『粟津則雄著作集 第Ⅹ巻』美術論Ⅱ

全身的な凝視が捉えた美の伽藍
全身的な凝視が捉えた美の伽藍
そこはすでに視覚も聴覚も言葉も渾然となった、全身的と呼ぶほかない詩的体験の場である。彼は感覚を全開にしてその時空に浸っている。そこから文学の言葉が始まるかもしれない。絵画や音楽を語るきっかけが生まれるかもしれない。そうした未分化の濃密な虚空体験が、ジャンルの仕切りなど軽々と超える「仕切りのない感性」の持ち主を生んでいったことは、おそらく確かなことなのである。
(解説=芥川喜好)
本体7,800円+税
菊判貼函入・624頁
ISBN978-4-7837-2369-1
2015年7月刊