岩阪恵子『鳩の時間』

第57回歴程賞受賞!
第57回歴程賞受賞!
そんな青い水のなかを人も車も動き、それらはすべてこの世のものではないように眺められてくる。とはいえ人工の明りに照らされた列車のなかがこの世のものであるとも言い切れないのだ。窓際にいて、わたしはずっくり濡れている気がする。
(「帰途」)
本体2400円+税
A5判変型並製筒入・120頁
ISBN978-4-7837-3666-0
2019年7月刊
そんな青い水のなかを人も車も動き、それらはすべてこの世のものではないように眺められてくる。とはいえ人工の明りに照らされた列車のなかがこの世のものであるとも言い切れないのだ。窓際にいて、わたしはずっくり濡れている気がする。
(「帰途」)
本体2400円+税
A5判変型並製筒入・120頁
ISBN978-4-7837-3666-0
2019年7月刊
みかんの汁がしたたるように
一歩が雨になる
ここに花を飾る
(「頭」)
本体2200円+税
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3668-4
2019年7月刊
危機を生きる言葉? あるいは、言葉を生きる危機。言葉を使う、言葉とともに生きる、それが普通の人のステージなら、言葉を生きる、それが詩人のステージだ。たとえ危機の時代にあろうとも。(…)それは統覚的に秩序正しく言葉を運用することではない。そうではなく、むしろ、言葉の自律的な運動に翻弄され、他者の言葉にきりもなく横断されながら、そこでなお叫んでいる主体の声があるということである。(「結語に代えて」)
本体3200円+税
四六判並製・368頁
ISBN978-4-7837-3820-6
2019年8月刊
1.その詩は詩という「もの」である。
2.その詩は「詩」に強勢をおく。
3.その詩は「構想」を強調する。
(「ASA宣言書:1973」)
本体1500円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1021-9
2019年8月刊 品切
透明を きらめき 顕わす 水は
陽の額を ほとばしり 流下する
(「陽の額」)
『視線論』から5年、ひそやかに差し出される。「なお、私は詩と造形にまとわる、かすかな呼吸の促しを受ける。この生息は明らめられ、また記されるだろうか」(「後記」)。装幀=著者
本体2400円+税
A5判並製・98頁
ISBN978-4-7837-3671-4
2019年7月刊
恋愛なんて
うしろの座席から聞こえた
だからあたしはいってやった
恋愛なんてへのかっぱ
へいすけをあたしは好きだった
(「へいすけ」)
本体2200円+税
B6判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3672-1
2019年7月刊
なぜ長い時間、同じ中心を周回するようにして書き続けてきたのかと問われれば、日本の、あるいは外国の、他の思想家を追跡することによっては決して可能にならない、吉本隆明について書くことによってしか可能にならない思考の道筋が、この世界にはたしかに存在するからだ、と答えるのがよいと思う。(あとがき)
本体3600円+税
四六判上製・376頁
ISBN978-4-7837-3815-2
2019年7月刊 品切
今は不在のうえで光だけがゆれて
その静寂にそっとふれてみる
やわらかくてつかみきれない感情は
舞いおちる一枚の葉のよう
(「窓辺にいて」)
本体2400円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3662-2
2019年7月刊
こころは 聴こえないもののなかで
ひそかに爪弾かれ
見えない糸となって 揺れている
(「急停車するまで」)
本体3200円+税
A5判上製・158頁
ISBN978-4-7837-3660-8
2019年7月刊