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添田馨『獄門歌』

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こんな傷ついた世界で


暗澹たる法廷が開廷する
終末の世々に聳えたつ影の絞首台
風水の呪法もとどかぬ穴闇の奥で
伝説の法廷がいよいよその重い扉をひらくのだ
(「Ⅰ獄門歌」より)

〈詩〉はいかなる陣形のもとに争闘しうるか?―――大きく傷ついた世界の境涯のなまなましい切断面が、暴力となり襲ってくるときに。死者からの暴風に全身をさらし、液状化する感性の地層を裂いてはじまる、かつてない言葉の〝私戦〟の撃発……。5年ぶりの新詩集。装幀=佐々木陽介

目次
Ⅰ 獄門歌
暗澹たる法廷/ヒットレルが死んだ/暗黙の意志/贋物のボナパルト/非望の党/未明の開廷
Ⅱ 弔言歌
戦争/死刑/暗殺/自殺/粛清
Ⅲ 液状歌
液=状/必=急/一九五五/パゴスの移動/天空のパレオパラドキシア/Hong Kong Way/鄧麗君轉生/MUST WIN, BEST ACTION/プーチンを終わらせる

虚喩的思考――〈言葉〉に対するまったき信憑とは

*この詩集はオンデマンド出版で、アマゾンのサイト(Amazon.co.jp)のみでの販売になります。書店および思潮社営業部での取り扱いはありません。ご注文ごとに印刷製本し、24時間以内に発送、2~3日でお手元にお届けします。送料、印刷手数料等はかかりません。お問合せ=03-3267-8141(思潮社編集部)

1760円(税込)
オンデマンド版(ペーパーバック)・156頁
ISBN978-4-7837-4500-6
2022年7月刊

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倉橋健一『歌について――啄木と茂吉をめぐるノート』

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転形期を読む


私はこのふたりのうら若き歌人を、一方から一方へと見るのでなく、一方に加担するのでもなく、その折々を、どこまでも平衡感覚のなかで眺めることで、私なりに明治末期という転形期の時代相をとらえてみたいと思った。
(「私にとって歌とは何か」)


文学的挫折をへて『一握の砂』を刊行、揺れる時代を鋭敏な感性で切り拓きつつも夭折した石川啄木。「アララギ」の師・伊藤左千夫との対立のなかで自らの歌と歌論を磨き上げ、『赤光』に至る斎藤茂吉。二人の若き歌人の、ときにすれ違い、ときに重なる足跡を辿り、近代短歌の結節点をとらえなおす交差的批評。装幀=髙林昭太

目次

1 茂吉の出立
2 『赤光』以前
3 縮みと集中・余話
4 茂吉の目
5 啄木と自然主義
6 初期茂吉の歌論
7 啄木の謎
8 左千夫と茂吉
9 若いアララギ
10 茂吉のかたち
11 啄木の内部急迫(drang)
12 茂吉の内部急迫(drang)
私にとって歌とは何か あとがきにかえて

2640円(税込)
四六判上製・192頁
ISBN978-4-7837-3827-5
2022年6月刊

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井戸川射子『遠景』

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あなたはわたしを拡大して


体と言葉が通じないので泣いている
わたしは見守る役だ
(「荒れる木星表面」)


「口が互いに開き合い/迎えにきてくれる人を望んでいる/聡明な馬、正しい矢のように/行きたい場所がある気がする」(「帯の彫刻」)。離れ、広がっていくわたしたちの時間を、繊細になぞってゆく。中原中也賞、野間文芸新人賞をうけた注目詩人による、待望の第2詩集。好評重版! 装画=著者

2200円(税込)
四六判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3790-2
2022年6月刊

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北原千代『よしろう、かつき、なみ、うらら、』

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小さきものたちに


よしろう、かつき、なみ、うらら、
わたしの指はひとりでに先をゆく
かるくなった髪がすこし揺れているでしょう
ふかいところが鳴動している
(「よしろう、かつき、なみ、うらら、」)


「ディキンスンのように/咲いてしまうほどひとを愛したことがある」(「ディキンスンのように」)。若き日のドイツ滞在の記憶、父母を看取った日々、「魂がふるえたことの真実」を記す。H氏賞受賞の前作『真珠川 Barroco』から6年ぶりの新詩集。装幀=佐野裕哉

2420円(税込)
A5判上製・88頁
ISBN978-4-7837-3791-9
2022年6月刊

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