魂 おしずかに
喫茶店の一隅にひっそり身をおいて
さてと
途方が ゆっくり首をもたげている
(「喫茶店の一隅に」)
「雲の溜息だけが一人 ゆれている/あのほとり/改札をすませた おひとの消息が/そっと」(「雨、鶸が鳴いている」)。いま、立っているその場所が駅。魂の水分の匂いの残る、一本の蠟燭のような秋はさびしい――。北陸の風土を背景に、「木立ち」抒情派の詩人が紡ぐ、そぼ降る声霊の草迷宮。装画=佐中由紀枝
本体2400円+税
A5判変型上製・80頁
ISBN978-4-7837-3659-2
2019年6月刊
