詩の本の思潮社

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新刊情報

フェデリコ・ガルシア・ロルカ/細野豊・片瀬実・久保恵訳『ジプシー・ロマンセ集 カンテ・ホンドの詩』

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鮮やかな新訳


他のナイフは役に立たない。他のナイフはなまくらで、血を見て怯えてしまう。わたしたちが売っているナイフは冷たい。わかるかね? 一番暖かい場所を探して、そこに留まるんだ。
(「アマルゴの対話」)


スペイン南部の風土と前衛主義の空気のなかで、新しい文学を作り出した、フェデリコ・ガルシア・ロルカ。その言葉と生は、今なお輝きを放ちやまない。アンダルシアを舞台に鮮烈なイメージと物語を描いた代表作「ジプシー・ロマンセ集」と、フラメンコへオマージュを捧げた「カンテ・ホンドの詩」――古典と革新のあいだの詩的跳躍が、新訳で蘇る。

2640円(税込)
四六判並製・240頁
ISBN978-4-7837-2791-0
2022年7月刊

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藤井貞和『よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。』

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第74回読売文学賞(詩歌俳句賞)受賞!


汚れた言葉を遠慮せよ、
だれもが父に言いました。

怒りで汚れたこころを、
ぼくはうたいますか。
(「汚職」)


「神話に近づけたり、語り手を設定したりして、現代が仕掛けてくるむずかしい問題に向けて、何とか私なりに答えを出そうと、右往左往している自分が棲んでいるように見える」(「あとがきに代え」)。
いま詩はどのように書かれるのか。うたと物語のやわらかな触手を自在にのばし、現代の難問に日本語の瀬戸際で応答を試みる。装幀=中島浩

2860円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4501-3
2022年7月刊 品切

 

松本秀文『詩後(2014-2022)』

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第59回福岡県詩人賞受賞!


ゴジラが何度よみがえっても ここが何度こわされても
どんなことがあっても 詩なんか絶対に書かないでくれ
「ゴジラ以後に詩を書くことは茶番だ」
(「ゴジラ」)


死後から詩後へ、虚無をかかえて詩猫は彷徨する。5年ぶり、待望の新詩集。装幀=中島浩

目次
Ⅰ 死後
地上の幽霊/思い出すことなど/腐眠/語らぬ猫が語る時/存在御破算/贋作・僧侶/ゲンエイの人 あるいはセカイ

Ⅱ 紙幣の街

Ⅲ 詩語
詩の才能/金閣詩/詩ねない/ゴジラ/Poem with me

Ⅳ 私語
トンボと旅する少年/地味な収縮/他人の台詞/平行/午前二時に突然透過する/コロナを犯す/好きなひとにこれから告白しようとする男の禁断のトーク集

Ⅴ 詩後
詩の子供/詩後/僕らが詩をやめる理由/詩の不自由展 その後

2750円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3798-8
2022年7月刊

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大橋政人『反マトリョーシカ宣言』

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グロテスクが語る


木は
ずっと止まっていて
止まりながら動いている
みたいだ
(「ズンズンズン」)


全てのものが静かに明るく揺らぐ朝、点検される言葉たちの庭は、ただならぬ表情の事物で溢れている。見つめるほどに、グロテスクは語り出す。4年ぶりの新詩集。

2750円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3799-5
2022年9月刊

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天沢退二郎『アマタイ句帳』

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来歴不明の詩的閃光


秋日に水星沈む糸引いて
本文秋のまま註に雪降るらし
蓮沼を自転車で立ち去る悪魔かな
大空を凍れる海鼠渡りけり
春の夜は巷も星の猫狩りよ!

「天沢退二郎なる稀代のホモ・フマニスタスの、意外なほど天真爛漫な子供の魂が眩しいほどだ」(高橋睦郎)。「五七五定型への詩性の横紙破りがアクシデントのように絶景を成してしまう」(関悦史)。「わたくしたちの過ごした時間の輝かしさが、寂しさの亀裂の光とともに立ち上がってくる」(吉増剛造)。20年にわたって同人誌「蜻蛉句帳」に書き継がれた、全1200余の句を集成。好評重版! 装幀・装画=マリ林

2640円(税込)
四六判並製・240頁
ISBN978-4-7837-4502-0
2022年7月刊

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高田昭子『冬の夕焼け』

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遠いひとへの手紙


生きている者たちの風景と
死んだものの風景は
ひとつの草原で結ばれていた
そして風も雨も
生にも死にも等しく吹き渡り 降る
(「風の吹く日」)


「豊かな死の収穫期まで/みなかなしく生きのびよ」(「冬の夕焼け」)。空と地上のあいだにあるものへ――。季節をへめぐり時の地層から言葉をつむぐ。たしかな生の灯りをともす、詩26篇。

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3794-0
2022年7月刊

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南原充士『レジリエンス』

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新詩集


円錐形がどこまでも広がり
まったく交信できない次元との境界線を描く
(「不死鳥」)


気持ちを明るく立て直してくれる、やじろべえや起き上がりこぼしのような役割の詩を目指して。座標軸の見えない人生の向こうへ、さまざまなスタイルで書かれた詩39篇。

2530円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3797-1
2022年7月刊

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髙野尭『マルコロード』

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詩語の未知へ


私には、泥棒天使に奪われた私が欠けて、詩の聖者をよぶ、生き証人と、書き急ぐことになんの矛盾もない小夜に凍月がほどかれると時が緩む (「マルコロード」)


いくつもの生誕いくつもの災厄のただなかでゆれうごく波。そのどこまでも連なる旅路は、硬直し自閉した世界に穴をあける。詩的現在の底流へ潜行する新詩集。装幀=中島浩

2420円(税込)
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3796-4
2022年7月刊

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伯井誠司『ソネット集 附 訳詩集』

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第1詩集


悪魔とわれは友なりき。かれは窓から来て、いつも
酒に酔へりき。夜もすがらわれは聞き入りたり、かれが
語る音楽、本、映画、歴史、科学や恋のこと……
いつも驚きたり、かれのあらゆることを知りしかば。
(「悪魔と」)


詩とは韻文である――「私は情念も写実も信じず、ただ韻律のみを信じます。すなわち、詩を詩たらしめるものは作者の情想ではなく、言葉が描く情景でもなく、韻律であり、形式であると信じます」(「序」より)。詩を詩たらしめるものへ、日本語ソネットを突きつめる真摯な実践。

2640円(税込)
四六判上製・114頁
ISBN978-4-7837-3789-6
2022年6月刊

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瀬崎祐『水分れ、そして水隠れ』

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第19回日本詩歌句随筆評論大賞 詩部門大賞受賞!


夜が明ける前に出かけましょう
わたしは光を失うところへ行かなければならないのです
(「女将の出立」)


眼球から流れ出た風景は溶けあい、無彩色の波紋から遠く呼び声が響く。湯のなかで渦巻く陰翳が見せるひと夜の宿り。新境地を拓く第7詩集。

2640円(税込)
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3793-3
2022年7月刊

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