斎藤紘二『海の記憶』

千の祈りを抱いて
千の祈りを抱いて
海は記憶しているのだ
ひととき灰色にそまった海が
戦の後でふたたびあおく輝いたとき
そのあおは遠いむかしのあおではなかったと
(「記憶する海」より)
66年前の夏の壕から、断崖下の海から、そしていまなお残る軍事基地から――ひとりの祈念者が沖縄の海に沈む戦禍の記憶に問う。『二都物語』のヒロシマ・ナガサキにつづく平和と鎮魂の賦。
本体2,400円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3247-1
2011年7月刊