小笠原茂介『雪灯籠』

白き薄明の幻想歌
白き薄明の幻想歌
やがて朝子の体が燃えはじめる
大空の冷気が
透きとおる白衣に通っているのか
いつまでも白い冷たい蠟燭のように燃えている
(「白蠟燭」)
本体2,800円+税
A5判上製・134 頁
ISBN978-4-7837-3489-5
2015年8月刊
やがて朝子の体が燃えはじめる
大空の冷気が
透きとおる白衣に通っているのか
いつまでも白い冷たい蠟燭のように燃えている
(「白蠟燭」)
本体2,800円+税
A5判上製・134 頁
ISBN978-4-7837-3489-5
2015年8月刊
空洞を孕んだいのちの系統樹は
逆らいようのない節理で
むなしく気負い 傾いていく
あすの午後にでも
(「かたむく樹」)
本体2,400円+税
A5判上製・96 頁
ISBN978-4-7837-3488-8
2015年8月刊
外では雪が降りしきっていた
私は目には見えない貝に心の中で
そっと触れてみた すると
もはや時の刻みが痛いほどついていた
(「生きている貝」)
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0998-5
2015年8月刊
こわれそうで
こわれなかったものを かかえて
今朝 立っている
(「歩く」)
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0996-1
2015年8月刊
ながれていく舌はほろびよ
しもやけの鋼を筋肉ふかく
巻きこむときに
(「シンボルとしての対話を拒絶する」)
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0995-4
2015年8月刊
蒼空の一点を
凝っとみつめていると
蒼空は黒みを帯びてくる。
(「蒼空」
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0994-7
2015年8月刊
詩を書きたければ
逃げろ
詩は
逃げ足の速さだけが取り柄
海辺の家々を破壊して押し寄せる波よりも速く
おまえは辺境の銀河で鳴る口笛の中に飛ばなければならない
(「食傷」)
本体2,500円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3480-2
2015年7月刊
きみは毎日同じ場所に立ち
いつもの視線で
生活の一行を
見つける?
(「台所」)
本体2,500円+税
A5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-3482-6
2015年7月刊
地べたに足をくっつけて町から町へと歩き、足の裏だけを信じて生きたはずが、ふとしたことがきっかけで、半生をグラリと傾ける。その一瞬にも詩は隠されている。
(「あしのうらがふと空に憧れた」)
本体2,600円+税
四六判上製・242頁
ISBN978-4-7837-1699-0
2015年8月刊
そこはすでに視覚も聴覚も言葉も渾然となった、全身的と呼ぶほかない詩的体験の場である。彼は感覚を全開にしてその時空に浸っている。そこから文学の言葉が始まるかもしれない。絵画や音楽を語るきっかけが生まれるかもしれない。そうした未分化の濃密な虚空体験が、ジャンルの仕切りなど軽々と超える「仕切りのない感性」の持ち主を生んでいったことは、おそらく確かなことなのである。
(解説=芥川喜好)
本体7,800円+税
菊判貼函入・624頁
ISBN978-4-7837-2369-1
2015年7月刊
もうすぐ聞こえるから
黙っておいて。
あたたかくたゆたったまま
ずっとずっと黙っておいて。
(「呼ばれる支度」)
本体2,000円+税
四六判並製・110頁
ISBN978-4-7837-3483-3
2015年7月刊
それでも、わたしのぺにすはうえをむく
さっぷうけいのなかかがりびのようだ
(「ちをこねるにおい」)
本体2,000円+税
四六判上製・80頁
ISBN978-4-7837-3481-9
2015年7月刊