詩の本の思潮社

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有働薫『モーツァルトになっちゃった』

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〈私〉を超えて


まじりけがなくやわらかく
奥深くかなしい
月がつくりだす景色に溺れながら
もうずいぶん長く影法師に逢わない
(「月と時間」)


血管の中をモーツァルトが流れていく――。自分という枠をこわしたい、いつだって、いつまでも。細やかな視座と大胆な跳躍、挑みつづけてやまない詩心のゆくえ。現代詩花椿賞受賞『幻想の足』以来の踏み出しを刻む新詩集。装画=正藤晴美

本体2,300円+税
A5判並製・110頁
ISBN978-4-7837-3443-7
2014年10月刊

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須永紀子『森の明るみ』

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見ることをやめない


どこから入っても
いきなり深い
そのように森はあった
(「森」)


〈悼み〉に思いめぐらす日々。ことばを持たないひとと過ごす時間。思い出も共通の体験もないひとを〈悼む〉ことは可能だろうか――。第26回詩歌文学館賞の『空の庭、時の径』以降、4年ぶりの新詩集。装画=矢野静明

本体2,200円+税
A5判並製・86頁
ISBN978-4-7837-3452-9
2014年10月刊

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暁方ミセイ『ブルーサンダー』

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さらなる疾走へ


その静かな裏庭を
惑星が沈むような面ざしであなたが見ていた
しらじらとやってくる最初の
光線に凍えて。
(「薄明とケープ」)


夜半、うずまく街の空気。その底層を視つめ、いっしんに駆けていく――。中原中也賞受賞の『ウイルスちゃん』から3年、成長著しい第2詩集。装画=ししやまざき、装幀=カニエ・ナハ

本体2,200円+税
A5変判並製・102頁
ISBN978-4-7837-3449-9
2014年10月刊

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藤富保男『一壺天』 

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異路異路の道


一人で久しぶり が笑い出す
 こちら 笑う真似をする
ついに久しぶり は始めの話に戻す まだ終らない

(「久しぶり」)


「わたしである著者は一人で座布団に座って瞑想するうちに、異端を正統とする想い、換言すると故事放浪の新伝説を作ることとなってしまった」(はじめに)。詩の形を描いたり、書いたり。藤富保男の煌めきあふれる、かろやかなる新詩集。写真・添画=著者

本体1,600円+税
A5変判並製・66頁
ISBN978-4-7837-3442-0
2014年10月刊

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中島悦子『藁の服』

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第48回小熊秀雄賞受賞!


喪の人々が散らばってあちらこちらで踊っている。手をつなごうとしてつなげない、輪になろうとしてなれない、形になろうとしてなれない踊り。 
(「黒をめぐる」)


果てしない罠に絡めとられていく架空の街。捨てられ続ける現代の神話を果敢に紡ぐ24篇。H氏賞受賞『マッチ売りの偽書』に次ぐ、待望の新詩集。装幀=戸田正寿

本体2,400円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3444-4
2014年10月刊

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華原倫子『葡萄時計』

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ざわめく空間


空は鈍色にひかり
橋を渡る人はみな夢みている
顔のうすい表皮を落としながら

(「橋の記憶」)


記憶と現実を行きかい、見出される光景。この世の裏側をとらえ、言霊を引き寄せる――。幻視の糸をつむぐ、第3詩集。装幀=甘夏図案室

本体2,300円+税
A5判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3447-5
2014年10月刊

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北爪満喜『奇妙な祝福』

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第11回日本詩歌句随筆評論大賞 詩部門奨励賞受賞!



誰も住まない
闇のなかで
絵の花が咲き続けている
(「夕闇が長い舌を出していた」)


透明な眼差し、研ぎ澄まされた耳によって、つねに、引き受け、受けとめる。これまで語られなかった家族の風景を通して見えてくる重層的な時間。受動の力をしなやかさに変えて、濃密な幼き日の〈私〉を、いまの時空へ解き放つ。写真=コイズミアヤ、装幀=伊勢功治

本体2,800円+税
A5判並製・162頁
ISBN978-4-7837-3441-3
2014年10月刊

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竹内新『果実集』

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第55回中日詩賞受賞!



みがかれ飾られ
万人に美しい色に変えられ
誰の夢の中へも入って行けるのだった
(「林檎の思い出」)


「私にとって、果実はまるで同伴者だ。果実が熟してゆくのを見届け、自身もその果実のように熟したいと思うだけで、心が慰められる。見ても食べても賛辞を惜しまない。少々酸っぱくても、許容の範囲だ。それが果実だと思える」(「後書き」)。空と地のはざま、仄かにかがやく果実たちに――。尽きせぬ思いとともに、歌いとどける34篇。

本体2,400円+税
四六判上製・130頁
ISBN978-4-7837-3436-9
2014年10月刊

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森山恵『岬ミサ曲』

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あかつき闇へ



消えゆくものを胸にしっかりと抱きしめても
やがて、すきとおって見えなくなる
(「月の殻――never let me go」)


「伝説や民話の中でいきいきと息づく精霊たちが呼び出され、世界のもの言わぬ半分の言葉を語りかけてくる」(中本道代)。沈黙の闇に向けて奏でる、光湧き立つ34の詩。装画=毬矢まりえ

本体2,400円+税
A5判上製・130頁
ISBN978-4-7837-3446-8
2014年9月刊 品切