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現代詩文庫『粕谷栄市詩集』新装重版出来!

2023年08月31日

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魂のはなしをしよう

 私以外には、誰も知らない。遥かに、夥しい水仙の咲くところを、私は知っている。無数の水仙が、常に咲き乱れる、恐怖のようなところだ。
 湿原と呼ぶのであろう。暗く、寒く、絶えて人々はやって来ない。しかし、花々は、限りなく闇を彩る。微風が吹くと、絶叫のような美しさが、一齊に翻える。
(「水仙」)


「粕谷さんは生を詩に翻訳する。選択の余地はない。言語によって人間の生きている現実をとらえようとすれば、少くとも彼にとって、それがただひとつの途なのだ」(谷川俊太郎)。緊密な散文詩形式による幻想の言語で、生のもっとも深い真実をのぞかせる、高見順賞受賞『世界の構造』を全篇収録。未刊詩集『副身』ほか、エッセイも多数収録。
解説=大野新、彦坂紹夫

1650円(税込)
四六判並製・152頁
ISBN978-4-7837-0766-0
1976年6月第1刷 2023年8月第7刷

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