詩の本の思潮社

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新刊情報

熊谷ユリヤ『記憶の翼は果てしなく交錯し』

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想い出の守り手へ


いくたびも真夏の星でであい
いくたびか真冬の宙で
すれちがいながら。
(「忘れてはならない出来事が」)

東日本大震災、そしてコロナ禍。災禍に旅立った魂の記憶に寄り添い、無限の音空間に解き放つ。静寂と深淵のかなたへ――11年ぶりの新詩集。

2750円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3779-7
2021年10月刊

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小湖津完爾『塵芥集―一夜の詠 ―茂原才欠 短歌大矢數―』

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型破りの作品集


詠み得たり一夜に三百首これぞ短歌の冒瀆なりける
狂客が一夜に吐きし駄句駄詠朝を迎へて屁のごときものと知る
いみじくも名づけ得たり『塵芥集』机上に積める紙反故の山
(「序歌」)

謎の文人・小湖津完爾が茂原才欠の筆名を用いて、コロナ禍の息苦しい状況の中で一気呵成に書き下ろした、限定一〇部の私家版書籍の普及版。西鶴の『俳諧大矢数』に倣って、あえて文学的な意図はない「狂歌」だと表明しつつしたためられた、唯一無二の型破りの作品群。序=緋野原貴音、解説=鍛冶谷崎一、装画=玄順恵、発行=大和プレス、発売=思潮社

3850円(税込)
A5判上製・246頁
ISBN978-4-7837-3777-3
2021年10月刊

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照井知二『夏の砦』

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原郷へ


帯さながらに
擦り切れるまで
泣き果てる
国境
(「守り子峠」)

「圧倒的に構成する短詩の状態が詩人・照井知二の「個性」に収束されてしまうのか、(…)これは本詩集へのわれわれ読み手の責任でもある」(稲川方人)。「際立って短く言葉も少ないのだが、どの行も広々とした空間を背後に持っており、そこから奥羽地方深くの、清冽な山の空気が吹きつけてくる」(中本道代)。縄文以来の自然=社会を流れる詩魂と、隠され忘れられ虐げられてきた「東北」の精神史が起ちあがる。瞠目の第1詩集!

2860円(税込)
四六判上製・144頁
ISBN978-4-7837-3770-4
2021年10月刊

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常木みや子『遺丘』

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人新世を超えて


聖なる痕跡 響き合い
今宵コバルトの遺丘に
地軸を止めて
星、ふりつむ
(「聖なる丘 ギョベックリ テペ 2008」)

「『遺丘』の到達点――「地球は黒い遺丘だろうか/私は振り返る」――に、私はふと、ルネ・シャールのアフォリズムを置きたくなった。「われわれの暗闇に美のための場所はない。場所の全体が美のためのものなのだ。」想像力のスケールを大きくすることは、かくも意味深いのである」(野村喜和夫・栞)。シリアの戦禍、パンデミック下の実存――始原の風吹く遺丘で、時空を超えて呼応するもの。宇宙の無限、未来の記憶を共振させる第3詩集。

2640円(税込)
A5判並製・110頁
ISBN978-4-7837-3778-0
2021年10月刊

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吉増剛造『Voix』

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第1回西脇順三郎賞受賞!


〝シシシロシカル″
そこに
〝イの樹木ノ君が立って来ていた!"
(「〝木陰に、〝ユメの庭、・・・・・"〝シシシロシカル!"」)

詩は果てしない長さを独力で、煉獄のなかで書いていく形式……石巻鮎川浜に歩を運びつづけ、土地と存在の声を感じつづけてきた旅人は、心の隅に差す光を綴るように、幽かな幻の道を辿っていく。太古の水脈をさかのぼり、遥かな未来へと突きぬける、渾身の言語行為。あらゆる感覚を響きあわせ、句読点やルビ、約物までもがざわめく、未生の光景がここに拓かれる。装幀=中島浩。好評重版!

