詩の本の思潮社

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新刊情報

北川朱実『乾杯』

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仮縫いの天体で


もうすぐ草木に埋もれる
その前にと

見えない手が
グラスを高く揚げる
(「乾杯!」)


「千年のコーヒーの木の下/背中だけになった妹に/さがし続けた時間が降り続けている//この天体は/何の仮縫いなのだろう」(「遊星」)。懐かしい人びと、渦巻く時間が溶け合ってグラスが揺れる。体の奥に、誰も知らない海が一つある。忘れえぬ光景を連れて、夜明けへと彷徨う新詩集。装画=辻憲

〇同じ著者によって
『遠く、水門がひらいて』(2020年)
『夜明けをぜんぶ知っているよ』(2017年・第29回富田砕花賞)
『三度のめしより』(2015年)

2750円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4616-4
2025年6月刊

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三井喬子『銀平』

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いただきます


ひらひらひらと舞いかかる
七色の虹せつなくも
銀平!
(「銀平」)


「銀平」という魚の夢で目覚めた。「わたしは、生涯、この夢を忘れることはないだろう」。演ずるように詩を書いてきた。三つ子の魂百まで。わたしは詩のなかで、少女にも老婆にもなれる。軽やかな諧謔。現代詩文庫『三井喬子詩集』をへて、前詩集『山野さやさや』から6年ぶりの新詩集。

2640円(税込)
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4610-2
2025年5月刊

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尾世川正明『シュレーディンガーの白いねこ』

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噓からでた真実?


ねこは猫らしく見えて恐らくは猫ではないのだ
でもそのねこはただの譬え話でもない
ねこは少し前に金属の箱から取り出されたばかりで
箱のなかでは生と死のいずれをも重ね合わせた存在であった
(「シュレーディンガーの白いねこ」)


「わたしの詩の材料はわたしの身の回りや、たまたま興味を持った物事から湧いてくるものを拾う。しかし書いたものを見直すとずいぶん噓っぱちを並べたものだと自分でも可笑しくなる。だがその噓っぱちをさらに子細にみると、わたしだけの真実がこびりついている」(あとがき)。虚と実が不思議な均衡をたもって詩の世界で吊り合う。『糸切り歯の名前』から4年ぶりの新詩集。装画=筆者

2640円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4611-9
2025年5月刊

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森山恵『むらさき野ゆき』

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新しい光へ


泥ふかく潜れば 太古はやがて咲くだろう
だから沈め 破船の扉を開けよ (はらいそ はらいそ ぐるりよざ
(「見えない波」)


「レディ・ムラサキと巡る言葉の旅と、あまたの巡礼者が目指した聖地への旅。森山氏の悠久の巡礼は二重らせんの形をとり、遠い歴史の呼び声に応えつつ、新たな言葉のゆかりの地へ導いてくれる」(石沢麻依)。はじまりのことばとともに、祈りとともに――。11年ぶり、待望の第5詩集。装幀=柳川貴代

2750円(税込)
A5判上製・120頁
ISBN978-4-7837-4614-0
2025年6月刊

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