詩の本の思潮社

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高橋綾子『ゲーリー・スナイダーを読む――場所・神話・生態』


野性のエコフェミニズム


スナイダーは八十七歳となった今でも、未だ知的好奇心は常に旺盛である。原爆投下の知らせを聞いたときに感じた怒りと破壊的な力と戦う姿勢は、形態が変わっても貫かれていると語っていたように、人間と自然の共生に向けてこれからも戦い続けていくことだろう。
(おわりに)


生命中心主義の惑星思考へ――広範で有機的な想像力と、新たな思想を生む原動力をあわせもつスナイダーの詩世界はどのように形成されてきたのか。生命の共同体の実現という理想へ向かって培われた、融合的なヴィジョンに迫る。最初の詩集『神話と本文』から最新詩集『この現在という瞬間』まで、全ての詩集やエッセー集、自筆日記や書簡などを入念に考察し、その創造的エネルギーの根底にあるデプスエコロジーと女性性を読み解く、渾身の長編評論!カバー写真=原成吉

本体2800円+税
四六判上製・306頁
ISBN978-4-7837-3814-5
2018年3月刊

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阿部嘉昭『詩の顔、詩のからだ』


ことばの潜在性


顔をうばわれた身体だけが、すこし離れた位置に局在化し、「それがあるいている」。(…)そうだ、詩作のさだめとして――「詩の顔」はきえてゆく。だれかの身体だけがのこる。
(「放心」)


「すくなさが書く」とはどういうことか――。詩の現在に一 石を投じた『換喩詩学』(鮎川信夫賞)、『詩と減喩』に次ぐ、詩論集第3弾。「現代詩手帖」2016年の詩書月評など、詩のフィールドを賦活させる最新批評。装幀=奥定泰之

本体3800円+税
四六判並製・368頁
ISBN978-4-7837-3813-8
2018年3月刊

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恒川邦夫『《クレオール》な詩人たち Ⅱ』


クレオール詩全景


現代社会の多様な問題――民族紛争、宗教戦争、ネオコロニアリスム、貧富の差など――に対する示唆が〈クレオール〉というコンセプトには様々な形で含まれている。
(あとがき)


〈革命〉と〈カリブ海性〉を刻む詩群――。クレオール文学の第一人者が、カリブ海の詩人たちを体系的かつ網羅的に紹介する決定版。マルチニック、グアドループ、ハイチなど、現地でのさまざまな交流を手がかりに、魅惑にみちた詩群を訳出し、各詩人の生きざまを活写する。
[収録詩人]
ニコラス・ギエン/ジャック・ルーマン/マグロワール=サン=トード/ルネ・ドゥペストル/フラケチエンヌ/モンショアシ/テレーズ・レオタン/アンリ・コルバン/ロジェ・パルスマン/エルネスト・ぺパン

本体3200円+税
四六判並製・360頁
ISBN978-4-7837-3812-1
2018年3月刊

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ジャン=ミッシェル・モルポワ/有働薫訳『イギリス風の朝(マチネ)』


リリスム・クリティークの原点


書くという冒険の極限の場所に、空白のページが震えるときに、長い間保留にされていた唯一の質問――それは歌かどうか――が生まれる。リリシズムとはこの不安のことである。
(「序曲」)


「モルポワは逆説的な実行――世界と他者と言語にたいして自らを開くことによって抒情的主体が自己超越するために行動する――の好機としてこれを直視する」(ミッシェル・コロー)。「リリシズムは主観ではない、リリシズムは本来人間の本質から汲み上げられるものだ、という主張が、長年詩というものにかかわってきた意識に何の障害もなく自然に流れ込んできた」(有働薫)。様々な声や断片、とりわけルソーの『新エロイーズ』を交響させながら、永遠のテーゼであるリリシズムに向き合う思想と詩想のメランジュ。リリスム・クリティークの旗手モルポワの若き日の原点。装画=著者

本体2500円+税
A5判並製・154頁
ISBN978-4-7837-2778-1
2018年3月刊

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