詩の本の思潮社

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新刊情報

秋亜綺羅『ひよこの空想力飛行ゲーム』

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猫を恋と書き変えても世界は同じ
世界は失恋したのだから


猫は腐る
ままごとの猫はちぎれる

好きな女のコにブリーフを脱がされるのと
ブリーフをはかせてもらうのでは、どちらが恥ずかしいですか
(「青少年のためのだからスマホが!」)


「詩は小説以上にフィクションであるはずで、その究極のフィクションを垣間見たい一心で詩を書いています。世界でまだだれも書いたことがない落書きをしたい。たぶん」(あとがき)。表と裏、真実と嘘を鮮やかに切り返す秋亜綺羅ワールド。抒情に抗する意思が抒情を立ち上げる。装幀=柏木美奈子

本体1,800円+税
菊判変型並製・114頁
ISBN978-4-7837-3426-0
2014年8月刊

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長嶋南子『はじめに闇があった』

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眠れよ わたし


大きな風船がひとつ
部屋に転がっている
ねこ 爪をたててはいけないよ
はじけてわたしが産まれてしまうから
(「風船」)


死んだふりをしているの? それとも生きてるふりをしているの? ムスコ、かあさん、そして猫、この家はいつもにぎやかだけど、わたしの居場所はほんとうにあるのかな――すきまからどっと溢れる闇を、今日もやさしく飲み干して、詩としてそっと差し出してみる。

本体2,200円+税
A5判並製・92頁
ISBN978-4-7837-3424-6
2014年8月刊

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宮尾節子『明日戦争がはじまる』


いま、ここに、詩が、ある


たとえば。アートがきせいの、かちやいちの、はかいなら。そのようなあらぶる、ちからが、あらしたばしょを。そして、おかげで、すっかり、ひとけのなくなった、ばしょを。ちんこんし。もとのかち、もとのいちに、もどそうとする。ひとのいばしょを、とりもどそうとする、ちからが、もとめられているのでした。ここでは――
(「石巻ボランティア日詩」)

大反響を呼んだ表題作「明日戦争がはじまる」をはじめ、「石巻ボランティア日詩」や「ツイッター連詩」など、生活とともにある詩の言葉を見つめてきた詩人の近作を集成する。42篇収録。話題騒然の最新詩集!

*この詩集はオンデマンド出版で、アマゾンのサイト(Amazon.co.jp)のみでの販売になります。書店および思潮社営業部での取り扱いはありません。ご注文ごとに印刷製本し、24時間以内に発送、2~3日でお手元にお届けします。送料、印刷手数料等はかかりません。お問合せ=03-3267-8141(思潮社編集部)

本体1,500円+税
A5判変型並製・172頁
ISBN978-4-7837-3438-3
2014年7月刊

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現代詩文庫『田中佐知詩集』

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生前発表作から急逝後の遺稿まで


暗い天空に輝く
億年の歴史を秘めた星が
砕けて 散った
それが 砂だった
(「砂の記憶」)

代表作『MIRAGE』『砂の記憶』全篇収録。砕かれた宇宙最小の微粒子、何物にも溶けない砂に己を重ねた詩人が希求した愛と生。解説=國峰照子、北川朱実、小池昌代、和合亮一

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0986-2
2014年7月刊

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定道明『中野重治近景』

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手探りの結実、八つの断章


時代は過渡して行く。その時代を過渡する人達がいる。時代が気にくわなければ、当面「ない」と言う。「ないない文」である。ストップをかけるわけである。清濁合わせ呑むということがある。「民主主義に賛成する」がそれだとすれば、濁をどうしても呑めないむきは「民主主義に反対しない」となる。心では、そう言うことによって世界は変えられると思っている。世界は変えられないと思っている人達は、絶対に「ない」とは言わない。
(「ないない文について」)

青春の蹉跌と絶望のさなか、著者の心に突如ざわめきのようなものを呼び起こした、あの正体は何であったのか。徹底したフィールドワークと粘りづよい思考、抑制された筆致で、文献以前の領域にある文学者の姿をせり上げる、渾身の労作。装幀=高林昭太

本体2,600円+税
四六判上製・258頁
ISBN978-4-7837-1695-2
2014年8月刊

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平林敏彦『ツィゴイネルワイゼンの水邊』

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第17回小野十三郎賞受賞!


きみはいま 孤独な終着点にいる
人間というばけものの呪縛からも切れて
望みどうりの からっぽになって
(「からっぽ」)

「平林の詩に漂う憂愁は日本文学の伝統にまっすぐに根差していると見るべきなのだ。その死者との対話は決して戦後詩に特有のものなどではない。それは日本文学に特有のものなのだ」(三浦雅士)。流浪の果てに真実の詩は見つかるのか――。装幀=中島浩

本体2,600円+税
菊判変型上製・96頁
ISBN978-4-7837-3427-7
2014年7月刊

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石牟礼道子『祖さまの草の邑』

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第32回現代詩花椿賞受賞!


邑というからには川があった
河口があって 当然海があった
命たちはそこから陸に上っていた
(「さびしがりやの怨霊たち」)

生きる者も、死者たちも、すべてを包み込み、花となる石牟礼道子の宇宙。「現代詩手帖」連載の表題作をはじめ、東日本大震災を前後して書かれた「花を奉る」「わたくしさまの しゃれこうべ」ほか、詩人が伝える世界への愛のメッセージ。はじめての詩画集。

【目次】
幻のえにし
さびしがりやの怨霊たち
おしゃら恋唄
龍がお月さまに齧りつく
天の鳥舟
南瓜どのへ
於古世野魚万呂
夢やあわれ
蟇の蟇左エ門
創世記
檻の中の哲学 わたくしさまのしゃれこうべ
火種
精霊たちの浜辺
花を奉る

鼎談=石牟礼道子×高橋睦郎×伊藤比呂美

本体2,400円+税
四六判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3423-9
2014年7月刊

*在庫僅少、只今重版中です。

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一方井亜稀『白日窓』

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契るべき何ものもない窓


交差点を指の腹で拭い去り
拭い去っては朝の光に溶かす
(「窓」)

擦れた風景が白く発光する、紙の余白が文字を浸蝕する、詩行が悉く蒸散していく――。第1詩集『疾走光』で絶賛された詩人が、その方法論をさらに高め、研ぎ澄まし、風景の詩学をここに確立する。

本体2,200円+税
四六判並製・98頁
ISBN978-4-7837-3425-3
2014年7月刊

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