神山睦美『小林秀雄の昭和』
実効ある思想を
実効ある思想を
「すべて心にかなはぬ筋」に出会うとき、人は何にも増して心細く、暗くて狭いところへと追いやられているように思えることがある。だが、本当はそうではない。そのような心のありようこそ、誰にも同じように経験されるものであって、そこを通ってはじめて、人は人と通じることができるのである。(「「物のあはれ」への抵抗」)
日中戦争から連合赤軍事件まで、「ドストエフスキイの生活」から「本居宣長」まで、時代の衝迫のなかに身を置きながら近代批評を鍛え上げてきた小林秀雄。その軌跡を仮借なくとらえ実効ある思想を浮き彫りにする、原理的考察の到達点。装幀=中島浩。
本体3,000円+税
四六判上製・290頁
ISBN978-4-7837-1662-4
2010年10月刊