詩の本の思潮社

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秋亜綺羅『透明海岸から鳥の島まで』

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第22回丸山豊記念現代詩賞受賞!


太陽がいっぱい

わたしたちのアイ・ラヴ・ユーは
波にさらわれることなどないだろう
(「津波」)

「この詩集の中で、どうしても詩になれなかった三つの日付があります(…)「人生」などという言語を使って許されるなら、この三つの日付は、わたしの人生にとっては、日付変更線といえるものかもしれません」(あとがき)。寺山修司に見出され時代を駆けぬけた俊才が、三つの日付変更線を握りしめ、いまこそ詩を解き放つ。渾身の22篇。見返し絵=いがらしみきお、表紙・カバーCG=星川律子、表紙・カバー絵・装幀=柏木美奈子

丸山豊記念現代詩賞HP

本体1,800円+税
菊判並製・114頁
ISBN978-4-7837-3305-8
2012年8月刊



 

清岳こう『春 みちのく』

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震災から一年


ところで
おこうちゃん よ
菜の花さくら草チューリップを並べなければ花屋じゃない
孤独なリングに上がらなければボクサーじゃない
(「ゴングは鳴っている」)

「前詩集、『マグニチュード9・0』は被災後一ヶ月間に書きとめたものでした。しかし、春が、夏が、秋が過ぎる中で、さらに新しい事態がつぎつぎと起こり、やはり今日を、明日を生きぬくために書かずにおれませんでした」(あとがき)。震災後、青葉の街に時が巡る。そしていま再び、――春。カバー・書「春」=阿部珠翠

本体2,200円+税
A5判並製・98頁
ISBN978-4-7837-3312-6
2012年8月刊

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金太中『わがミクロコスモス』

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わたしは 歩く ひた 歩く


わたしは 存在しているのだろうか
わたしは 生きているのだろうか
わたしは 愛を知りつくしたのだろうか
(「老いの身に想う」)

老いとは、歳月と対話を重ねていくこと、これが最後と思い定めて一篇の詩を紡いでいくこと。ときを積み重ねて、ことばを積み重ねて、いま生の涯てに立ち現れる、わがミクロコスモス。題字=呉炳学

本体2,800円+税
A5判上製・130頁
ISBN978-4-7837-3316-4
2012年8月刊

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高貝弘也『白緑』

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白緑色の、光のほうへ――


生命の息吹きが 震え
無性のあなたは、また命を
孵そうとして
(「幻影肢」)

白緑(びゃくろく)色の、光のほうへ――差し出される、言の葉。死者たち、生者たち……呼びかけるように、呼びかけられるように。鏡のように、現を映し出す、受け身の、うつわであるような身体に、時に優しいしるしを刻んで……『露地の花』から2年、新詩集。

本体2,600円+税
A5判並製函入・96頁
ISBN978-4-7837-3300-3
2012年9月刊



 

望月遊馬『焼け跡』

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どうしてここは、こんなに眩しいの?


休戦した、

地球儀のように行きだおれたい。

わたしは

手袋のような素材になりたい、
(「地球儀のように行きだおれたい」)

ぼくたちの洗いざらしの焼け跡へようこそ! ゼロ年代の現代詩が産み落とした至高のコトバの果実――いま、もっともヴィヴィッドな文学を堪能せよ! 第44回現代詩手帖賞詩人、待望の最新詩集。装画・装幀=白井ゆみ枝

本体2,400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3307-2
2012年7月刊



 

石関善治郎『吉本隆明の帰郷』

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徹底取材、7年。源流を探る旅!


吉本さんは、終始一貫、私の評伝の作業を支持してくれた。天草へ赴くときには地元の人へのメッセージを吹き込み、調査のために必要となれば紹介状を書き、時に取材すべき人を教示し、思い余って取材先から問い合わせの電話を入れると記憶の限りで答えてくれた。(あとがき)

「この人にはどこに行けば会えるのかわかるはずがない、ぼくもわからないしというような人まで訪ねて、いろんなアパートを転々としたところのことを聞いて、そこは訂正してましたね」(吉本隆明)。父祖の地天草、終戦を迎えた魚津、沈黙の人岩淵五郎との関係――吉本隆明も知らない吉本隆明の原風景への旅。『吉本隆明の東京』から7年、さらに深く「吉本隆明」という淵を降りていく。「現代詩手帖」好評連載に書き下ろしを加え、待望の刊行! 装幀=髙林昭太

本体2,200円+税
四六判上製・216頁
ISBN978-4-7837-1680-8
2012年8月刊

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尾関忍『約束』

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空駆ける どん!


わたしは約束を守ってまっすぐ走っていきました
どこまでも続くアスファルトの道に白い砂をまきあげ
途中で川をまたごうとして鎖骨を落としてしまいました
(「約束」)

「だから、いかなければならない。…小さな掌に、明日の地図を握りしめて……、(あなたのことばは、号泣したいほど、そのままのことば。)」(高貝弘也)。ずっと遠くへ、響かせたい――。生命から滴ることばの雫たち、第1詩集。装幀=柳本あかね

本体2,400円+税
A5判変型並製・114頁
ISBN978-4-7837-3297-6
2012年7月刊

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堀内みちこ『夜の魔術師』

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見つかった?


ヤモリに語る真夜中なんだ
魔術師になれるかもしれない真夜中なんだ
とける呪文を教えてよ
ユウヒのテントがなんなのか
(「夜の魔術師」)

ある日、詩人の心に「ユウヒのテント」という言葉が訪れる。若き日のスペインでの留学、いまは亡き父母との日々、再びスペインの土地で見たグラナダの風景、そこで「ユウヒのテント」の真の意味がひらかれる――。 写真=栁沼啓之

本体2,200円+税
A5判変型上製・98頁
ISBN978-4-7837-3306-5
2012年7月刊

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辻井喬『死について』

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もう美しく死ぬことはできない


そう遠くないうちに僕も入るその空間には
雲が流れているだろうか。
緑が滴って澄んだ水に映っているか
(「別れの研究」)

「今度はじめて、自分はどう死ぬべきかを考える立場に立って書いていることに気付いた」(あとがき)。病院のベッドに横たわる詩人の前を繃帯を捲いた死者たちが通り過ぎていく――この滅びゆく国で死者たちはどこに向かうのか。死と対峙して描ききった渾身の長篇連作詩! 装画=宇佐美圭司、装幀=中島浩

本体2,800円+税
菊判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3308-9
2012年7月刊

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城戸朱理『漂流物』

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第30回現代詩花椿賞受賞!


漂流物。すでに何かであることを終え、その名を失ったもの。それでも、再び、誰かが彼らに名前を与えることはできる。そして、そのときまで、彼らは未生の状態でまどろんでいる。
(「それは、自らが何かであることを……」)

「それはわたしが何かを書き止めたというよりは、漂流物のささやきを書き写すことだった」(あとがき)。鎌倉の海岸に漂着した名もなき欠片、そこからこぼれ落ちる無数の言葉――詩人が拾い集めた非人称の断片が、いま写真とともに封じ込められ、新たな旅をはじめる。波打ち際で生まれた連作散文詩、待望の刊行! 装幀=中島浩

本体2,800円+税
四六判上製・160頁
ISBN978-4-7837-3302-7
2012年6月刊

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