3080円(税込)
B5判変型上製・112頁
ISBN978-4-7837-3776-6
2021年10月刊 2022年9月第2刷

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蜆シモーヌ『なんかでてるとてもでてる』

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第59回現代詩手帖賞


あたしたちは
ひとりのこらず
うしなわれていく
未来のほうからやってきた
(「なんかでてるとてもでてる」)

「変幻する詩の声の豊かさにあらためて脱帽させられる」(時里二郎)。「この二十年に現れた詩人のなかで、これほど総合的な意味で正統な詩人がいただろうか」(暁方ミセイ)。 え、なに、これ? だれ、これ? みたこともないしーをくりだす蜆シモーヌの、にゅーばらんすな第1詩集。装幀=中島浩。好評重版出来!

2750円(税込)
四六判並製・224頁
ISBN978-4-7837-3773-5
2021年10月刊

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日笠芙美子『馬 馬 行きなさい』

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時の向こうへ


まだ見えない灯りの方へ
馬の夜が歩いて行く
(「言葉」)

わたしは夜を行くもの。問われるものであり、問うもの―‐半世紀にわたるはるかな言葉の道のり、第11詩集。

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3780-3
2021年10月刊

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遠野魔ほろ『夜更けの椅子』

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あわいの灯し火


自分では表だと思っていたものを
誰かがこんな風に
ふと裏返してしまうことがあるものだ
(「裏庭」)

窓辺の月光、影の揺れる夜のさざなみ――そこに椅子ひとつ。磨きあげた言葉で、あわいにそっと小さな光をかかげる、第1詩集。

2200円(税込)
A5判変型並製・78頁
ISBN978-4-7837-3775-9
2021年10月刊

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白井明大『着雪する小葉となって』

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ボジティヴな逃走


身も羽も雪にまみれて
降りつもる粉の弾みに救われたのだろう
たとえ着雪する小葉の輪郭に耐えきれずこころを失くしても
地の匂いが浸みた翼でとおく飛べる半身でありたい
(…)
見知らぬ地のたどり着きかたを知らず知らずふるまいにしながら
(「着雪する小葉となって」)

政治が人々の分断をあおり、弱い者が弱い者を追いこむ残酷な世界であっても、であればこそ、今は希望を語ろう。「やだったら、逃げて」。震災を機に沖縄に拠点をうつして10年とちょっと。島を出て、いま目にするものを、弱さを弱さのままに差し出す。装画=大平高之、装幀=山元伸子 

2420円(税込)
A5判変型並製・84頁
ISBN978-4-7837-3765-0
2021年11月刊

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川口晴美『やがて魔女の森になる』

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第30回萩原朔太郎賞受賞!


もう知らない誰かに勝手に使われたり奪われたりしなくていい
かわいいとか幸せそうとかおもわれなくてもいい
わたしがわたしじゃなくたっていい森の
秘められた水の辺にはわたしかもしれないひとたちがいる
(「世界が魔女の森になるまで」)

あなたはもうひとりのわたしなのかもしれない。だからこれはひとりの、わたしたちの声。話題となった「世界が魔女の森になるまで」(「早稲田文学増刊「女性号」」初出)を収録。高見順賞受賞の『Tiger is here.』以後、着実な歩みを見せる新詩集。好評重版。装画=イケムラレイコ、装幀=白本由佳 

2640円(税込)
四六判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3764-3
2021年10月第1刷、2022年11月第2刷

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紫衣『旋律になる前 の』

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第58回現代詩手帖賞


出会ってしまったが最後、己の生きうつしをこの目で見た瞬間にヒトは、そのひとは――
(「名もなき池」)

「密度の濃い詩集が編まれようとしている。作品になる前の、発語の予感に打ち震える身体からこの書物はひらかれていくのだ」(朝吹亮二)。「水面下は混沌とし、答えることのできないさまざまな問いが、星のように散らばっている」(野木京子)。昏がりの混沌の中、音なき記憶が一閃する。詩の生誕と真向かう、24篇の軌跡。

2640円(税込)
A5判変型並製・120頁
978-4-7837-3769-8
2021年10月刊

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