詩の本の思潮社

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新刊情報

山之内まつ子『徒花』

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文字の死肉の雨がふる


空のものが空に帰っていった今日
生まれたての人間のように
鏡のうす皮を
剥いでみようか
(「顔無し――鏡」より)

「山之内さんの詩には玉葱に似た芯がある。しかし、その芯は幾枚もの厚い皮に隠されているから、よく見えない」(北川透)。「その難解さは、私たちの生そのものに根差すものなのだろう。ある意味ではシンプルであり、にもかかわらず謎に満ちた生に」(城戸朱理)。生存の闇を照らす新詩集。

本体2,400円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3264-8
2011年9月刊

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八木忠栄『「現代詩手帖」編集長日録1965-1969』

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詩人たちとの疾走の日々


ある年ある月のたかだか何ページかの月刊誌の〈オモテ〉は、バックナンバーでいつでも読むことができる。しかし、その〈ウラ〉には隠れた幾多の複雑なドラマがある。「〈ウラ〉なんぞ関係ない」という考え方もあるだろうが、〈ウラ〉には〈オモテ〉の根っこが複雑に脈打っている。そこを掘り返すことは必ずしも無意味ではあるまい。(あとがきより)

天沢退二郎、吉増剛造らが尖鋭な言語表現を時代と烈しく軋ませた60年代。現代詩は、赤瀬川原平、唐十郎はじめ、文化・思想まで領域を超えて沸騰する運動体へと突き進む。その現場を支えたのは、24歳で雑誌編集長となる著者のひたすらな疾走の日々だった。同時代の舞台裏を息づかいのままにあらわす、歓喜と涙の日録! 装幀=菊地信義、装画=赤瀬川原平(「現代詩手帖」1969年のカットより)

本体2,800円+税
四六判上製・272頁
ISBN978-4-7837-1671-6
2011年9月刊

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牧田久未『林檎の記憶』

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ご契約なさいますか?

ただし鍵はマスターキー一本だけ
スペアは不可
ただ一つの約束を守れなかったら
着の身着のままもう二度と戻れないんです

ご契約なさいますか?
(「ご契約なさいますか」より)


「牧田久未は現実の亀裂に蜃気楼を見てしまう人らしい。……平明で謎にあふれる詩篇。がぶり齧っていくと信管のような種子にカチッとあたる。リンゴは人類の罪と罰を記憶している愉快な爆弾なのだ。」(八木幹夫)。楽園追放の謎を日常の視点で探してみよう。思考の飛沫は時にユーモラスに、時に心の奥処からつぶやくように。奔放な言葉の粒の宝箱。装幀=著者


【著者の言葉】

その実はどんな味なのだろう。禁じられた木の実はそれ自体問いだ。それは毎日毎日問い続ける。なぜ禁じられているのだろう、食べるとなぜ死ぬのだろう、死ぬとは何だろう、生きるとは……。一つの問いは無数に増殖して唯一つの手がかりに向かう。その実につまっているはずの答え。一齧り、失ったものは善き知恵、残るのは悪しき知恵の後味。後悔に泣くアダムとイヴに大天使ミカエルは追放の手を緩めない……。

こうなったら色んなリンゴを齧りに齧り、後悔のありったけをバネにして、どこかにジャンプするしかない。契約するリンゴ・証言するリンゴ・飛行するリンゴ・惑わすリンゴ・探し物するリンゴ・帽子の中のリンゴ・予言するリンゴ・預金するリンゴ・紡ぐリンゴ……。知らないけどすでに知っているもの、知っているから知らないと気づくもの、知恵のからくりは反転を繰り返しながら、罪のようにも、罰のようにも、希望のようにも、歴史を転がしていく。


本体2,400円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3256-3
2011年9月刊

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江夏名枝『海は近い』

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第2回萩原朔太郎記念とをるもう賞受賞!


くちびるの声がくちびるを濡らし、青はまた鮮やかになる。
波打ち際に辿りついて。

波打ち際に辿りついて、ここに現れるのは、あらゆる心の複製である。
(「海は近い 1」より)

「明かしえないことがあり、語りえないことはある。しかし、そのすべてでもって、世界はわたしを抱擁し、見方を変えるならば、連続したもの、ある統一体(ユニティ)であることを、この詩集は、静かに物語っているのではないだろうか」(城戸朱理)。「たおやかな構成にくわえて、メタファの過剰を避けた適度な意味性の採用、果実を思わせる弾力性もともなった言葉センス、さらに全体的に大きなウェーブを描いたところなど、本年度屈指の新生詩集であることは間違いない」(倉橋健一)。在るままの問いのかたちが世界を静かにめくりゆく、鮮烈な第1詩集。

本体2,200円+税
A5判変型並製・96頁
ISBN978-4-7837-3251-8
2011年8月刊

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清岳こう『マグニチュード9・0』

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ゆれゆりもどされ


夜ごと日ごと
安眠をゆさぶりゆすられ
命が太平洋沖130キロの海底につながっていたと知る

私の漂流は始まったばかり
(「闇の中で」より)


「私の体が地球から直接受けとめたメッセージは、こんなにも荒削りに、直截的に、あるいは掌のように柔らかくならざるを得ませんでした」(「あとがきに代えて」)。2011年3月11日14時46分、仙台の勤務校で被災してから1ヶ月間。胎内から噴きあがった言葉の奔流。カバー・書「地」=阿部珠翠

本体2,300円+税
A5判並製・110頁
ISBN978-4-7837-3255-6
2011年8月刊 品切れ