詩の本の思潮社

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白鳥央堂『晴れる空よりもうつくしいもの』

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第47回現代詩手帖賞


澄んだ光の菜の花 そうしてかざした手のひら
数を数え飽きたらすぐに ここまで走っておいで
(「雷鳴語による新しい音楽」)

「そこに現れるのは、人間や動物や事物が同じ資格で、固有名や普通名詞を体にまといつかせて、無数のスイショウのように、存在から生え出てくる場面だ」(瀬尾育生)、「そんな、神様にしか与えられていないような、困難な「やさしさ」を、この詩集が痕跡として持っていることを、私たちはたいせつにしなければならない」(杉本真維子)。現代詩手帖賞受賞から3年、満を持して上梓する、待望の第1詩集。著者自装。

本体2,200円+税
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3292-1
2012年5月刊 品切れ

 

川上亜紀『三月兎の耳をつけてほんとの話を書くわたし』

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繁茂する物語


ちょっと待って
地震がくる前にほんとのことばかり書かなきゃいけない
ほんとのことばかり言っても誰も聞きたがらないんだ
(「三月兎の耳をつけてほんとの話を書くわたし*」)


父の入院と死、天国の梯子、青空に浮かぶトンデモナイ悲しみ。
五円玉のようなほんとの話がどんどん溜まっていく――
現実と空想、詩と散文のあわいを往還することばたち。
装画=橋本綱

著者の言葉
父が他界してから今年で6年になる。そのあいだに少しずつ書いてきた詩14篇を収めた。〈詩〉という文体に対してときおり抱いてしまう違和感はとりあえずそのままにして、なんでも詩に書いてしまえばいいのではないかと思いはじめた。現実に耐えて日常を生きていくしかないのだとしても、そのなかで時間と空間を押し拡げる試みを繰り返すことはほんの少し面白いのだ。詩でも散文でもほんとうに書きたいと思うことはなかなか書くことができない。その代わりに生まれたお話は、勝手に羽根を生やして飛んでいく。

本体2,200円+税
A5判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3289-1
2012年5月刊 品切



 

金子鉄夫『ちちこわし』

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ダンスっ、ダンスっ、ダンスっ


頭ゆらしてターンするから見てろよ
(へったくそな絶壁みたいだなぁ)
くびの皮、一枚捲って
何を期待するわけでもないが
レッスン、おれはダンスっ・レッスン
(「ダンス・レッスン」)


「金子鉄夫、この繊細きわまる悪童の登場に拍手を」(野村喜和夫)、「この詩集は、汚くて暴力的な気分で書かれたものではないと思う。材料は汚さや暴力を想像させる語や文であったとしても、この詩集にある気分はどちらかと言うと、きれいであること、優しさや温かさ、笑い、であるように思える」(小笠原鳥類)。どろどろ流れ出す詩語、待望の第1詩集。

本体2,000円+税
四六判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3291-4
2012年4月刊

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髙橋冨美子『子盗り』

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第23回富田砕花賞受賞!


死のさきはしばらくまた曲線がうねるがやがてそのゆくてにちいさな球形があらわれきらびやかで鋭利な光のとどく場所は期待にたがわぬ立方体である
(「ゆくて」)

「私はきわめて絵画的な、それもアンフォルメルなちょっとポロックを思わせる錯綜気分を味わっている。消失点を求めながら終わりのない永遠へ、幻想としての死にこの詩人があたえた具体化(視覚化)といってよいと思う」(倉橋健一)。幼少期から異国の戦争まで、存在の喪失を多彩なフォルムで描く39篇。


著者の言葉
幼い頃、世界は怖ろしげにみえた。
灯りが消えて訪れる暗闇が怖かった。柱時計の音が響く、静まりかえった家の中。ひとりぼっちの昼間が怖かった。
隠れん坊に缶切り、鬼ごっこ…。
子盗りは生活や遊びのなかに紛れ込んでいて、子供たちを異次元の世界へ連れ去ろうと身を潜めていた。
暗闇のない、騒音の絶えない現代のより深い闇のなかにも身を潜めている子盗りがいる。
親の虐待やいじめに苦しむ子供。銃弾にさらされている子供。飢餓や貧困、そして地球環境の悪化…。
子供たちが気がかり、未来に繋がる命が気がかり。

本体2,400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3290-7
2012年3月刊

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恒川邦夫『《クレオール》な詩人たちⅠ』

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クレオール詩全景


同じ《クレオール》を何世代にもわたって詩人たちがさまざまに生きてきたことが分かる。あるときは隠すべき「汚点」のように、あるときはルサンチマンの凝縮した「結節点」のように、あるときはあらたな先祖返りの「原点」のように。
(はじめに)

クレオール文学の第一人者が、カリブ海の詩人たちをはじめて体系的かつ網羅的に紹介する。「現代詩手帖」好評連載、待望の刊行! 2分冊の第Ⅰ巻はクレオール文学の中心的な詩人たち、サン=ジョン・ペルス、エメ・セゼール、レオン=ゴントラン・ダマス、エドゥアール・グリッサン、デレック・ウォルコットを収録する。

本体2,800円+税
四六判並製・338頁
ISBN978-4-7837-1678-5
2012年4月刊

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『嵯峨信之全詩集』

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全7詩集ほか完全収録!


おまえはどんな遠くよりも遠く
どんな近いところよりもさらに近い
そこは死の直下で
また生の真ん中だ
(『時刻表』より)

「嵯峨氏の詩の主題は、処女詩集『愛と死の数え唄』以来一貫して変はらず、《愛》と《死》にかかはるメタフィジックである。(…)直接この主題に正面切つて挑むためには、並はづれた造形力が絶対に不可欠なのである」(入沢康夫)、「日本のいわゆる近代詩・現代詩、伝統の詩歌ともさっぱりと切れた、いずれとも地続きでないひとつの島に、たった一本立っているポプラの木のように、その詩は静かに風にそよいでいる」(新川和江)。雑誌「詩学」によって詩を支えるかたわら、生の根源的なテーマを限りなく追いこんで自らの詩を彫築した詩人の全貌。『愛と死の数え唄』『魂の中の死』『時刻表』『開かれる日、閉ざされる日』『土地の名~人間の名』『OB抒情歌』『小詩無辺』の詩集全7冊をはじめ、単行本未収録詩篇、未発表詩篇を完全収録。丹念な調査に基づく作品解題、青土社版「自己〈半〉年譜」を増補した詳細な年譜を付す。別刷資料24頁=那珂太郎、入沢康夫、吉野弘、新川和江、井川博年、以倉紘平、小柳玲子、池井昌樹

本体8,600円+税(税込)
A5判上製・クロス装・函入・口絵4頁・全656頁
ISBN978-4-7837-2358-5
2012年4月刊 品切れ