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髙橋冨美子『子盗り』

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第23回富田砕花賞受賞!


死のさきはしばらくまた曲線がうねるがやがてそのゆくてにちいさな球形があらわれきらびやかで鋭利な光のとどく場所は期待にたがわぬ立方体である
(「ゆくて」)

「私はきわめて絵画的な、それもアンフォルメルなちょっとポロックを思わせる錯綜気分を味わっている。消失点を求めながら終わりのない永遠へ、幻想としての死にこの詩人があたえた具体化(視覚化)といってよいと思う」(倉橋健一)。幼少期から異国の戦争まで、存在の喪失を多彩なフォルムで描く39篇。


著者の言葉
幼い頃、世界は怖ろしげにみえた。
灯りが消えて訪れる暗闇が怖かった。柱時計の音が響く、静まりかえった家の中。ひとりぼっちの昼間が怖かった。
隠れん坊に缶切り、鬼ごっこ…。
子盗りは生活や遊びのなかに紛れ込んでいて、子供たちを異次元の世界へ連れ去ろうと身を潜めていた。
暗闇のない、騒音の絶えない現代のより深い闇のなかにも身を潜めている子盗りがいる。
親の虐待やいじめに苦しむ子供。銃弾にさらされている子供。飢餓や貧困、そして地球環境の悪化…。
子供たちが気がかり、未来に繋がる命が気がかり。

本体2,400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3290-7
2012年3月刊

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