清水恵子『駄駄』

虚実繚乱
虚実繚乱
声の粒をその指先まで跳ね返すことができたら
褒美は生爪がいい
生え変わるまで〈痛い〉その指はどこにも誰のどこにも触れられない
(「廊下(そして隣室)」)
血に溶けた痛みと官能の粒がひとつひとつ名乗りをあげて戻ってくる。虚実の皮膜に濾過されて昇華した液果20篇。
著者の言葉
詩集とは単に詩を寄せ集めたものではなく、表紙、帯、目次、後書等も含めて一つの作品だと思っている。私の場合、まず書名を決め、構想を練ってから、一篇一篇の詩を書き始める。小説の手法と似ているかもしれない。
思潮社刊『あびてあびて』『ぎざぎざ』『あっぷあっぷ』、そして新刊『駄駄』は、それぞれが未完の「小説」であり、四冊合わせてもなお未完の「小説」。私の詩集はいつ完結するのだろう。
本体2,200円+税
A5判上製・86頁
ISBN978-4-7837-3191-7
2010年11月刊