詩の本の思潮社

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新刊情報

村瀬和子『花かんざし』

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橋懸かりのかなたへ


――栗はね 花穂を垂れるとき 既に身のうちに虫を抱いているのよ――
(「花かんざし」)

喰いつくされた母の小さな青い実、零落した神々の優しい淋しさ。生きたままの破れ衣を身にまとい、古典に滅びゆくいまを映し詠む。咲いては散り吹雪く因果の花22篇。

本体2,500円+税
A5判上製・110頁
ISBN978-4-7837-3405-5
2014年6月刊

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鈴江栄冶『視線論』

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注ぐものは 透過する


通過し 来る 光に
由らない 光である
(「光視」)

「速やかに流れるようでもあり、激しく切断されているようでもある、不思議な言葉の群れ。しかしそこに明滅する美しくもまた不穏な光は、どこからくるのであろうか。おそらくそれは言葉に注がれた詩人の眼差しが私たちの失われた記憶に密かに触れているからなのだ」(建畠晢)。美術と詩のはざまで書き綴られた稀なる書物。

本体2,500円+税
A5判並製・126頁
ISBN978-4-7837-3408-6
2014年6月刊

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八木忠栄『雪、おんおん』


第30回詩歌文学館賞受賞!
第33回現代詩人賞受賞!


ひたいを寄せあって舟をかつぐおれたち
かすかに見えてくる毘沙門山を越え
雪の舟をゆっくり
天の高みへと送り出す
雪が風をまきおこす
をう!
(「雪の旅立ち」)

「いかなる悲劇や死の前でも、私たちの言葉はこうべを挙げてそれらと向き合わなければならない。本書はそうしたことと無関係に、別仕立てで安閑として生まれたわけではない」(覚書)。現代詩花椿賞受賞以降10年間の詩36篇を収録。だいじな人たちを見送りながら、いま何を表すのか。なおも闊達な響きを失わない、詩人の真骨頂。装画=三嶋典東、装幀=著者。好評重版!

本体2,400円+税
A5判並製・136頁
ISBN978-4-7837-3410-9
2014年6月第1刷 2015年5月第2刷

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北園克衛『単調な空間1949-1978』

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世界を驚かせた実験詩集



その黒い憂愁
の骨
の薔薇
(「死と蝙蝠傘の詩」)

世界を駆け巡った「単調な空間」から、大胆な方法論がたどりつく文字を使用しない詩=プラスティック・ポエムという極北まで。ことばや文字を形象として扱いながら停滞することなく進められた戦後の言語実験、意味を追わずにイメージで構成された驚くべき成果を厳選して収録した実験詩集・戦後篇。構成=金澤一志

本体2,000円+税
A5変判並製・130頁
ISBN978-4-7837-3414-7
2014年6月刊 品切



 

北園克衛『記号説1924-1941』

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昭和を駆け抜けたモダニズム詩集


友よ またアポロが沖の方から走つてくる
雨のハアプを光らせて
貝殻のなかに夕焼けが溜まる
(「驟雨」)

きらびやかに展開するモダニズム文化のなかで北園克衛が萌芽する。未紹介だった関東大震災後に紡がれた最初期の作品を含め、発表時の組版を忠実に再構成した「図形説」全11篇ほかを収録。『白のアルバム』『円錐詩集』『夏の手紙』など戦前期の代表詩集からそのエッセンスを一冊に収める前衛詩集・戦前篇。構成=金澤一志

本体2,000円+税
A5変判並製・130頁
ISBN978-4-7837-3413-0
2014年6月刊 品切



 

ハリー・マーティンソン/児玉千晶訳『アニアーラ』

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壮大な宇宙叙事詩


だから、このとき誰が予想できただろう
この旅が、太陽と地球
火星や金星、そしてドリスの峪からも僕たちを引き離す
宇宙旅行となってしまう宿命にあったことを。


放射能汚染された地球から火星へと飛び立った宇宙船アニアーラ号は、不慮の事故により、琴座にむけて永遠に宇宙をさまようことになる――。孤独な航海の物語に、新旧約の聖書や数々の神話を重ね、科学用語や独自の造語を散りばめて創りあげた壮大なる詩世界。1974年ノーベル文学賞受賞詩人の代表作。

本体2,600円+税
A5判並製・290頁
ISBN978-4-7837-2765-1
2014年6月 品切