詩の本の思潮社

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新刊情報

たかとう匡子『ねじれた空を背負って』

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不条理のただなかで


いつもの風景は無限に遠く
いまはもう立ちすくむしかない
消去法など
ここにはない
追いかけてくるぎざぎざぎざの轟音よ
(「荒浜にて」)


あふれる水、なだれる空、得体のしれない風……耳目を軋ませる不穏な気配。揺らぎ傾いでいく時代の懸崖で、記憶といまを重ねる声は、なおも闊達な響きを失わない。4年ぶり、待望の新詩集。装幀=井原靖章、切り絵=井原由美子

2750円(税込)
A5判変型上製・128頁
ISBN978-4-7837-4559-4
2024年3月刊

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野村喜和夫『パッサル、パッサル』

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新詩集


おめでとう
パンデミックのさなか
でさえも
時は静かに発酵し
すっかり人気のなくなった
午後の公園の
滑り台やジャングルジムに
どこからかゆらゆらと
水子たちが集まってきて
まつわりつき始める
(「世界以前」)


2012年以降、10年強のあいだに書かれた、連作詩篇と長篇詩を除く作品を収録。その時その場所でオケージョナルに書き継がれた多彩な詩群はまさに「パッサル」(マレー語で「市場」)の語にふさわしい。自身の詩作に忠実に精力的に向き合う、大岡信賞受賞詩人による新詩集。装幀=鈴木一誌、吉見友希

3960円(税込)
A5判上製・208頁
ISBN978-4-7837-4560-0
2024年3月刊

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安智史『萩原朔太郎と詩的言語の近代――江戸川乱歩、丸山薫、中原中也、四季派、民衆詩派など』

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16年ぶりの評論集


本書は、「萩原朔太郎」のテクストを主軸もしくは隠れた軸線として浮かび上がる、近代日本の詩人・文学者たちの問題を追ったものである。
(「あとがき」)


「テクストの韻律に精妙に耳を澄まし、詩史の文脈に分け入り、近代日本の「マイナー文学」の最高の実践者・萩原朔太郎の創造の秘蹟を、安智史は鮮やかに浮かび上がらせる」(松浦寿輝)。江戸川乱歩や稲垣足穂、丸山薫・中原中也・吉本隆明と四季派、白鳥省吾ら民衆詩派vs北原白秋……。党派を超えた詩人・文学者たちと萩原朔太郎の交差する地点を明らかにする画期的労作。『萩原朔太郎というメディア ひき裂かれる近代/詩人』につづく16年ぶりの評論集。装幀=中島浩

5940円(税込)
四六判上製・568頁
ISBN978-4-7837-3832-9
2024年3月刊

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