詩の本の思潮社

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【近刊・予約受付中】宮内喜美子『追悼の光を抱く女』

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たましいの発光


覆っても
覆っても
微細な孔をさぐりあて
奥深いところから
洩れこぼれてしまう

(「追悼の光を抱く女」)


「追悼の光を抱く女」は、ドリート・ヤーコビ展で心揺さぶられた作品の中の一作で、そこには稚いころ憧れた絵画世界が、より現代的な深い屈折を秘めて表現されていた」(あとがき)。ドリート・ヤーコビの絵画に触発された表題作をはじめ、先に逝った友人たち、女性たちへの挽歌を奏でる。装画=著者

2530円(税込)
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4624-9
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【近刊・予約受付中】いのうえあき『象のいる川』

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空隙の境界線


境目が、ふらっと行方不明になるとき
ざらざらざらざら
砂の移動するおとが
耳の中でずっときこえる
(「内と外」)


「移動、回帰、生命体。いのうえあきの言語的想像力の中で、この三者が絶えず戯れている。抽象も具体もない。生命体が移動すればそれは必ず回帰なのだし、回帰と移動が先を争うように現象すれば、それは必ず生命体なのだ。もちろん、ひたひたと死に涵養されて。こうしていのうえあきは、おそらく果てまできたのだ。詩を生きることの果てまで」――野村喜和夫
記憶が水路にしたたり、うちから外へ、未知の詩の運動が始まる。第2詩集。装幀=長澤昌彦

2640円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-4633-1
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【近刊・予約受付中】たかきびわ『かみのけの川』

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第63回現代詩手帖賞


丘をくだったら
もうかえらない、というしるしだ
だれも二度とかえってこなかった
わたしは海のみえるところまで
はしってきた
(「誕生日」)


「記憶のからだの奥底で疼く受難の痕を、たかきびわの詩は覆い隠さない。出発点としてやわらかく踏みしめ、走り出す。強靭かつ無垢な力を宿して行は流れ、言葉のからだは再生へ、さらにその先へ、行く。この眩い痛みとひかりに、打たれろ。」――川口晴美
「空のバスタブに坐りこんでいた少女。存在を否定された少女は、自分が存在することの意味を手探りでつかみとろうとした。たかきびわの詩は、はかないようにみえて根強い。それは私たちの詩に新たな勇気を与えるだろう。」――近藤洋太
むすびめをほどき、全身でことばを生きる。鮮烈な第一詩集。装幀=佐々木陽介

2200円(税込)
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4634-8
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【近刊・予約受付中】池下和彦『大切』

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暮らしのなかの尋常


遠くに届いて
近くに届かない
近くに届いて
あなたに届かない
(「ふしぎ」)


長い歳月を生きていまも、日々の暮らしのなかで、すこし違うきょうに気づく。ひと、もの、とき、こと――生の機微と深い思いを飄然とした筆遣いで表した、43の詩篇。

もくじ―――Ⅰ ひと●ふしぎ〇お宝〇了解です〇特等席〇おすそわけ〇おもいのほか〇もったいなくも〇そっくり〇オノマトペ〇羽目〇微妙に〇百面相
Ⅱ もの●じかに〇口〇かぎ裂き〇客〇意地〇逆転〇用途〇和菓子〇おさがり〇軍手〇タニシ
Ⅲ とき●身におぼえ〇ひっそり〇きょうのまま〇目じるし〇命拾い〇日常茶飯〇のぼり坂〇先輩〇あしたの新聞〇日の入り
Ⅳ こと●オムレツ〇見守り〇内実〇訪問者〇とりあえず〇日課〇うわのそら〇ガセネタ〇ネタ切れ〇平凡

2420円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-4631-7
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ジャン=ミッシェル・モルポワ/有働薫訳『花通り』

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侘しい郊外から


晩には戸口で音楽を聴く
そして八時から先は窓という窓が青い
聴いたり眺めたりするが、互いに話し合うことは何もない
だがつねに黄色い小さな壁が探し求められる
(「黄色い小さな壁」)


「詩的理想に力強くつながる詩句は、表現意欲と精密に結びついた形式の探求であり、太陽にかざしたエキュ金貨のような《黄色い小さな壁》につながっている」――マルク・コベール
2022年ゴンクール賞詩部門賞を受賞したフランス現代詩の旗手による最新詩集。長く翻訳で並走してきた訳者が贈る、リリスム・クリティークのエッセンス!解説=マルク・コベール。装幀=中島浩

〇同じ著者によって
『イギリス風の朝』(2018年)
〇同じ訳者によって
現代詩文庫『有働薫詩集』(2024年)
『露草ハウス』(2020年)
『モーツァルトになっちゃった』(2014年)
『幻影の足』(2010年・第28回現代詩花椿賞)

2750円(税込)
四六判上製・144頁
ISBN978-4-7837-2633-3
2025年10月刊

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『高橋睦郎詩作集成Ⅰ』

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見果てぬ夢、その出発


落ちてゆく ただよう花のような深淵
鎗のように みずからの重さに
かがやきながら 落ちる
(「眠りと犯しと落下と」)


永遠に捉え得ぬ詩を、それでも求めつづけねばやまぬ行為が詩作だ。信念の詩人七十余年の見果てぬ夢の集成全五巻の第一巻。十四歳から二十歳代終わりまで。幻の第一詩集全篇、第二、第三、第四詩集の谷川俊太郎、三島由紀夫、澁澤龍彦の跋文すべて収録。月報として井上隆史との対話を付す。
【収録詩集】
ミノ あたしの雄牛/薔薇の木 にせの恋人たち/眠りと犯しと落下と/汚れたる者はさらに汚れたることをなせ/頌/巨人伝説/舊詩篇 さすらひといふ名の地にて
装幀=半澤潤
発行=大和プレス 編集・発売=思潮社

〇同じ著者によって
『深きより 二十七の聲』(2020年・第63回毎日芸術賞)
『つい昨日のこと 私のギリシア』(2018年)
現代詩文庫『続続・高橋睦郎詩集』(2015年)

8800円(税込)
A5判上製布クロス装貼函入・308頁
ISBN978-4-7837-2388-2
2025年10月刊

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