詩の本の思潮社

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松川紀代『夢の端っこ』


時空を漂いながら


くだらとはどんな町なのか
砂の吹くさびれた町の
笛の音が消えていくような
終点まで行ったことはないけれど昼間向かったくだら
(「万物流転」24)


「彼女独自の生成りの豊かな感覚をずっと大事に育ててきた人。一見おとなし気な人柄のお人だが、ぼくの好きな詩の「遠さ」と「深さ」の感覚の持ち主で、それが彼女の詩の核心だろう」(中江俊夫)。夢とうつつ、時間と空間を自在に往還しながら、 詩人の五感を通して浮かび上がるさまざまな情景。8年ぶりの最新詩集。著者自装。

本体2400円+税
A5判変型上製・88頁
ISBN978-4-7837-3614-1
2018年8月刊

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茂本和宏『いわゆる象は縁側にはいない』


人生の機微


すべてのことが
絡まりあって
あなたは私の
私は誰かの
不在を呼んでいる
(「不在を呼ぶ」)


私とあなた、私と家族、私の過去、私の未来……。一見軽妙でさりげない語り口のなかに、人生の機微を深く刻み込んだ19幕の劇場。著者8年ぶり最新詩集。装画=茂本ヒデキチ

本体2400円+税
A5判上製・82頁
ISBN978-4-7837-3628-8
2018年8月刊

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三田洋『悲の舞――あるいはギアの秘めごと』


存在の核にふるえる


悲はひかりの粒子にくるまれて
必然のつれあいのように
すくいのみちをめざしながら
秘奥の悲の舞を
ひそかに演じるのでしょうか
(「悲の舞」)


デジタルの世界の傷口に舞う悲の欠片を、いのちのすきまにそっと抱く。時間と空間のあわいのかなた――辿りついたはじまりの景色25篇。

本体2500円+税
A5判並製略フランス装・96頁
ISBN978-4-7837-3625-7
2018年8月刊

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中森美方『たった一人の啄木――石川啄木・流浪の軌跡』


詩の森文庫E14


啄木の浪漫的な天才気取りの資質は、すこしずつ批判精神の固まりへと変化してくる。数年前、あれほどあこがれていた〈東京〉〈歌壇〉〈明星〉の世界が、急に石ころだらけの川原になったかのような啄木の変貌、いや成長である。
(第三章「定型の軋み」)

岩手に生まれ北海道、東京と放浪を続けながら多くの歌を残しつつ26年の人生を終えた啄木の作品と生涯を、私生活と思想と交友関係を軸に徹底的に読みなおす。生誕100年を超える現在もいまだ謎多き歌人・啄木の新たな作品観・人物観へ読者を誘う革新的論考。

本体980円+税
新書判並製・224頁
ISBN978-4-7837-2014-0
2018年8月刊

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現代詩文庫『続・和合亮一詩集』


カタストロフの後で


ガソリンが切れるか、命が切れるか、心が切れるか、時が切れるか、道が切れるか、俺はまた、一個の憤怒と激情となって、海へと向かうのか。悔しい、悔しい、悔しい、海へ、悔しい、海へ、海へ。

太平洋へ。

激怒する、悲憤する、嗚咽する魂よ。海へ。

海原よ、汝は炎。潮凪よ、汝は炎。水平線、空と海を切り分けよ。黎明。一艘の帆船。

明けない夜は無い。
(「詩の礫」)


「 “フクシマハ フネノハネダ”ト、小聲が叫(おら)ぶ………。和合亮一のtwitterは、「やせた牛」の生靈(ショウリョウ)だった」(吉増剛造)。東日本大震災で亀裂の走った「無人」に言葉の礫を投げつける。『詩の礫』『詩ノ黙礼』『詩の邂逅』『廃炉詩篇』を凝縮、億年の未来に差し出すドキュメント。
解説=藤井貞和、柳美里、大友良英、山内功一郎

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1019-6
2018年8月刊

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現代詩文庫『和合亮一詩集』


氾濫する「事後」の感覚


一分ごとに甘い唾が口に溜まってくる、溜まってくる。
幼い僕の蜂蜜の空で
一分ごとに、不安な甘さの戦火があがる。
そして、火薬の匂いは僕の幼い頃から続いている。
トゥルルルルルルルル。
(「空襲」)


「前衛になった現実に、和合さんは詩で追いつこうと今日も頑張っている」(谷川俊太郎)。90年代から詩の先端を更新してきた詩人の宇宙が、いま虹色に爆発する。『AFTER』から『黄金少年』まで、無双に疾走する超・シュルレアリスム。
解説=城戸朱理、若松英輔、山田亮太

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1018-9
2018年8月刊

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網谷厚子『水都』


失われし生命に


どこかにいる いとしいものに もう一度触れるために その声に もう一度濡れるために すべてをなくした と思いたくない すべてを取り戻すために きみは 生きている きみの目に溢れる水 その一粒 一粒 上へ上へと 立ち上っていく きみの青い血
(「水都」)


果てることなくめぐる自然と歴史への畏怖。その闇のなかから屹立する詩語の群。『魂魄風』につぐ最新詩集。カバー写真=髙田有大 扉絵=福地靖

本体2300円+税
A5判上製・94頁
ISBN978-4-7837-3620-2
2018年8月刊

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中本道代『接吻』


第26回萩原朔太郎賞受賞!


再びの生が いつか
過ぎた時に襞に射し込む光の中に浮かび
古びない命が
いつやむともない雨に打たれている
(「ノスタルジア」)


広島での幼少期、父母の記憶、戦争の傷痕、何世代もの夢。長い時間を包含し、生けるものたちの愛と痛みを見つめる。10年ぶりの新詩集。装幀・絵=直野宣子。重版出来!

本体2400円+税
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3618-9
2018年7月刊 2018年9月第2刷

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