詩の本の思潮社

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新刊情報

現代詩文庫『中尾太一詩集』

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新シリーズ 3冊同時刊行!


今日は鳥が見えないが、犬が川を流れている、へい、命を返してくれ返してくれ、それはボブ・ディランのなんていう曲だったろう、僕は柱になって倒れていた
それから何処までも転がっていった、柱の中には二人の子供が身体を寄せ合っている、そいつらも激しい雨を感じて泣いている、やすらかに眠っていてくれ
(「a viaduct」)

「そこには常に、のっぴきならない切実さが溢れている。中尾太一は彼の才能と死のものぐるいで闘争しつつ、詩を書き続けている」(佐々木敦)。『数式に物語を代入しながら何も言わなくなったFに、掲げる詩集』で鮮烈に登場した詩人の、いまを生きる作品群。今日の悲歌がまっすぐに立ちあがる。解説=山嵜高裕、白鳥央堂、安川奈緒、往復書簡=稲川方人。

*現代詩文庫『岸田将幸詩集』『中尾太一詩集』発刊記念朗読/シンポジウムが9月7日、西荻窪アトリエ・カノンで行われます!

本体1,300円+税
四六判並製・162頁
ISBN978-4-7837-0981-7
2013年7月刊

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現代詩文庫『岸田将幸詩集』

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新シリーズ 3冊同時刊行!


きみが絶対に手出しのできないぼくの心のなかの声を聞いてぼくはきみと一緒にいることに決めたのだ。それは「それぞれのではない孤絶」だともぼくは云ったことがある。手紙の最後に「そのままで」と書いて立ち去ったきみの上にはほんとうに何もなかった。それはきっと、とても昔の光景。きみが諭した跡だったろう
(「〈孤絶‐角〉」)

「群も雑も陰も塹も、……これから岸田が掘って行くだろう詩の音だ、……。ゼリー……ゼリー……は、岸田が敲く恋の遺灰だ」(吉増剛造)。張りつめた息づかいで一行を刻む繊細強靭な詩魂。高見順賞受賞の『〈孤絶‐角〉』など4詩集を収録し、ゼロ年代を切り開いた詩人の進行形の姿を伝える。解説=吉田文憲、瀬尾育生、藤原安紀子、中里勇太、菊井崇史。

*現代詩文庫『岸田将幸詩集』『中尾太一詩集』発刊記念朗読/シンポジウムが9月7日、西荻窪アトリエ・カノンで行われます!

本体1,300円+税
四六判並製・162頁
ISBN978-4-7837-0980-0
2013年7月刊

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現代詩文庫『蜂飼耳詩集』

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新シリーズ 3冊同時刊行!


これ聴いたらしんでしまう
これって なに
おおすけ こすけ いま とおる
音たてちゃ いけない 今夜は
もの音たてちゃ
いけない
(「食うものは食われる夜」)

「柵も境界線もない、外に向かって開かれたこの空間でこそ、《狼の残響》が私たちに迫るのだ」(堀江敏幸)。第1詩集『いまにもうるおっていく陣地』で2000年中原中也賞を受賞。以来この時代の詩を模索し続けてきた新世代の旗手の、今日までの全詩を収める。解説=荒川洋治、藤井貞和、田中和生、日和聡子。

*蜂飼耳、荒川洋治氏による発刊記念トークセッションが9月3日、ジュンク堂池袋本店で行われます!

本体1,300円+税
四六判並製・162頁
ISBN978-4-7837-0979-4
2013年7月刊

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御庄博実『川岸の道』

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第14回中四国詩人賞受賞!


