今村秀子『つまからほどきましょ』
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着物の裾は
着物の裾は
つまから ほどきましょ
たとうしにくるまれたあかいきものは もう
あわせのすそをつまみ
はたいてみせてくれた おはりのせんせい
(…)
「じょうずにつまをたぶらかせば
うつくしさは きわだちます」
(「はるさめ」)
「喜怒哀楽のいっさいをほどいて素にかえる、はぶたへの裏地で作るもの、くらしのなかの居住まいや佇まいを、そっと濡らしてゆく雨のそぶりに濃い命のしおり」(川上明日夫)。「はるさめ」「ぼたん雪」「かきつばた」……遅れていく思いを、季節のうつろいに託して。
今村秀子(いまむら・ひでこ)
1949年福井県南条郡生まれ。詩集に『17才のうた』『野菊』『紅蓮』『百八枚の花びら』『山姥考』がある。詩誌「木立ち」同人。
本体2400円+税
A5判変型上製・96頁
ISBN978-4-7837-3705-6
2020年8月刊