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吉田広行『Chaos/遺作』

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その祈りのために


あなたが残りの日々のかけらであり
わたしもまた残りの日の遠浅にむかって
ざわめいてゆくものであることを
(「クロニクル」)

「吉田さんの詩の抒情は、日常の出来事についてではなく高度に抽象化されたところから生まれるのだけれど、身体性や〈生命〉をどうとらえるかということに深く関わっている。だからこそ、あわあわと浮遊するような儚い言葉の連なりが実感として永続的な時間に、果てしない空間のイメージに届くことができるのだと思う」(川口晴美)。「この詩人は、自分がいつかどこかで見捨てた母と妹、そしてこの地上から、いま見捨てられてあるということのかなしみを言葉にしている。だからこそ、吉田広行の詩の言葉は、世界に対してこれほどまでに優しく手を振ることができているのではないか」(神山睦美)。詩が祈りならば、生は光、言葉が波動なら、時はかなしみ――。ほどけていく主体から広がる抒情の漣、27篇。

本体2,000円+税
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3364-5
2013年7月刊

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