詩の本の思潮社

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新刊情報

石松佳『針葉樹林』

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第71回H氏賞受賞!


馬の背中は喪失的にうつくしい作文だった。沼に立ち尽くす馬は暗く燃え、やがて皮膚の上には雪が結晶する。
(「絵の中の美濃吉」)

「文字が透き通るだけではなく、書かれている内容も完璧に透き通ってしまう。読み取れるのは、詩の向こうから差し込んでくる陽射しのまぶしさだ」(松下育男)。「直喩と隠喩が分かちがたく用いられている。自在な喩と意味の接続に変化を加えることで、わたしたちの想像力を越えていく」(須永紀子)。清冽なる心音――。水面を吹き抜け、傘を開いてゆく言葉たち。装幀=佐野裕哉。好評重版!*初版は完売しております。

本体2000円+税
四六判変型並製・96頁
ISBN978-4-7837-3738-4
2020年11月刊

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金田久璋『理非知ラズ』

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神を問う、神に問う


一日を生きるための
わずかな飢えを満たす
我欲我執が救いとなりますように
(「鯉」)

「無明極めたる羅切汝は誰」。深まりゆく遊行期、生と死の〈理非知ラズ〉は知情意を超え、せめぎあうエロスとタナトスの祝祭に森羅万象を視る。渾身の新詩集。

本体2600円+税
A5判上製・144頁
ISBN978-4-7837-3737-7
2020年11月刊

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海東セラ『ドールハウス』

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第31回日本詩人クラブ新人賞受賞!


ふり向いてごらんなさい、背後はどこまでも開かれている、ここはあらかじめ不完全にオープンな部屋です。
(「ドールハウス」)

鳥が尾羽をひらいた下廻り階段、屋根裏の気室、永久を夢見る台所……住まう構造とひとの時間がからまってはほどけ、ランプの火影に空間のポエジーが踊りだす。独創的な22篇の小世界。

本体2300円+税
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3736-0
2020年11月刊

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小笠原茂介『幻の白鳥』

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戦後世代の昂揚と挫折のあわいに


あるとき運悪く 火の球が捕まって…氷の球の縁が燃える…
コロナ…紅炎と純白の…凄まじい光の荘厳指輪――
そのとき地球は どきどきしながら真っ暗で…
遠近の星さえ 燦めきいでて…
(「幻の白鳥」)

深層意識に眠る人類始原の夢を描いた『夜明けまえのスタートライン』で生まれた〈(死者としての)朝子モティーフ〉は、『青池幻想』、『雪灯籠』において、〈愛と死別〉の普遍像として完成された。本詩集は、〈朝子モティーフ〉の原点に立ち戻り、学生時代の朝子との出会いに始まる、1960年以降の反安保世代の昂揚と挫折を背景にした戦後史の一断面として造型された。

本体3000円+税
菊判上製・160頁
ISBNISBN978-4-7837-3733-9
2020年10月刊

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高橋睦郎『深きより 二十七の聲』

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第63回毎日芸術賞受賞!


千年 千數百年 久しく忘れられてゐた私の名を呼ぶのは
幾層にも振り重なつた時間の堆積の底 隙閒なく きしきしと
泥の詰まつた鼓膜を打つて 私の眠りを覺ますのは 誰?
(「深きより」)

現代の詩人にとって冥界とはひたすら伝統のことではないか――。稗田阿礼、額田王から、蕪村、河竹黙阿弥まで、古代から近世にいたる先人の霊をして、その詩心を語らしめる。日本語詩歌との長い歳月を結実させた、空前絶後の試み。「現代詩手帖」好評連載を集成。〈三島由紀夫〉との交信・対話を付す。装幀=原研哉+梶原恵
重版出来!

本体3800円+税
菊判変型上製・192頁
ISBN978-4-7837-3712-4
2020年10月刊

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森本孝徳『暮しの降霊』

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第36回詩歌文学館賞受賞!


きみは咲う。親はいま骨離れが悪いと。指が戦ぐのはそのせいでなく、ぼくも囮の信条に背いて意味もなく笑うことがある。
(「豚の首」)

文反故による貼雑ぜ自伝。骨のない幽霊。角材で閂をして眠る姉妹。でこっぱちの毛虫――。人から遠く離れた場所で、人との共棲をもはや無用とした言葉同士は、どうして人の想い出を騙りえるだろうか。『零余子回報』から5年を懸けて設えられた、現代詩の巣穴。装幀=水戸部功

本体2400円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3729-2
2020年10月刊

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山崎佳代子『海にいったらいい』

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緑色に透き通って


眠る父は、限りなく自由だ
空を渡る鳥のように軽やかだ
と、娘は呟く、聞きとれぬ声で
(「地図」)

「ベオグラードに住む私が、入院中の父を見舞うことができたのは幸いなことであった。(…)入院生活は二週間続いた。病院の地下の売店で見つけた紺色の小型ノートに、夜ごと鉛筆で詩を綴った」(「制作記録」)。植物学者だった父の存在を心に、詩人はしずかに海を見つめる――。10年ぶり、待望の新詩集。装幀=扉野良人

本体2700円+税
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3726-1
2020年10月刊

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田中さとみ『ノトーリアス グリン ピース』

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ひととせの光


赤い波の輪郭線 が 遠い昔に向かって柔らかくうごく
雨が斜めから降り注ぎ リズムを刻んだ
三つになっても立つことができなかった
アンドロイド が 歌を歌う

「ノトーリアス グリン ピース」
私はその歌をそう名付けた
(「キミが最初の花だった」)

「田中さとみの呼気とともに零れてくる書法に彷徨っていると不思議な森に迷い込む。ここはかそけきミドリの旋律がみち溢れる世界だ」(朝吹亮二)。奔放に切られゆく詩のシャッター音。『ひとりごとの翁』に次ぐ、待望の第2詩集。写真=金川晋吾、装幀=中島浩

本体2400円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3725-4
2020年10月刊

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