詩の本の思潮社

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秋亜綺羅『十二歳の少年は十七歳になった』

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詩ってなんだろうという名の旅


動かない時計だって宝物だね
けれどきみがいま秒針に指を触れれば
時間はきっと立ち上がる
空間はすっときみを抱きしめる
(「十二歳の少年は十七歳になった」)

「意味をすこしく壊しては、そこに詩を埋めてみる。今までに見たこともない夕焼けを感じてみたいからだ」(あとがき)。言葉の裏と表がぶつかりあうなかで、意味を超えて浮かび上がるもの。岐路と迷路をへて、東日本大震災10年の今に送る、待望の新詩集。装幀=柏木美奈子

1980円(税込)
菊判変型並製・102頁
ISBN978-4-7837-3767-4
2021年9月刊

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倉橋健一『無限抱擁』

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第40回現代詩人賞受賞!


葡萄の実の数は知っておくべきだった失踪する記憶のためにも
私の眼の数を読むように
チックタックチックタックと耳を刻む音、私はまだ水が欲しい
(「あの葡萄の実は」)

夢の切片をたぐり寄せ、折り重なる仄暗い地層へ。遠い過去とともに幾多の物語を辿り、なお迫りくる現在を根柢から見据える新詩集。装幀=髙林昭太

2860円(税込)
A5判変型上製・128頁
ISBN978-4-7837-3771-1
2021年9月刊

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清岳こう『雲また雲』

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言葉をしずめて歩く


「かえせ!!」と数千数万のこぶしをつき挙げる
直腸(テッポウ)を 第二胃袋(ハチノス)を 心臓(ココロ)を と
(「長ねぎを一本」)

詩人は人間だから詩人なのだ――人がうずくまるしかない大陸を、シベリア平原から哈爾濱・桂林、さらにベトナム国境へ。人間の本質、時代の雲の行方を追う、まつろわぬための新詩集。装画=定直都

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3763-6
2021年10月刊

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四元康祐『フリーソロ日録』

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366日(ほぼ)毎日書かれた詩と日記


 へばりついている
 日々の断崖のわずかな凹凸に
 そこにいることに気付く前のトカゲのように
 消え去った直後のその残像のように
 (「May 20, 2020」))

ドイツとアメリカで長く暮らしてきた著者は、コロナ禍のさなか、34年ぶりに生活の拠点を日本に戻す。定職という命綱を持たないフリーソロとなって書きつづけた366日。「ペナインの山歩きとシベリア鉄道による極東までの往復と香港のデモと南京の慰安婦所跡とコロナ騒ぎを経た一年」を綴った、詩と日記を丸ごと収録する。

*本書はオンデマンド出版で、アマゾンのサイト(Amazon.co.jp)のみでの販売になります。書店および思潮社営業部での取り扱いはありません。ご注文ごとに印刷製本し、24時間以内に発送、2~3日でお手元にお届けします。送料、印刷手数料等はかかりません。お問合せ=03-3267-8141(思潮社編集部)

2640円
オンデマンド版(ペーパーバック)・256頁
ISBN978-4-7837-3768-1
2021年9月刊

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桑田窓『52時70分まで待って』

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第18回詩歌句随筆評論大賞 詩部門奨励賞受賞!


その島の空は
夏の隣の六面体。
何度夜を迎えても
同じ三日月が昇っている。

「薄暗いコンコースの電光掲示板の前に立つと、デジタルの時計の数字は24を超えていた。時間はずっと一方通行で、二度とゼロには戻らない」(あとがき)。未来行き列車のターミナルに駆け込んだ詩人が、出発を前にさまざまな思いをはせる。

2640円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3759-9
2021年9月刊

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網谷厚子『万籟』

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2022年度茨城新聞社賞受賞!


爪先立ちで 枯れ草の上を くねりながら滑っていく わたしは 人ではない 蛇なのだ 人では生き通すことができない場所なら 地中深く さらに 押し広げて 穴を掘る 蔓草を編み上げ 器や服を作り バナナの葉で寝床を作る 一杯の焼酎が飲みたい日には 穴から顔を出し 茂る葉の隙間から 月の光を浴びる
(「万籟」)

南島の、自然と歴史とが織りなす光と闇のはざまにあって、3冊の詩集をものしてきた詩人が、住み慣れた地に居を戻し、あらためて自然の囁きに耳を澄ませ、土の匂いを懐かしむ。『水都』以来3年ぶりの最新詩集。装画=福地靖

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3760-5
2021年9月刊

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