詩の本の思潮社

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新刊情報

新井啓子『遡上』

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新たな海へ


風のない日においでと 渡し守は言う 赤い屋根の小学校を目印に 川岸でユンボが大きく手を挙げるあたり 鱗を光らせて 鮭が上ってくるから(「遡上」)


見つめるとき、共揺れるものたち。今ここと記憶に遠い時空がゆるやかに溶けこみ、水面に影が落ちるように小さなうたが産声をあげる。装画=著者。

本体2,200円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3220-4
2010年10月刊

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神山睦美『小林秀雄の昭和』

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実効ある思想を


「すべて心にかなはぬ筋」に出会うとき、人は何にも増して心細く、暗くて狭いところへと追いやられているように思えることがある。だが、本当はそうではない。そのような心のありようこそ、誰にも同じように経験されるものであって、そこを通ってはじめて、人は人と通じることができるのである。(「「物のあはれ」への抵抗」)


日中戦争から連合赤軍事件まで、「ドストエフスキイの生活」から「本居宣長」まで、時代の衝迫のなかに身を置きながら近代批評を鍛え上げてきた小林秀雄。その軌跡を仮借なくとらえ実効ある思想を浮き彫りにする、原理的考察の到達点。装幀=中島浩。

本体3,000円+税
四六判上製・290頁
ISBN978-4-7837-1662-4
2010年10月刊

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白井明大『歌』

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ゆっくりと、待っている。


きみの
おなかのなかの
もうひとりの
きみがいる


父親になるとはどういうことなのだろうか。いつから目の前の赤ん坊を、自分の子どもと認識するようになるのだろうか。妻の妊娠、出産、子どもが言葉を覚え、いつしか一人の世界を持つようになるまでの、長いようで短い、かけがえのない時間に、丁寧に詩の言葉を寄り添わせていく。三つのいのちのための一冊の本。装画=MAYAMAXX、装幀=セキユリヲ。

本体2,800円+税
四六判上製・236頁
ISBN978-4-7837-3205-1
2010年10月刊

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塚越祐佳『越境あたまゲキジョウ』

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境界を超える


全方位あたま
天使の輪のような明かりが無数にならぶ
とうもろこしタワーにうつる太陽を見て
光合成するんだって
じって わたしの感情
ほんものより美しいんだって(「波境」)


「詩人は、前回以上に意を決し、あたまをうちふるい海をあふれさせようとしている。詩を書き/うたいつつ、境界をゆるませ海を笑わせる手管を、おのずと獲得している」(河津聖恵)。「語り手は自分自身の境界に出会って、それを越えていくのだ。この詩集には、自己の境界線はどこにあるかという問いが様々な形で表わされている」(ジェフリー・アングルス)。あらゆる境界を軽やかに大胆にまたいでゆく、自作詩の英訳5篇を含むバイリンガル詩集。

本体2,200円+税
A5判並製・98頁
ISBN978-4-7837-3213-6
2010年9月刊

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原利代子『ラッキーガール』

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光の息吹


しばらくすると老人は潤んだままの瞳を閉じ
また いつものように眠った
桜の花は その上で
黙って咲いていた(「桜は黙って」)


「絵本と詩は双子のようなものかも知れない。絵本は懐かしく、大らかで、深い世界を持っていますが、この詩にそれを感じます。桜と人間が交流しているような、とてつもない深さが感じられるのです。きっとそこには絵本と詩の故郷があるのでしょう」(鈴木ユリイカ)。第19回伊東静雄賞受賞作品「桜は黙って」収録。舞い降りる光の息吹をとらえた20篇。

本体2,200円+税
A5判並製・92頁
ISBN978-4-7837-3215-0
2010年10月刊

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齋藤貢『竜宮岬』

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海の底へ


竜宮ハ 楽園デスカ?
アヤマチ ハ ユルサレルノデスカ


もう一度。
教えて下さい。


オ母サン。(「竜宮岬2」)


おぼろげな霧の向こう、たちのぼる冥府の世界。古今東西の伝説や神話に想をえながら、地上から水中、また地上へと、さまよい歩く魂を鮮やかに描いた22篇。装画=粟津杜子

本体2,500円+税
A5判上製・122頁
ISBN978-4-7837-3216-7
2010年10月刊

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青木栄瞳『エイメ姫の一千一夜物語』

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――数学はお好き?


