詩の本の思潮社

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白井知子『ヴォルガ残照』

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黙契の旅


ヴォルガを下る船
停泊する夜半
カーテンからのぞくと
たちこめる霧
(「濃霧」)


「前略。悲しくて美しいヴォルガの舟歌になりましたね。今は亡き人を訪ねる旅、再び面影の自然と、声のことばで語らい、夫々慎ましい抒情詩がいつしか叙事詩になったような。アフマートワやパステルナークの、あの愛しい呼びかけが聞こえてくるようです」(工藤正廣)。いつかヴォルガへ。17年の時をへて、アフマートワの詩に導かれ、タシケントでの約束を果たす黙契の旅。装幀=山元伸子

2750円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4544-0
2023年10月刊

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森文子『もってのほか』


土とともに


先導は きらびやかな袈裟すがた
祖父の野辺の旗ゆく ほそい 行列
おんぼを務めるひとが 待つ
むらの火葬場へ
(「柿ひと枝」)


「土くれ 手くれ 陽が暮れて 心にくれる いい野菜 たなごころなんて もってのほか 野菜 ひとくち」(川上明日夫)。たんねんな畑仕事のかたわら、自然への注視のなかから、うつくしい言葉がたちあがる。『野あざみの栞』から3年ぶりの新詩集。装画=森雅代

2640円(税込)
A5判上製・88頁
ISBN978-4-7837-4543-3
2023年10月刊

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粕谷栄市『楽園』

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第42回現代詩人賞受賞!


 世間の人々は、笑うかもしれない。かぎりなく幼稚な愚かな夢だ、と。しかし、たとえば、瀕死の病床にあって、薄明の時間を過ごす者にとっては、そうではない。それは、直接の、そして、切実な現実である。 (「楽園」)


私は、幻の一匹の犬であったか――。現実と異郷のはざまから、遥かな啓示の光が射しこむ。10年ぶりの新詩集。散文詩38篇。装幀=奥定泰之

好評既刊
現代詩文庫『粕谷栄市詩集』
現代詩文庫『続・粕谷栄市詩集』

3850円(税込)
菊判上製・168頁
ISBN978-4-7837-4529-7
2023年10月刊

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佐峰存『雲の名前』

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名を与え続けること、


無軌道に啄む煤けた翼や
信号機の結界を 隕石の大きさで
横切る水素バスの 鱗粉を
束ねながら 空には時折 雲の国があらわれる
(「雲の名前」)


これまでになく、またとない形状で移ろう世界と私たち、固有の生を見つめるために。――ひそめた文字を持ち寄れば、きっと、新しい名前になる。第2詩集。好評重版! 装画=甲村有未菜

2750円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-4546-4
2023年10月第1刷 2024年1月第2刷

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