詩の本の思潮社

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花氷『オ・ラパン・アジルの夜』

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第1詩集

昨日という日から続いてやってきた、手紙のようなもの、なにもかも、全てが風により繋がっていることを想えば、なにも、想うほどではない、校庭の隅、言葉が土に染み込んでいくように、花が花の色を取り戻す。(「今日の風」)

詩の中に、大石貴也の、あいつの心の中に、ずっとずっと、いつかこうして爆発してやるんだ、という思いを込めた一行を見つけて、これは「本当のことば」だと思ったーー野田秀樹

本書は第一詩集にふさわしく、個々の詩はそれぞれに固有の形式的企みを携えている。だがそれらの総体から浮かび上がるのは、たくさんの喜びと痛みの記憶に満ちたひとりの人間の丸ごとの姿だ。ーー山田亮太

第62回現代詩手帖賞受賞詩人によるデビュー作。写真=花代、装幀=戸塚泰雄

2420円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4604-1
2024年11月刊

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雪柳あうこ『骨を撒く海にて、草々』

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魂の不在通知


波打ち際に落ちていたボールペンを
拾って、絡みつく海藻を払い
書き出す
遠くの海の傍らに住む
あなたへの ことば
(「海際へ」)

読めばどの詩からも、目を凝らすまでもなく、鮮やかな言葉の背後に、それぞれの深みへ届く物語を感じることができる。――松下育男

雪柳さんの詩には、様々な音や声が響く。ときには死者と生者の垣根を越えて強く語りかける。きつく抱擁を交わすように。そのダイナミックな表現で、読者を未知の場所へと導く。ーー文月悠光

第1詩集『追伸、この先の地平より』以後、3年ぶりの新詩集。写真=紫衣

2640円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4503-4
2024年11月刊

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鈴江栄治『意識ー死』

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詩と美術のはざま


漆黒の 影の 背後に 巡る 予感に 焼かれたのか ―不死の
(「―不死の」)

詩の言葉以外の言葉を必要としない、抑制された言葉のすがた。『陽の額』以後、5年ぶりの新詩集。著者自装

2750円(税込)
菊判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4589-1
2024年11月刊

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吉田義昭『海と重力』

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時代の波間で


長崎県 西彼杵郡 野母崎町高浜
幾つもの時代の夏空の下を通り過ぎ
東シナ海に寄り添う私が慈しみ愛した村
(「引き潮の時」)


私は自分の故郷を持てなかった気がする。私が生まれた廃家も幼い頃の記憶が微かに残っているだけだ。しかし、何度も故郷を訪ねているうちに、原風景が生まれてしまったらしい。(あとがき)

戦後80年、祖父母、父母の世代の引揚げの記憶を継承する。装画=柿本忠男、装幀=伊勢功治

2750円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4577-8
2024年11月刊

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谷口ちかえ『地図をはずれて』

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私のありか


地図をひろげて
次に行くべきところを探している
今日にわずかに爪を立て
「心」は 翼のないまま飛ぼうとする
(「地図をはずれて」)


国策に翻弄された一族の中で、〈わたしは誰?〉と所在なく暮らした年月が、日常を超えた山巓へ、水平線の向こうへと自らを駆り立てた気がする。無窮の天地と交叉する、点ほど小さな生を自覚しつつ、永劫の中の一瞬である「今」を超越するために。(あとがき)

戦後80年、歴史に翻弄されたディアスポラ2世の旅路のその先。装幀=伊勢功治

谷口ちかえ
旧満州奉天生まれ、東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。学生時代に「早稲田詩人会」で詩作を始める。詩集に『地図のかなたへ』『木の遍歴』(ともに土曜美術社販売)など、訳書にD.ウォルコット『オデッセイ』(国書刊行会)がある。

2860円(税込)
A5判並製・128頁
ISBN978-4-7837-4576-1
2024年11月刊

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朱濤/竹内新訳『半輪の太陽』

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ますます出鱈目 いよいよ駆け回る


私は飛んで火に入る夏の虫のように再び溶鉱炉に入り
中国から携えてきた涙を用いて
北半球の緑青をきれいに洗い落とす
(「闇夜にきらめくバラ」)


詩は風に飛ぶ柳の綿、一片の雪、一面の白い葦。世界を驚かすものではない。―――現代中国のただなかで、自分自身のために詩を書き継ぐ。魂を飛翔させる思惟の流れ。2010年代の作品を収める、進行形の翻訳詩集。

2640円(税込)
四六判並製・224頁
ISBN978-4-7837-2797-2
2024年10月刊

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