詩の本の思潮社

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新刊情報

斎藤恵子『海と夜祭』

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累累と不在のものたち


家家の下には
さらさら川がながれ
ふるい耳わのようなものをあらっている
(「夏の家」より)


「ひとは太古、ほかの凶暴な動物に襲われないよう、夜間は起き、昼間樹木の上で眠ったという。何か不穏な空気を感じる夜、他の動物にさとられないように、静かにしていなければならない。泣く子は殺されなかったか。太古からの残酷な気配を無意識のうちに感じて、今も泣くのか」(「子どもの悪夢――あとがきに代えて」)。生と死、夢と現実、俗と聖。見えるもの、見えないもの。そのあわいに導かれて――。装画=福山知佐子


【著者の言葉】


憶えておこうとしていても夢は醒めれば忘れてしまう。どうして忘れてしまうのだろうか。夢に出てきて欲しいひとは出てこなくて、見知らぬひとばかりが出てきたりする。その見知らぬひとをわたしは、ただ忘れているだけかもしれない。情念を持ちわたしの中で生きているから現れるのだ。ひとは時代の悲しみに耐えて永遠に生きなければならないのだと。「船日」や「小舟の女」が目の前に現れる。忘れてはならないのにと仄めかすように。生は一回性だが、ひとは遠い過去をなぞって生きていることもあるかもしれない。前詩集は、無月のように、あっても見えないものを書こうとした。本詩集では、うつつとも夢ともしれぬ、生と死のとろとろと溶け合い漂う世界をおずおず書いた。


本体2,200円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3254-9
2011年7月刊

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福間健二『青い家』

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第19回萩原朔太郎賞受賞!
第49回藤村記念歴程賞受賞!


もう進むも戻るもないんだよ
死んだ世界の
思い出を着ている以上は。
でも会いたいなあと思ったら
会いに行けばいい。
(「彼女はきみを愛している」より)

「ひとりの人間として生きることとつりあうひとつの作品をどこまでも書きつづける。そのなかに自分を溶かして他者を生みつづけるのだ」(「イン・プログレス、二〇〇一年」)。同時代の熱情と感傷を独自のスピードで表す、地上の歌98篇。生きることと書くことをぶつけあうように歩き続ける著者の、詩的存在証明ともいうべき新詩集大冊。装幀=清岡秀哉

本体4,200円+税
A5判並製・498頁
ISBN978-4-7837-3252-5
2011年7月刊 品切れ

 

現代詩文庫『続・伊藤比呂美詩集』

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天衣無縫な語り物


消えてゆく言語はスウィートだ、
関係がそこで消えても、
彼の記憶がそこで消えても、
声に出し消えてゆく言語はとてもスウィートだ、
(「ナシテ、モーネン」より)

「前世に向かって流浪を続ける詩人伊藤比呂美。存在の始源に立ちながら印を結ぶ。その分身術が見ものです」(石牟礼道子)。『のろとさにわ』『わたしはあんじゅひめ子である』『手・足・肉・体』など、ニホン語に新しい扉を開いた展開期の作品を網羅する、待望の作品集成! 解説=ジェフリー・アングルス、新井高子、四元康祐、イルメラ日地谷=キルシュネライト

本体1,165円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0968-8
2011年7月刊

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現代詩手帖特集版『大野一雄――詩魂、空に舞う。』

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永久保存版


[追悼鼎談]吉増剛造+大野慶人+樋口良澄「火炉の傍らに立つこの巨人」
[特別掲載]大野一雄+大野慶人+中村文昭「舞踏という表現方法」
[インタビュー]笠井叡「いままた、踊りはじめる」
[アルバム]細江英公「大野一雄頌」
[大野一雄の21世紀]介護日誌より/座談会(大野慶人ほか)
[資料]大野一雄インタビュー「宇宙の分霊として」/大野一雄作品解題、年譜
[追悼・論考]池上直哉+石井達朗+石田瑞穂+磯崎新+上杉満代+大津幸四郎+岡田利規+尾形充洸+岡本章+尾竹永子+笠井久子+カニエ・ナハ+金平茂紀+河村悟+北川フラム+金満里+國吉和子+甲野善紀+佐々木正人+白石かずこ+芹沢俊介+高井富子+田中綾+辻惟雄+鶴岡善久+永澤康太+中村文昭+貫成人+野村喜和夫+蜂飼耳+福山知佐子+藤原安紀子+文月悠光+溝端俊夫+三宅榛名+元藤燁子+山田せつ子+吉田文憲+四方田犬彦+渡辺保+マッテオ・カザーリ

ジャンルを超えて、40名以上がささげる追悼とその生涯の全貌。昨年の「現代詩手帖」9月号の総力特集を増補し、永久保存版として新たに刊行する。いまもう一度、大野一雄が舞う!

