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冨岡悦子『ベルリン詩篇』


見つめられた現代史の真意


バベル ベルリン
はじめに 命令形が立った
命ずる者には 従う者がいて
叛く者があった
(「バベル ベルリン」)

「難問を手放さずに生き延びることは、とても難しい。それでもなお、言葉とともに向き合って生き延びたい」(「覚書」)。ルー・リードのアルバム、カフカの巣穴、躓きの石、さまたげる壁……。寓意が消えてゆく風景の果て、見つめられた現代史の真意。パウル・ツェラン研究でも知られる詩人の、27の詩篇。装幀=稲川方人

本体2,400円+税
A5判上製・118頁
ISBN978-4-7837-3525-0
2016年6月刊

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樋口良澄『鮎川信夫、橋上の詩学』


第19回小野十三郎賞受賞!


鮎川の言葉が今も力を持つのは、自らの体験と〈他者〉や〈歴史〉を架橋しようとする時、個に内在する普遍を探る過程が〈詩〉として立ち上がるからではないだろうか。その過程は至る所にある。
(おわりに)

鮎川信夫の詩とは何か。初めて明らかにされる、「向上之青年」など父親の雑誌との深い関わり、戦争と〈荒地〉理念の根源、詩友・森川義信、夫人・最所フミとの位相、詩の断念の真相……。日記や証言などの新資料から論究する、ラディカルな詩人像! 2刷出来。カバー・表紙写真=上田義彦、装幀=間村俊一

本体2,700円+税
四六判上製・290頁
ISBN978-4-7837-3804-6
2016年7月刊

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原田道子『かわゆげなるもの』


はじまりの故郷へ


織りこまれている〈あか〉 一層謎めいて

ヒトという種の量子現象につりあう 聞き覚くからくりなり
(「かごめ紋絵図」)

「いにしえの)原生林の)太鼓が 徴が動む/ぼうやがくるくると墜ちてゆくあやまちの、そう螺旋なのです//ねむっている神が あ あぁっ。と目覚めるほどの」(「鳥居くぐり」)。ちいさきものの方舟に曳かれ、始原の息吹をおろす――宇宙なる子宮のいのちの祭礼。第7詩集。装書=稲田浩子

本体2,400円+税
A5判上製・108頁
ISBN978-4-7837-3524-3
2016年6月刊

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永方佑樹『√3』

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関数から生まれた詩群


夢は
葉脈を細らせながら色素を失い
冷感の夜底に沈殿して行く
ユークリッドのカリグラフィーに記号しながら
(「紅葉イロニー」)


「平仮名、片仮名、漢字の在り様や書き分けによって、ある種の関数が生じるべきであって、いつからか永方はそこに魅せられはじめた」(高塚謙太郎)。日本語をほどき、言葉の美をさぐる、異色な試みの結晶。カバーデザイン=カニエ・ナハ、装幀=中島浩
*この詩集はオンデマンド出版で、アマゾンのサイト(Amazon.co.jp)のみでの販売になります。書店および思潮社営業部での取り扱いはありません。ご注文ごとに印刷製本し、24時間以内に発送、2~3日でお手元にお届けします。送料、印刷手数料等はかかりません。お問合せ=03-3267-8141(思潮社編集部)

本体1,500円+税
オンデマンド版(ペーパーバック)・128頁
ISBN978-4-7837-3526-7
2016年6月刊

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山田亮太『オバマ・グーグル』

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第50回小熊秀雄賞受賞!