僕は今 一人の少女の死を思っている
鈍器で激しく腹部を突かれた
「血に染まった膵臓」を見つめている
(「ある少女の死」)

「「生命」なしに「歴史」は持続し得ないが、「歴史」なしに人間はおのれの所在を知ることはできない」(あとがき)。戦後60余年、広島の医師として現場に立ちつづけ、現代史の変遷のなかで声を上げつづけてきた詩人だからこそ、いまここで、確かな言葉が響く。痛みを抱えて、なおも人間を見つめ書き継ぐ、次代への懸け橋、17篇。装幀=高林昭太

本体2,200円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3357-7
2013年7月刊

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岡井隆『ヘイ 龍 カム・ヒアといふ声がする (まつ暗だぜつていふ声が添ふ)――岡井隆 詩歌集 2009-2012』

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岡井隆、詩歌の極北へ


なぜ生きて歌ふのか〈死〉に訊いてくれかなり近くに居る筈だから
原子力は魔女ではないが彼女とは疲れる、(運命とたたかふみたいに)

「この本は、一つにはわたしの新しい詩集である。……二つには、わたしの新しい歌集である」(「この本について」)。高見順賞受賞詩集『注解する者』以後の自由詩と、短歌新聞社賞受賞歌集『X――述懐スル私』以後の短歌、東日本大震災をまたいで詠われた岡井隆の苛烈なる詩の現在を集成する。吉本隆明氏を追悼する1章、および入沢康夫、平出隆、穂村弘各氏との対話も収録、日本語の未来へ捧げられた戦後現代詩歌の到達点。装幀=毛利一枝

本体3,800円+税
A5判上製・462頁
ISBN978-4-7837-3368-3
2013年7月刊

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船越素子『半島論あるいはとりつく島について』

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約束の地へ


私の胸のちいさな流刑地が
剥き出しの大地の上で
呻き続けているいるのだろうか
(「流刑地で」)

「東京の風景、青森の風景、そして過去の人間の存在の片鱗――それらの厳しい“混ざらなさ”の境界線を愛でるように、言葉で際立たせる船越素子の仕事は「真理の言葉」を私達が失い、“全体”にまとめあげるためのきらびやかで限りなく絶望に近い“合言葉”とのはざまで、言葉でしかない言葉を粒立たせる」(木村文洋)。半島――それは死者とともにある土地、記憶の吹き溜まる土地。植民者の憂鬱な欲望、その見果てぬ夢……。本州の北の果てで、詩人は雪に埋もれた声なき声にじっと耳を澄ます。14年ぶり、第3詩集。写真=坪谷昭夫

本体2,200円+税
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3363-8
2013年7月刊



 

駱英詩集/竹内新訳『第九夜』

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野蛮な世紀へ


 オレは、ついに認めざるを得なくなった。オレは実は馬の変種或いは異形なのだ。
 二十一世紀という光り輝く時代、オレは突然、天からは離れ、地獄には隣接するところに身を置く、特異な種ということになった。
 物欲のグローバル化した時代の最前線で、オレは九夜という長さと形式で、自分の性的な遍歴および道徳的な苦境を釈明しないわけにはゆかなくなった。
(「前夜(馬篇)」)

「創作に臨むということは、地獄の恐怖を書き、煉獄の苦しみを書こうとすることである」(「後記」)。世界を疾駆する詩人が、闇夜の果てでつかみ取った魂の叫び――。異形の現代を討つべく、馬篇/猫篇で放たれる、圧倒的長詩。装幀=佐々木陽介+山田裕里

本体2,600円+税
四六判上製・242頁
ISBN978-4-7837-2760-6
2012年12月刊

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福田拓也『尾形亀之助の詩――大正的「解体」から昭和的「無」へ』

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亀之助という消失点


「尾形亀之助」とは、西洋的・前衛的詩によって見捨てられ、また国家の帝国主義的膨張の幻想に救われることもなくただ「無」にさらされ続ける、昭和のある時期に於けるそのような恐らく極めて稀な立ち位置を言うのではないだろうか。
(「序章」)