本体1,800円+税
A5判並製・220頁
ISBN978-4-7837-1867-3
2011年7月刊

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三宅節子『砦にて』

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1人の魔術師のように


お願いだ 気をつけて歩いて
未来はとてもやわらかい
月の光を踏みはずしたら
一つしかない卵がこわれる
(「未来」より)

「どうだろう、この元気のよさは。ためらったり淀んだりしない言葉が、まっしぐらに打ち寄せてくる。詩とは本来、こうしてすべての読者に生気を分け持たせてくれるものだった。きっぱりと前へ進んでやまない、この律動のいさぎよさ」(安藤元雄)。異界と日常の境で詩が跳ねる! 装画=宮原青子

本体2,400円+税
A5判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3243-3
2011年7月刊

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斎藤紘二『海の記憶』

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千の祈りを抱いて


海は記憶しているのだ
ひととき灰色にそまった海が
戦の後でふたたびあおく輝いたとき
そのあおは遠いむかしのあおではなかったと
(「記憶する海」より)

66年前の夏の壕から、断崖下の海から、そしていまなお残る軍事基地から――ひとりの祈念者が沖縄の海に沈む戦禍の記憶に問う。『二都物語』のヒロシマ・ナガサキにつづく平和と鎮魂の賦。

著者インタビュー

本体2,400円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3247-1
2011年7月刊

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陳育虹詩集/佐藤普美子編訳『あなたに告げた』

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台湾現代詩人シリーズ⑩


時空のサンドイッチに
心地よく身を横たえる

目覚めれば
私はなお私であって
私は 私ではない
(「押し花芸術」より)

私の目さすらう目あなたが恋しいなぜなら梧桐のスズメがみな舞い落ちるからなぜなら風はガラスの破片だからなぜなら日々の間には壁があるから――豊かな知性と情感が、繊細で官能的な言葉の旋律に昇華する。台湾のゼロ年代以降を代表する女性詩人が奏でる、極北の相聞歌。

本体2,500円+税
四六判並製・192頁
ISBN978-4-7837-2889-4
2011年7月刊

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鴻鴻詩集/三木直大編訳『新しい世界』

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台湾現代詩人シリーズ⑨


ぼくはどこにいようと、いつもそこにはいない
ぼくは何を言おうと、すべて別の意味だ
ぼくは何を夢見ようと、いつも醒めている
ぼくは愛する、でも愛しているのは他の人でもないし、きみでもない
(「どこにいようと」より)

船をこわし夜をこわし夢をけっとばす、壁を抜ける少年に夢はいらない、抜けられる壁があればいい――アイデンティティの揺らぎのなかで、少年の魂は彷徨いつづける。映画監督としても知られる台湾新世代詩人の旗手、待望の邦訳選詩集。都市の孤独を描く、鮮烈な抒情の結晶。

本体2,500円+税
四六判並製・204頁
ISBN978-4-7837-2888-7
2011年7月刊

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山本博道『光塔の下で』

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悲哀につらぬかれて


悲しみとか憎しみとか仕返しが
薔薇のトゲで刺さっているのが
ぼくたち人間なのではなかったか
(「トラとライオン」より)


ベナレス、シギリア、台北、ダッカ、バンコク。原色あふれる街々をさまよい歩き、詩人は出会い、見いだしていく。人間の生死のほとりを、母と暮らす東京での日常を――。悲しみと光のなかで描き出す21篇。装幀=芦澤泰偉。


【著者の言葉】

アジアの旅をずいぶんと重ねた。複数回訪れた国もあるが、順を追って、香港、マカオ、シンガポール、台湾、韓国、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、フィリピン、ラオス、マレーシア、インドネシア、インド、ネパール、スリランカ、バングラデシュ。それらを素材にした詩集もこれで四冊目になる。
ぼくが旅をするのは、それぞれの国の見馴れない建物と、視界が掻き消える雨と、うだるような暑さと、街の雑踏と喧騒に、それでも魅了されるからだ。小汚いホテルの部屋に案内されたり、いつ飛ぶとも知れぬ飛行機を待つ時など、大袈裟ではなく、鍛えられていない自分自身にぶつかる。そうした場面は書きつくせないほどだ。然しながら、それだからこそ、ぼくはアジアの街とアジア時間とアジアの人びとが大好きだ。
こんどの詩集は、脊柱管狭窄症の手術とぶつかった。 ぼくはまだコルセットを外せないが、やがてこのコルセットが取れたら、また、熱風の、そして花と魚と人とヤモリと野良犬と、夜が更けるまで屋台溢れるアジアの国々を、旅したいと思っている。

本体2,200円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3246-4
2011年7月刊

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三井葉子『灯色醗酵』

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ことばと二人連れ


ことばは消えることができる
わたしはなにを消したのだろう
とぶように逃げて行く時 に立ちはだかって
失うものを
あずけたのではないか
ことばに (「夕凪」より)

「彼女の姿勢を支えているのは、ある不思議な無欲である。この無欲は、何かを拒み、何かを否定することによって成立するものではない。進んでものにとらわれることによってものを奥底に向かって突き抜けたとき生まれ出るものだ。三井さんの詩には、そういう無欲そのものを核とすることによってはじめて可能であるような、欲求や欲情がしみとおっていながらまことに自由なことばの動きが見られるのである」(粟津則雄・栞)。〈永遠〉に橋を懸ける、熟達の新詩集。装画=西脇順三郎

本体2,500円+税
菊判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3239-6
2011年7月刊

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