詩の本の思潮社

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新刊情報

建畠晢『剝製篇』

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マボロシの野へ


ああ、誰もが亡霊である雨の日のあの声をどうして防ぐのか。詩人はみな、声だけで集うというのに……
(「あの声をどうして防ぐのか」)

霧の街から横溢する見えない言葉たち。現れては消える影の影……夜の記憶のほうへ。「待ちねぇ、ポエティク」連作を含む、詩31篇。装幀=清岡秀哉

2860円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3757-5
2021年9月刊

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吉田文憲『ふたりであるもの』

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ここにいない影


呼気であり、火であり、
残された時であるもの
「契約」の、ふたりであるもの
(「ふたりであるもの」)

詩集『花輪線へ』から40年、環状につらなる呪言の果て、白い息ざわめく川のほとりで、終わらない時のドアをわれわれは目撃する。装画・装幀=福山知佐子

2640円(税込)
A5判変型上製・88頁
ISBN978-4-7837-3754-4
2021年9月刊

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林美脉子『レゴリス/北緯四十三度』

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現代のアポカリプス


絶えなく湧き上がる吃音の烙きごてに喉を塞がれ 解読不能の語の刺青(シヌイェ)が口唇に浮かぶ くぐるぐるぶる せめぎのぐ音の苦界に焙られて 氷雪の大地を這う それが鬼火の正体だった
(「冬の鬼火」)

歴史が隠蔽し続けてきた暴力の、加害と被害のメビウス的連鎖をいまここに告発する。屯田兵の末裔という加害者でありながら、一方でジェンダー的抑圧の被害者という二重性を引き受け、それらの狭間を往還しつつ、人類の暴力の歴史とその本性の暗部をえぐり出す。加害したのは誰なのか? 北のトポスから人類の罪科を問う渾身のサーガ。
カバー・扉「屯田兵手牒」写真=著者

2640円(税込)
A5判変型上製・96頁
ISBN978-4-7837-3762-9
2021年8月刊

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青野暦『冬の森番』

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第10回エルスール財団新人賞受賞!


頬をゆるめないように気をつけて
受けとめる。ぶつかりあう
個の意志のあかるさ。
(「雷注意報」)

「詩が、文学が、生きかえっている。どんなかなしみをも局所に留まらせない幅のある枠組みをもって、この詩集はいまを呼吸する光を放っている」(福間健二)。うつくしいことばが追ってくるのを逃れて。等身大の詩22篇。第1詩集。装画=堀江栞

2640円(税込)
四六判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3761-2
2021年9月刊

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船越素子『修繕屋ノオト』

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人新世の詩


旅支度をすると
もう 旅は始まっている
そう言い聞かせる母たちの
とりつく島の地図を裏返してみた
(「とりつく島の地図」)

「大人びたあどけなさと斬るような果断を兼ね備えていて、公衆におもねらず一歩しりぞいて穏やかな不賛成の微笑をたたえている――そのような詩人は、この時代では希少な存在だ。さらに簡潔に、若くなりまさって行く詩情がここにある」(佐々木中)。8年ぶりの新詩集。装画=矢野静明

2420円(税込)
四六判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3756-8
2021年9月刊

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長田典子『ふづくら幻影』

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上を向いて歩こう


人の声は
水の膜が張ったように聞こえにくい
それでも
忘れない
失われた土地の名を
(「上を向いて歩こう」)

「『ふづくら幻影』は消失した原郷を克明に奪還する作業でもある。忘れ去りたい思い出や過去が水の幻影のように蘇ってくる」(八木幹夫)。湖に沈んだ故郷を現在に蘇らせる、のびやかな希望の歌声。装画=武田史子

3080円(税込)
A5判上製・136頁
ISBN978-4-7837-3755-1
2021年9月刊

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