百年か二百年たってもう一度
何回目のまばたきをここにあるからだは生まれてからいままでに呼吸を積み重なる記憶を
はじめましてさようなら
私たちは分け合った時間を持って帰る
(「タイム」)


名づけられない労苦を経て送られた膨大な支援物資の記録。押し寄せる波のただなかに立ちつくす自動販売機のシルエット。<オバマ>という現象をめぐりインターネット上を駆け巡るニュース。事実と記述から取材され選択された無数の言葉は、詩という独自の生命体で不滅の文字となってよみがえる。2刷出来! 装幀=小田原のどか

本体2,200円+税
四六判並製・114頁
ISBN978-4-7837-3521-2
2016年6月刊

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現代詩文庫『水田宗子詩集』

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フェミニズム文学批評の第一人者として


嘴も神話も生まぬ
わたしの暗闇のなかへ
雄鳥の叫びの記憶にかわる
何をむかえ入れるのだろうか
(「鳥叫にこたえて」)


詩をつねに自らの表現として携えてきた著者の一巻選集。『春の終りに』『幕間』をはじめ、『帰路』『青い藻の海』、詩画集『サンタバーバラの夏休み』『東京のサバス』から収録。推薦=吉増剛造、対話=大庭みな子、北島

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1001-1
2016年5月刊

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宇佐美斉『清岡卓行の円形広場』


書き下ろし「詩人・作家」論


詩は青年期から最晩年にいたるまで一貫して主要な発信装置であったばかりか、彼が駆使した他のいくつかの表現手段を内部から支える核心として、終始活発に機能し続けたのである。この意味で清岡は、近代以降の日本の文学史を見渡しても、稀有な作家であったと言わなければならない。
(「序章」)

ポエジーを核に、詩と評論から小説へ、そしてさらに随筆、紀行文へと創造の輪をひろげ、ゆたかな文学世界をかたちづくる円形広場。長年、清岡卓行に親炙し、作品を丹念に読み解いてきた著者が、ライフワークとして取り組んだ、書き下ろし「詩人・作家」論の結実。装幀=清岡秀哉

本体2,400円+税
四六判上製・258頁
ISBN978-4-7837-3803-9
2016年6月刊

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川上明日夫『灰家』


白骨草が咲きましたよ


灰はいらんかね

灰売りの声が きょうは
空にあかるい
(「灰雨」)

生と死のゆらめきのはざまで――繰り返し謳いつづけたその先に、たどり着いた新境地。装画=長谷光城

本体2,400円+税
A5判変型上製・104頁
ISBN978-4-7837-3523-6
2016年5月刊

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白井知子『漂う雌型』


母のデスマスクをとる


世界は 先人と 未来の人とのつながりが
黙契のように はてしなく たゆたっている
微光は 渇仰と祈りに より添っている
(「落とし主は誰でしょうか お母さん」)

南コーカサス~アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア~の旅から、母との内なる旅へ。『地に宿る』から5年ぶりの新詩集。カバー・彫刻=白井保春

本体2,500円+税
A5判上製・118頁
ISBN978-4-7837-3522-9
2016年5月刊

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草野早苗『夜の聖堂』


第27回日本詩人クラブ新人賞受賞!
第48回横浜詩人会賞受賞!


部屋に雨が降り注ぐ
水のなかに雨が降り注ぐ
父親が膨らんだドアを開けて入ってくる
父親も雨で濡れるが
漆黒のなかに光を掲げる
フランツ・Kの横顔をして
(「部屋に雨が降り注ぐ」)

透明な光の波にゆらめく、魂を離れないいつかの風景や人影。終わらない旅の途上で、この星に降りた沈黙に耳を澄ませる、4年ぶりの第2詩集。装画=佐々木良枝

本体2,200円+税
A5判並製・94頁
ISBN978-4-7837-3520-5
2016年5月刊

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野崎有以『長崎まで』


第22回中原中也賞受賞!


東京なんて長くいるようなところじゃない
待っていてくれる人がいるのだったら
帰ったほうがいいにきまってる
私にはそんな場所はない
(「ベビーホテル」)

「「故郷」を失って「東京」を彷徨う「私」には、だが凜々しさがある」(中本道代)。「野崎さんの作品に勇気づけられたり励まされたことがある」(中尾太一)。もう一人の私に会いに行くこと――。片隅の生をやわらかく灯す、12の詩篇。2015年の現代詩手帖賞詩人による第1詩集。2刷出来!装画・挿画=塩川いづみ、装幀=細谷勇作

本体2,000円+税
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3518-2
2016年5月刊

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