詩の本の思潮社

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新刊情報

山之口泉『新版 父・山之口獏』

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娘・ミミコから見た獏さんの素顔


「パパはね、借金をしたり人のお古をもらったりして暮らしているけれど、人間以外のものにはなりたくないといつも思って生きているんだよ」(「お墓の中の私のパパ」)


「山之口獏は人間に絶望し、その絶望を自分のみっともない体の一部のようにたずさえて生きていた詩人である――。パパの微笑の温かさも優しさも私には全てそこから出ているような気がして仕方がないのです」。父・山之口獏を通して、人間の生への洞察を深める、出色の評伝集。長く愛されつづけた『父・山之口獏』を大幅増補する、待望の新版。

本体2,500円+税
四六判上製・258頁
ISBN978-4-7837-1667-9
2010年12月刊

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司茜『塩っ辛街道』

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第22回富田砕花賞受賞!


故郷高浜の
「御贄献上行列」の一行は
堀越峠を越えただろうか

本降りになってきた
(「この町」より)


「司茜の詩集『塩っ辛街道』は、著者の出身地若狭と現住地奈良とを結ぶいわゆる「西の鯖街道」を太い軸として開陳される深い歴史観、日常の中の非日常や不条理を見抜く眼力等、リアリズムの中にも豊かな物語性を備えている。東日本大震災以前に書かれた作品でありながら若狭湾の原子力発電所の危うさを糾弾する詩等、予見にも満ちている」(富田砕花賞選考委員評)。「四天王寺で振鉾や仁和楽を見せてもらったときの、なんともゆったりした時間の流れを思い出すが、こういう詩が今日の現代詩にあるのはとても楽しい。そこに徹し切る手腕もみごとなたおやめ詩集だ」(倉橋健一・栞)。肌理こまかな追憶詩篇から物語スタイルの時事詩まで、内なる若狭へと想いをつなぐ30篇。装画=藤原和子、装幀=倉本修

著者の言葉
8年ぶりの第3詩集です。私は奈良に住んでいますが、故郷は若狭です。若狭と奈良は天平の時代から深い繫がりがあります。今年開かれた平城遷都1300年祭を機に、酸いも甘いもある若狭への想いを『塩っ辛街道』と名付けて上梓しました。暑い日々を持ちこたえた難産でしたが、編集者、画家、装幀者、師に励まされ生まれでることができました。第3子も不出来な子供です。気は強いですが泣き虫です。お手にとって叱ってください。

本体2,600円+税
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3227-3
2010年12月刊

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深澤忠孝『南海の列島弧異聞』

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南の海上の道


火山列島ともいわれる日本列島 山脈の地下深く また海底深く 七つもの火山帯が走っている 伊豆諸島 小笠原諸島からミクロネシアまでの島々の点列は よくみれば まぎれもなく 南海への列島弧だ
(「富士火山帯――南海までのマグマの弧」)


富士火山帯は、海底深く、ミクロネシアまで続いているという。その連なりと南の島々との物語をダイナミックに読み解く。伊豆大島から「一番早く夜が明けるニッポン」(南鳥島)、「北回帰線の南にある唯一のニッポン」(沖ノ鳥島)を持つ、小笠原村の歴史と現実をふまえて描く「世界一の海洋のムラ」を含む、22篇を収録。

本体2,800円+税
菊判上製・122頁
ISBN978-4-7837-3225-9
2010年12月刊

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清水恵子『駄駄』

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虚実繚乱


声の粒をその指先まで跳ね返すことができたら
褒美は生爪がいい
生え変わるまで〈痛い〉その指はどこにも誰のどこにも触れられない
(「廊下(そして隣室)」)


血に溶けた痛みと官能の粒がひとつひとつ名乗りをあげて戻ってくる。虚実の皮膜に濾過されて昇華した液果20篇。


著者の言葉
詩集とは単に詩を寄せ集めたものではなく、表紙、帯、目次、後書等も含めて一つの作品だと思っている。私の場合、まず書名を決め、構想を練ってから、一篇一篇の詩を書き始める。小説の手法と似ているかもしれない。
思潮社刊『あびてあびて』『ぎざぎざ』『あっぷあっぷ』、そして新刊『駄駄』は、それぞれが未完の「小説」であり、四冊合わせてもなお未完の「小説」。私の詩集はいつ完結するのだろう。

本体2,200円+税
A5判上製・86頁
ISBN978-4-7837-3191-7
2010年11月刊

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桑原茂夫『ええしやこしや』

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あたらしい恋唄


月のあかるい 夜だとて
こころがはれる わけじゃなし
それならいっそ このおもい
月に燃やして はらはらと
闇に溶かして さらさらと
(「ええしやこしや」)


夕暮れの海辺、はるか沖のかなたから、なつかしいひとがやってくる。ゆらゆら揺れる灯りを手に、ぼくたちの宴に向かってくる。かなしくもあたたかいおもいがあふれ、宴の心地よいリズムが、さらにまたぼくたちをあたたかくする。失われた恋唄を取り戻すために、いまあたらしい恋唄をうたう。なつかしいひとを迎えるために!待望の新詩集。装幀=間村俊一。発行カマル社・発売思潮社

本体2,000円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3226-6
2010年11月刊 品切



 

岡井隆『詩歌の岸辺で――新しい詩を読むために』

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現代詩を読む愉しみ


二〇〇八年ごろからわたし自身詩を書いたり詩集を出したりし始めたから、自分自身のための演習(ゼミナール)のやうな書き方にもなつた。わたしとしては作品を愉しんで読んでゐるのであつて、どうか読者の方にも、異論や批判を加へながら愉しんでいただけたら嬉しいのである。(あとがき)


岡井隆、詩歌のゼロ年代を読む――最新の現代詩や現代短歌、俳句、はたまた日夏耿之介や西脇順三郎まで、自在に触角を伸ばし、詩の現在を渉猟する。とどまることを知らない詩人の脳髄から溢れだす、いま詩を読むことの愉しみ。詩歌の豊饒な海へ漕ぎだすための極上の水先案内。装幀=中島浩

本体2,400円+税
四六判並製・274頁
ISBN978-4-7837-1666-2
2010年10月刊

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