独特の魅力を放つ亀之助の詩群を構造分析し、その知性と批評性に真正面から切り込む。詩人の戦略を解き明かし新たな位置づけを与える、画期的詩論。装幀=山羊舎

本体2,400円+税
四六判並製・196頁
ISBN978-4-7837-1688-4
2013年7月刊

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吉田広行『Chaos/遺作』

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その祈りのために


あなたが残りの日々のかけらであり
わたしもまた残りの日の遠浅にむかって
ざわめいてゆくものであることを
(「クロニクル」)

「吉田さんの詩の抒情は、日常の出来事についてではなく高度に抽象化されたところから生まれるのだけれど、身体性や〈生命〉をどうとらえるかということに深く関わっている。だからこそ、あわあわと浮遊するような儚い言葉の連なりが実感として永続的な時間に、果てしない空間のイメージに届くことができるのだと思う」(川口晴美)。「この詩人は、自分がいつかどこかで見捨てた母と妹、そしてこの地上から、いま見捨てられてあるということのかなしみを言葉にしている。だからこそ、吉田広行の詩の言葉は、世界に対してこれほどまでに優しく手を振ることができているのではないか」(神山睦美)。詩が祈りならば、生は光、言葉が波動なら、時はかなしみ――。ほどけていく主体から広がる抒情の漣、27篇。

本体2,000円+税
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3364-5
2013年7月刊

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そらしといろ『フラット』

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第24回歴程新鋭賞受賞!


――海を閉じてまわるものの耳殻で裂かれた
えぐれた胸からしたたる光を浴びた日のこと
(「えぐれた胸からしたたる光を浴びた日のこと」)

「小鳥のぬくもり、人肌のぬくもり、茶碗のぬくもり。それもこれも、交わる人やモノや景色によりけり。気持ちよくもなれば悪くもなる。そらしといろさんは塩梅して加減して、ぬるめにする。保温する。その温度が絶妙なのだ」(長野まゆみ)。「この詩集へと詩の主体を決定づけているのは、もはや、あらかじめの性でもない、世界のアンバランスでもない、時代の空気でもない。そうではなく、もっとひそやかな、もっと底深い情動につき動かされたいきなりの他者への呼びかけ、他者の希求なのである」(野村喜和夫)。多彩なことばが泡だって、五線から弾ける不/協和音17篇。新鋭が奏でる第1詩集。著者自装。

本体2,200円+税
A5判変型並製・110頁
ISBN978-4-7837-3362-1
2013年7月刊

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崔勝鎬詩集/韓成禮編訳『氷の自叙伝』

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韓国現代詩人シリーズ第2弾!


私は死んだら喜んで腐ろう。
大地には肥やしが必要だから。
雲は私の幾升かのつゆが必要だから。
(「缶詰め」)

「真の自我を回復させる方法は何か。こういった質問の前で、崔勝鎬は深く徹底した自己無化の世界を見せてくれる」(洪容憙)。韓国の戦後世代を代表する詩人の、邦訳版アンソロジー詩集。実存的な問いを深め、独特の想像力を飛翔させていく。朴柱澤詩集『時間の瞳孔』に続く、韓国現代詩人シリーズ第2弾!

本体2,400円+税
四六判並製・194頁
ISBN978-4-7837-2761-3
2013年7月刊



 

松浦寿輝『afterward』

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第5回鮎川信夫賞受賞!


ひきしぼり
ひたりこみ
ひびきわたり
ひたすら
ふみまよい ふりあおぎ
いつの間にかわたしは
少年のからだをとりもどしているようだ
(「throughout」)

「わたしは今、「その後」を生きているような思いでいる。…自分で自分の「その後」に始末をつけなければならないのだ」(後記)。詩人と、犬と、ことばと、ひかり、その交差するゆらめき、その歩行。もう戻れないところに来てしまった私たちへのささやかな祈り、25篇。装幀=中島浩

本体2,000円+税
四六判変型上製・96頁
ISBN978-4-7837-3359-1
2013年6月刊

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