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船越素子『半島論あるいはとりつく島について』

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約束の地へ


私の胸のちいさな流刑地が
剥き出しの大地の上で
呻き続けているいるのだろうか
(「流刑地で」)

「東京の風景、青森の風景、そして過去の人間の存在の片鱗――それらの厳しい“混ざらなさ”の境界線を愛でるように、言葉で際立たせる船越素子の仕事は「真理の言葉」を私達が失い、“全体”にまとめあげるためのきらびやかで限りなく絶望に近い“合言葉”とのはざまで、言葉でしかない言葉を粒立たせる」(木村文洋)。半島――それは死者とともにある土地、記憶の吹き溜まる土地。植民者の憂鬱な欲望、その見果てぬ夢……。本州の北の果てで、詩人は雪に埋もれた声なき声にじっと耳を澄ます。14年ぶり、第3詩集。写真=坪谷昭夫

本体2,200円+税
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3363-8
2013年7月刊