
そぎ落とされたのだ、
(「パレード2」より)
危機のいまを生きる戦慄そのままに、言葉が言葉を駆り立て、生が死を、死が生を駆り立てる。101の肉のパレードが剥きあらわれ、12の防柵がきらめく。詩のサバイバルのための、書き下ろし長篇詩。装幀=田中勲
ふだん、私たちの生は言語(ロゴス)という衣装を着ています。それで私たちは落ち着いて日々を送れるわけですが、ある日、何かをきっかけに、その衣装がとれてしまったら──という仮定のもとに書き下ろされたのが本書です。私たちはたんなる〈肉〉となり、滑稽にしてグロテスクな、怪異にして幻想的な姿をむきだしにすることでしょう。ちょうどフランシス・ベーコンの絵画におけるように。しかしそれはまた、私たちに別様の言語、つまり詩が──悪魔払いとして──到来する日でもあるのではないでしょうか。こう書くと、なんだか3・11のカタストロフをふまえているみたいですが、この詩集の大部分は、実は震災以前に書かれています。だからといって、詩には予言的権能があるなどと私は言いたいわけではありません。ただ、詩は言語の関係をあらたにするものなので、場合によっては未来から到来したようにみえるのです。ロシアのノーベル賞詩人ブロツキーもどこかで言っていました。私にこの一行を書かせるのは未来の言語である、と。
◎同じ著者によって
『萩原VSn西脇――二十世紀日本語詩の可能性』(2025年)
『地面の底のわれわれの顔――わが近未来近代』(2025年)
『パッサル、パッサル』(2024年)
『妖精DIZZY』(2021年)
『危機を生きる言葉――2010年代現代詩クロニクル』(2019年)
『デジャヴュ街道』(2017年)
『渦巻カフェ』(2013年・北川健次と共著)
本体2,400円+税
四六判上製・104頁
ISBN978-4-7837-3270-9
2011年10月刊