SKK SKK SKK(空ってこんなに綺麗だったね、)
BI BI BI(文学は、生き残れるか?)
CB CB CB(超微妙。)


いのちとは、何かしら? その大きな問いをたずさえながら、前作『マジョ・リカ解難録』に続き、エイメ姫が生命と宇宙の謎に迫る新詩集。

本体2,200円+税
A5判変型並製・114頁
ISBN978-4-7837-3214-3
2010年9月刊

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木坂涼『ある日』

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「ある日」ではじまる連作詩篇


ある日
私は雪の結晶を見ていた。


透明なその日の
そこだけが残り
今でも私をにこやかにする。


詩のないところに、詩は生まれる。息づいている。「ある日」ではじまる48篇分の毎日。道を訊かれる日、世界各地の動物園にいる日、幼い日の家族の思い出。日々のふとした出来事を詩に取り込み、機会詩の軽やかな試みを楽しむ。詩集2冊同時刊行!

本体2,000円+税
A5判上製・104頁
ISBN978-4-7837-3209-9
2010年9月刊

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木坂涼『どこへ』

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詩のある風景


どこへ行きたいの
星と草との間を
風が亡霊のように行き来するところ


どこへ行きたいの(「どこへ」)


「あなたは今日も/憲法九条とすれ違った/そして//互いに/ちいさな会釈を交わした」(「あなたは今日も」)。短いことばの中に木坂詩のエッセンスは凝縮されている。なにげない風景に、ときに鋭く、ときにやわらかく、そのまなざしの先にひかる34篇。『陽のテーブルクロス』から11年、待望の新詩集。

本体2,000円+税
A5判上製・108頁
ISBN978-4-7837-3210-5
2010年9月刊

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城戸朱理『世界-海』

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詩の絶対零度へ


およそ、始まりは“火”に包まれ
揺らぐ北極光のなかで
          世界は海のようだ(「壊れた光」)


「「この一切は燃えている」という一節に出会って以来、わたしのなかで、世界は海のように波打ち始めるようになった」(あとがき)。世界が一冊の詩集なら、ここに書き記された言葉の一切は現象となって海に溶け出す――。著しく環境が変化しつつある地球に詩の言葉を対峙させ、海を起源とするこの世界を解き明かしていく、極北の書物。詩集2冊同時刊行!

本体2,800円+税
A5判変型並製・162頁
ISBN978-4-7837-3211-2
2010年9月刊

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城戸朱理『幻の母』

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起源はいつも遠ざかっていく


この旅は終わることがない、
ふと、そのことに気づいた
始まりを尋ねることは
終わりを問うことではないから。(「神業」)


「はたして、川の始まりは、私に何を教えたのか。おそらく、それは人生や人間の比喩として語りうるものではなかったのだと、今にして思う」(跋)。これだったのか、川が一途に夢見たのは――。届きえぬ起源に辿りつくために、詩人は終わりなき旅を続ける。9年にわたって書き継がれた、百年後の文学を見据える比類ない砂の書物。

本体2,400円+税
菊判上製・106頁
ISBN978-4-7837-3212-9
2010年9月刊

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粟津則雄『見者ランボー』

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ランボーはいつ、ランボーになったのか?


評伝というスタイルを選んだのは、伝記では彼の詩をその生のなかに埋没させることになりかねないからであり、一方評論では、生にのめり込みながら生をつらぬき超える、彼独特の生の重さを充分にはとらえ切れないと思われたからである。(あとがき)


「現代詩手帖」に連載を開始してから35年余り、ランボーの詩と生の全貌に迫るために構想された未曾有の評伝シリーズ、『少年ランボオ』『ランボオの生成』に続く第3弾。「見者の手紙」を綿密に読み解き、同時代の詩的状況を浮き彫りにしながら、「見者」という概念を発見することによって大きく飛躍する少年ランボーを生き生きと蘇らせる!装画=加藤清美

本体2,800円+税
四六判上製・288頁
ISBN978-4-7837-1665-5
2010年9月刊

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広瀬大志『草虫観』

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雨よ降れ青く晴れよ


草虫の
強く照らし出された
均衡の糸口だけが
意味ではなく
すがる形として在る
神のかわりに生の汀で
人のいない
小刻みにふるえるその風景が (「草虫」)


欲望の生物学、絶望の経済学、希望の詩学――恐怖からさらに突き抜けて、未生の現在を顕わにする。詩を生物学として、詩を経済学として、世界の仕組みをそのまま詩のなかで再構築し、人間が把握できる事象の最終形態を詩によって描きだそうとする。装幀=中島浩

本体2,200円+税
四六判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3207-5
2010年8月刊

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