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野村喜和夫『ヌードな日』

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第50回藤村記念歴程賞受賞!


ヌードな日、

知らない肉のゆくえを追え、
でなければ追われるハメになるだろうから、

そぎ落とされたのだ、
(「パレード2」より)


危機のいまを生きる戦慄そのままに、言葉が言葉を駆り立て、生が死を、死が生を駆り立てる。101の肉のパレードが剥きあらわれ、12の防柵がきらめく。詩のサバイバルのための、書き下ろし長篇詩。
装幀=田中勲


【著者の言葉】

ふだん、私たちの生は言語(ロゴス)という衣装を着ています。それで私たちは落ち着いて日々を送れるわけですが、ある日、何かをきっかけに、その衣装がとれてしまったら──という仮定のもとに書き下ろされたのが本書です。私たちはたんなる〈肉〉となり、滑稽にしてグロテスクな、怪異にして幻想的な姿をむきだしにすることでしょう。ちょうどフランシス・ベーコンの絵画におけるように。しかしそれはまた、私たちに別様の言語、つまり詩が──悪魔払いとして──到来する日でもあるのではないでしょうか。こう書くと、なんだか3・11のカタストロフをふまえているみたいですが、この詩集の大部分は、実は震災以前に書かれています。だからといって、詩には予言的権能があるなどと私は言いたいわけではありません。ただ、詩は言語の関係をあらたにするものなので、場合によっては未来から到来したようにみえるのです。ロシアのノーベル賞詩人ブロツキーもどこかで言っていました。私にこの一行を書かせるのは未来の言語である、と。

本体2,400円+税
四六判上製・104頁
ISBN978-4-7837-3270-9
2011年10月刊

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