詩の本の思潮社

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岩木誠一郎『余白の夜』


第56回歴程賞受賞!


帰るのでも
訪れるのでもなく
つめたい指さきがたどるたび
少しだけ
つながりそうになる記憶の方へ
(「ガラスの街まで」)


「触れていると思っているものが、ほんとうにそこにあるのかどうか。いつまでたっても不安は不安のままです。同じように感じているひとに、少しでも言葉が届けば幸いです」(あとがき)。円環を描く物語のように、記憶をしずかに濡らしていく22篇。装画=矢野静明

本体2200円+税
四六判上製・86頁
ISBN978-4-7837-3598-4
2018年1月刊

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暁方ミセイ『ウイルスちゃん 新装版』


第17回中原中也賞受賞!


緑色地帯から
発光している
しがつの霊感の、稀薄な呼気だけを肺胞いっぱいに詰めて
そのまま一生沈黙したい
(「呼応が丘 二〇〇九年五月十四日」)


「表現に節度はあっても、無理はない。なだらかなことばの山並が、世界を徐々に確実に形成する。時は流れ、空がひろがるのだ。自意識と告白に浸食された現代の詩。そのなかでこの詩集の深みのある明るさは格別である」(毎日新聞)。新しい抒情の在処を告げた鮮烈なデビュー詩集。装幀=カニエ・ナハ

本体2200円+税
A5判変型並製・112頁
ISBN978-4-7837-3590-8
2018年1月刊

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駱英/竹内新訳『文革記憶――現代民謡』


悲嘆よりも呪詛を


こういう作品は、私のような世代の人間によってしか書けない。私たち誰もが、暴力を振るった者であり、それを懺悔している者でもあるからだ。(…)それは即ち物語であり、現代の民謡であり、エレジーであり、やりきれなくて吐き気をもよおす記憶だ。
(後記)


「歴史というものは腐敗する 永遠に信頼してはならない」(「腐敗した逃亡者」)。文化大革命とは、我々とは何であったのか。かつて紅衛兵だった詩人が歴史と人間存在の本源を抉る。血と闇の呪詛が地鳴りのように響きわたる衝撃の問題作!

本体2400円+税
四六判並製・240頁
ISBN978-4-7837-2777-4
2018年1月刊

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クレア・ロバーツ/髙岸冬詩訳『ここが私たちの上陸地』


極北の光と音の世界


あなたが降参した
あの冬を回想すれば
瞬時に思い出すことでしょう
郵便ポストへ向かい
白霜の中を歩いていくと
全世界の光と空間を
枝の中に抱きしめた
ポプラ林の光り輝く動脈に
辿りついていたことを。
(「変化」)


「ここがぼくたちの上陸地、/月明かりのフータリンクアだ。」(「到着」)。カナダの大自然に暮らす人々の現在と、ゴールドラッシュ時代の交響が降りなす、類を見ないスケールの大きな世界。注目の新鋭の第1詩集、鮮烈なる全訳。装画=ジェーン・イサクソン

本体2200円+税
四六判並製・176頁
ISBN978-4-7837-2776-7
2018年1月刊

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