詩の本の思潮社

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高橋玖未子『呼ばれるまで』


心の源流をたどって


いつ 何に どうして
呼ばれるまで
放たれたままの問いを抱き締めている
(「呼ばれるまで」)


「私を流してきたものは何か、それを何に呼ばれて流れてきたのかと言い換えてみる。 すると、それは、いつまで呼ばれるのか、果たして呼ぶものなどあるのだろうか、そんな疑問とも希求ともとも知れぬ道標が見えてきて、むしろそれに終わりがないことがわかるのだ」(あとがき)。自らを詩作にいざなう源流をあらためてたどる最新詩集。

本体2500円+税
A5判並製・130頁
ISBN978-4-7837-3664-6
2019年6月刊

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清岳こう『眠る男』


審判不在 ルールなし


我が家の一室
遮光カーテン保温カーテンの襞につつまれ
息子もそぼふる沈黙の底で眠っている
(「終」)


引きこもり勝手気儘ちゃんから息子のゆくえは? 時代の不穏につまずき、渦まく不安と混沌から詩が立ちのぼる。装画=門田奈々

本体2400円+税
A5判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3663-9
2019年7月刊

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三井喬子『山野さやさや』


かすかなやすらぎ


ここらは昔刑場だった。
二ヶ月前に越してきた若い夫婦は
女の子を一人育てているが
その子は わけもなく
「イトオシー」と叫ぶことがある
(「静かな蛾」)


すべての生き死にゆくものに逃れなく宿る喪失、その尽きせぬ狂気、絶対的な孤独、身を引き裂く、忘れ難いよろこび。現代詩文庫刊行後、待望の新詩集。

本体2500円+税
A5判上製・110頁
ISBN978-4-7837-3661-5
2019年6月刊

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八木忠栄『やあ、詩人たち』


捧げる詩


空想をごしごし鍛えあげたあと
路地は暗がりから暗がりへうねりにうねる。
「奪回をくり返せ」という命令が
木々のあいだをせわしなく走りぬけ
男は台所で無言のまま鬼ッ児を産みおとす。
(「くろだきお」)


物故詩人に捧げる折句の試み。お会いした詩人への挨拶のacrostic。敬愛する69名についての回想と接近。遊び心に裏打された初めての試み!装画=辻憲、装幀=著者

本体2000円+税
B6判変型並製・82頁
ISBN978-4-7837-3657-8
2019年6月刊

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岩切正一郎『HAPAX』


音は奏でられている


……ノイズは組み立てられない……それは場所の皮膚から分泌されるざわめき……
(「歌う犬」)


HAPAX。叫びを一片の美しい金属に変える者。歳月と忘却のはざまに語はさやぎ、音は棲みついて泉となる――。長篇詩2作が響き合う注目の第6詩集。

本体2200円+税
A5判上製・82頁
ISBN978-4-7837-3658-5
2019年6月刊

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川上明日夫『無人駅』


魂 おしずかに


喫茶店の一隅にひっそり身をおいて
さてと
途方が ゆっくり首をもたげている
(「喫茶店の一隅に」)


「雲の溜息だけが一人 ゆれている/あのほとり/改札をすませた おひとの消息が/そっと」(「雨、鶸が鳴いている」)。いま、立っているその場所が駅。魂の水分の匂いの残る、一本の蠟燭のような秋はさびしい――。北陸の風土を背景に、「木立ち」抒情派の詩人が紡ぐ、そぼ降る声霊の草迷宮。装画=佐中由紀枝

本体2400円+税
A5判変型上製・80頁
ISBN978-4-7837-3659-2
2019年6月刊

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