詩の本の思潮社

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新刊情報

現代詩文庫『近藤洋太詩集』


時代にきしむ魂への応答歌


家のほうにむかってせり出したソメイヨシノの法師蝉がひとしきり鳴いた
(まるで今年の鳴きおさめのように)
ツクシオーシ ツクシオーシ ツクシコイシ ツクシコイシイイイ
(「筑紫恋し」)


「近藤洋太君の詩には、近代の人為に絶望した青春の、心ならずも共食いを強いられた野生のけもののような、哀切な飢渇が吐露されている」(眞鍋呉夫)。決定版となる〈定本 水縄譚〉をはじめ、『果無』までの7詩集を凝縮し、詩の原郷への軌跡を辿る。時代への懐疑を胸に、生きた証と声を刻んだ詩と批評のドキュメント。
解説=粟津則雄、佐藤洋二郎、山本哲也、添田馨

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1009-7
2016年9月刊

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現代詩文庫『広瀬大志詩集』


詩のモダンホラー


「死んでるのか?」
「それ以上よ」
  (「肉体の悪魔」)


「広瀬大志の二人称は強い。それはそのまま抒情の強さだ。それは「生」の祖述ではなく、「生」への意志だ」(田野倉康一)。精緻で強靭な言葉の渦が現実を超えた現実を喚ぶ。恐怖詩学の頂点『髑髏譜』全篇ほか、10詩集から代表作を厳選。未然の夜明けに曝される終焉と新生の光景。
解説=城戸朱理、野村喜和夫、川口晴美、小笠原鳥類、榎本櫻湖

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1008-0
2016年9月刊

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『詩と記憶――ドゥルス・グリューンバイン詩文集』縄田雄二編訳/磯崎康太郎・安川晴基訳

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バベルの脳の時代に


歯に着せた衣は裂いた。歴史よ――
塵埃を巻き上げ、すべてを消し去る風は
まことに我を傷ましめるのか。
(「雨の降り果てたヨーロッパ」)

「何かが事物の流れから引き離され、冷え、気密状態で封印される。それは時代遅れになり、それが別れてきた現在には常に欠けている、まさにその時間を帯びる。閉じ込められていたものをこじ開けると、音は人工遺物に変わる。詩行はカプセルだということがわかる」(「火山と詩」)。情報で氾濫し、忘却を加速させる現代生活において、詩作こそが、もっとも人間的な抵抗となりうるだろう――。ドイツ現代詩の旗手による、「記憶の詩学」のエッセンス。

本体2,200円+税
四六判上製・150頁
ISBN978-4-7837-2631-9
2016年8月刊

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福間健二『会いたい人』


38 poems 2011-2015


感謝すべきこと、この地上には
まだいくらでもあって
乾かないのはおまえの流した血の跡だけじゃない。
(「六月の王様」)

「書くこと。人から受けとるもの、人から奪うものをベースにして、人と自分のあいだになにか生みだす。そうなってほしいとますます思っている」(あとがき)。2011年の震災以後に書かれた短詩群を集成。『青い家』『あと少しだけ』以降の確かな歩行をあらわす38篇。装幀=清岡秀哉

本体2,000円+税
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3528-1
2016年8月刊

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現代詩文庫『山口眞理子詩集』


深い川をわたって


いつからかどこからか吹いてくる風に
水が混じっている 水が作る

あっ それは 水でできたりぼん
(「風水」)


「この結びつきそのものが、彼女の詩に、率直だがけっして単調になることのない、生活に執しながらも私的なものに閉じこもることのない、生き生きとした生命感につらぬかれた微妙で深い表情を与えている」(粟津則雄)。東京の地勢を詩空間にかさねる鮮やかな筆法。聖と俗の交わるところに濃密な時間が流れる。川に始まる都市の神話学ともいうべき詩作を集成する。
解説=野村喜和夫、國峰照子、上久保正敏、井上弘治

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1006-6
2016年8月刊

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大木潤子『石の花』


風のおと/石の/中から


闇が瞬いている。
闇の中で光が、ではない、
闇の目が瞬いて、見ている、
その視線の中を、進む。
(「石の花」)

前詩集『有性無生殖』から十余年、発語の原初に立ち返った詩人は、あえて詩語をそぎ落とし、新たな表現の地平に立つ。

本体2,400円+税
A5判変型並製・154頁
ISBN978-4-7837-3535-9
2016年8月刊

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荻悦子『樫の火』


第13回詩歌句随筆評論大賞 詩部門奨励賞受賞!


空から
うわの空へ
肉塊や果実を投げて
ようやく七曜を繫げてきた
(「樫の火」)

巡り、変わってゆく景色のなかで、わたしとあなたの境界はゆらめき、消えかかる。あらゆる生に燻る失うことの痛みを、火は燃やし空へくゆらせ、澄んだ青へ繫げゆく。

本体2,400円+税
A5判並製・108頁
ISBN978-4-7837-3530-4
2016年7月刊

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植木信子『田園からの幸福についての便り』


あなたになる わたしになる


こんなにも明るい黄色の絨毯を吹く風は
過去と未来を吹き渡る青い風
(「ひまわりの花」)

地に生き、巡り、また生まれる。幾つもの夜と昼のかなたへ――田園に吹く風が届けた、かすかに幸福がゆれる白い手紙。

本体2,400円+税
A5判並製・110頁
ISBN978-4-7837-3531-1
2016年7月刊

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北原千代『真珠川 Barroco』


第67回H氏賞受賞!


川べりに
毀された真珠が息をひそめ
かすかなところにすまいしているものらが
水を曲げている
名まえを呼ぶと
おどろいたように水はふりむく
(「Barroco」)

心と身体の感知するところを、言葉に導かれるようにして。『繭の家』から5年、独自の書記をつきつめた待望の新詩集。2刷出来!写真=Andrea Bielefeld、装幀=伊勢功治

本体2,400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3527-4
2016年7月刊

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